一休和尚と盲目の美女 ― 酬恩庵 ―
青年一休は苦悩した。 さとりへの道は果てしなく遠い。寺は堕落している。敬愛する師匠は死んだ。ああもう自分も川の流れに身を投げて死んでしまおう。 それはかのぽくぽくちんの可愛い小坊主とはおよそかけ離れた、純粋で強い仏道の志を抱く若者の姿。 ある日カラスの鳴く声を聞いて禅的悟りを得たという一休和尚。やがて壮年をむかえた一休禅師は、度外れて型破りな、当代きっての風雲僧となります。飲酒、肉食、遊郭通い、僧侶とは思えぬ、奇抜で無法な行為の数数。毀誉褒貶いりまじる風狂の人物でありながら、その学識と才覚は確かなもの、多くの人に慕われ、晩年は大寺院の住職になるなど社会的地位も高く、稀代の傑僧にして、日本仏教史…
2020/10/31 19:40