お寺参りは鈍行で ― 西大寺 ―
まだお堂が開く前、早朝の西大寺。 境内の奥には粗末な祠。そこに西大寺中興の祖 叡尊(えいそん)上人の石像が座っておられます。 その前に立って手を合わせていると、屋根の隙間から朝日がさし込み、上人の垂れ下がった長い眉と、寂しげな眼を、まばゆく照らしました。 その神々しいお姿から、私は確かにこんな言葉を聞き取ったのです。" 私のことを書きなさい。"「ははあ」とひれ伏しこそしなかったものの、私は畏まり、後日改めて西大寺をお参りして記事に書くことを約束したのです。 そして今日はその後日、再びやって来た西大寺。 桜の葉が朱色に染まり、すっかり秋めいた境内。おりしもお寺では秘仏の「愛染明王」が特別御開帳中…
2020/11/06 18:23