『ユキの日記』 笠原嘉・編

『ユキの日記』 笠原嘉・編

「雨の水たまりに広がる輪を見ながら何を私は考えたか? 忘却に、人々の忘却に私はふさわしいと。」(1953年9月15日16歳の日記)ある年、母堂に伴われて病院をおとずれたひとりの婦人に会った。残念ながら、二十八歳のこの婦人と私との治療上のおつきあいはごくごく