過去からの使者。向かったその先に
早朝に目がさめた。何かの音で起こされた気がした。時計を見たら、午前5時30分だった。 首都圏とはいえ、真冬の朝なので、気温が下がっている。そのまま起きる時刻ではないので、布団を整えて、二度寝しようと思った。 「コン、コン」今度は、誰かがドアをノックしている音が、はっきりと聞こえた。 こんな早朝に?いったい誰が?なんの用で?私はノックを無視して寝ようとした。 私の住むアパートは、丘の中腹にある。坂道を上がって、ひと息ついたところにある、典型的な二階建てのアパートだ。 道路から敷地に入ると住民用の駐車場があり、建物に向かって左側に金属の階段がついている。階段を上がると2階の廊下があり、201号から206号まで、1DKの部屋が6つ、並んでいる。 安いアパートだから、オートロックなどはなく、誰でも玄関前までやってくるこ...過去からの使者。向かったその先に
2022/01/30 23:55