SFファンタジー 異能者の惑星 07ヤナーギクの死
第七話ヤナーギクの死ヤナーギクはすぐ様医務室へ運ばれた。マムルがヘルメットを取ると、そこには焼け爛(ただ)れた顔があった。慎重に宇宙服を脱がせ、冷却スプレーを全身にかける。衣服を脱がそうとしたが、火傷を負った皮膚と癒着しており、マムルは諦めた。哀れなヤナーギクは誰がどう見ても瀕死の状態だった。「博士……」微かな声でヤナーギクが呻(うめ)いた。「喋ってはいかん。体力を消耗する。大丈夫だ、きっと治るから」マムルは死にゆくヤナーギクを前にして、そう嘘をつくしか無かった。「い、良いんです……僕は死ぬ。そうでしょう?」マムルは言葉が無かった。正直、ヤナーギクの言う通りだったからだ。地球の施設なら人工皮膚を移植するなり方法があるが、ここでは手の施しようが無かった。マムルは焦りと諦めの入り交じった気持ちでヤナーギクを見つめた...SFファンタジー異能者の惑星07ヤナーギクの死
2021/07/01 10:19