欲望の色 序章 ─戯れ─
「ブルンブルンブルンブルン、ブルンブルンブルンブルン!」 6時間目の授業も終わり学校を後にする頃、定番のようにその直管マフラーの爆音はまるで周囲一帯を威嚇するかのような勢いで鳴り響く。 「おう修二! また悪さでもしに行くんか?」 「また修二や、あいつも懲りんやっちゃで、何であんなに飛んどんや」 「うるさいな~」と生徒が口々に言う。 先生は「放っとけ、そいつはもううちの生徒でも何でもない」と吐き捨てる。 英樹は、なんぼやんちゃくれ(不良)とはいえ仮にもまだ中学三年生の修二にそんな冷たい事を言うんかい、と思ったが確かに修二もたいがいな奴やったから、どっちもどっちかと割り切っていた。 さっと修二の単…
2021/01/31 21:15