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じつに久方ぶりの更新。今年初めてのブログは(もう5月になってしまったけれど)、桜の写真。一週間前、娘と一緒に桜を観に行った。街並みはけっこう葉桜の様相を呈していたのだが、家の近くの温泉ホテルの桜はまだ散らずに残っていた。慣れないスマートフォンで撮った写真
いつも、当日ではなく、やや遅れてアップするのだが、今年も、無事、誕生日が訪れた。12月6日、66歳。あと、いくつ歳を重ねるのか、それは定かではない。やがて、終焉の時が必ずやってくる。その日まで、何をするか。何をしたいか。何をしなければならないか。今もまだ、試行
「雨の水たまりに広がる輪を見ながら何を私は考えたか? 忘却に、人々の忘却に私はふさわしいと。」(1953年9月15日16歳の日記)ある年、母堂に伴われて病院をおとずれたひとりの婦人に会った。残念ながら、二十八歳のこの婦人と私との治療上のおつきあいはごくごく
第二次世界大戦。ルーマニア。ファンタナ村。朴訥で正直者の農民ヨハン・モリッツは、ある日、村の憲兵の嫉妬によってユダヤ人とされ、妻子と引き裂かれて強制収容所に送られる。そこから彼の、悲惨で過酷な半生が始まる。キリスト教徒のルーマニア人でありながらユダヤ人キ
ゆうすげびと かなしみではなかつた日のながれる雲の下に 僕はあなたの口にする言葉をおぼえた それはひとつの花の名であつた それは黄いろの淡いあはい花
人は、生まれてきた以上、いつか、死ぬ。その晩年、そう遠くはない自分の死を悟った人は、何を思い、何を祈り、何を語るのだろう。生きている傍らの人間はその人に接して、何を感じ、何を惑い、何を語りかけるのだろう。瀬戸内海の小島にあるホスピス「ライオンの家」。死の
出版当時四十八歳の京極が描く七十二歳の<オジいサン>の一週間。朝起きて、近所を散歩して、アパートに帰る。ただそれだけの話が、なぜこんなに面白いのか……それは僕が、(前期)高齢者の仲間入りをしたからだ、と思う。僕も<オジいサン>になりつつあるから、よくわか
恐怖はいつも背後から忍び寄る。背筋が凍るのはそのせいだ。肉眼で自分の後ろ姿を見ることはできない。びっくり館には恐怖が宿る。中村青司が設計した館。その館では必ず誰かが殺される。そこに住むのは、祖父と孫と、そして、リリカ。腹話術の人形。(666の映画は「オー
ワニに呑まれると、ヒトは何を考えるのだろう。或る夜、いつもの晩酌でいつものように酩酊しはじめたころ、娘がこんなことを訊いてきた。「お父さん、森鴎外ってドストエフスキーも翻訳してるの?」「お?どうしてだい?」「久しぶりに<文スト>読み返していたらそんなこと
読み終えたとき、喪失感のようなものが湧いた。終わってほしくなかったのだ。延々と果てなく読みつづけたかった……。しかしそれはかなわぬ夢。<亡びてしまつたのは/僕の夢であつたろうか>中原の詩が脳裏に甦る。<海にゐるのは/あれは人魚ではないのです。>人魚。人魚
2021年の元旦は、いつも通り、二日酔いに始まった。前年に引き続き、友人から頂いた福島の名酒『笹正宗』。美味くて美味くて……呑みすぎた。1年前にもほとんど同じような写真を載せたが、これは今年の画像。昨日一晩で約4合と、缶ビール5缶開けてしまった。僕は酒豪
一週間前の日曜日、12月6日、とうとう高齢者の仲間入りをしてしまった。 前期高齢者 ~ 65歳から74歳まで。後期高齢者 ~ 75歳以上。この分け方はおそらく日本の医療制度に関わる区別だけで、他に重要な要素はないようだ。65歳で、すでに枯れ果てて恍惚とし
冒頭から繰り広げられる少年たちへの虐殺。腕が……、腹が……、首が……。ひとり生き残った少年は、やっとの思いで我が家に辿り着く。しかし、なぜかそのまま父親に幽閉される。そして闇が、――暗闇がその子の家に帷を降ろす。ひとり死に、ふたり死に、さんにん、よにん
「次は暗黒館」と云って娘が持ってきた文庫本の量に驚き、ちょっと簡単には読めそうもなく、予定を変更して借りたのが「囁き」シリーズ。まずは『緋色』。赤い、朱い、緋い血の色。<悪いことをしたら死刑になるのよ。>赤いクレヨン握りしめ、少女は人形を塗りつぶす。み
黄昏時は逢魔が時。この世とあの世の昏いはざまで、凶々しい魔物に出会う時間。なのに、夕暮れ、遊びに夢中の子供たちは気にもしない。「ね、遊んでよ」新規参入者も現れよう。「これあげるから」――やがて始まる連続殺人。「忘れていないよね」――やはりあの時、彼ら
北海道・霧の阿寒。その森に佇む一軒の館を、3人の男が訪ねる処からこの物語は始まる。館の名前は「黒猫館」。設計は、あの中村青司。もちろん、どこかに隠し扉などの仕掛けがあるはず。確かに、――あった。が、しかし……。「仔羊(ラム)ですが、お口に合いませんか」館
女神は沈黙の獄舎に繋がれている 一九九二年八月五日 処刑のその日 時間(とき)は果て聖堂に七色の光射し 地を揺るがす叫びの中にお前たちは聴くだろう 沈黙の女神の ただ一度の歌声 美しき
読み終わって、ニーチェの言葉が思い浮かんだ。「怪物と戦う者は自ら怪物とならぬよう気をつけたまえ。あまり長いあいだ深淵を覗き込むと、今度は深淵のほうが君を覗き込む」(「善悪の彼岸」)。例によってこの本を貸してくれた娘は、読後の感想を「予期せぬ絶望感」と表現
最後の最後で「まじか!」と、脳髄が折れそうになったらしいのは、この本を貸してくれた我が娘。<作中作>という魅惑的なスタイルで綴られる連続殺人の物語。後書きが最初に置かれた小説は初めてだ。迷路だらけの平面図。映画「シャイニング」に描かれた庭の迷路が
20年ほど前に旧版で読んだ。のちに娘に貸して、彼女をアヤツジにのめり込ませるきっかけとなった本。先日、その娘から借りて(?)久しぶりに再読した。面白かったという記憶はあるのだが、ストーリーもトリックも忘れている。だから新鮮な気持ちで読み始め、やっぱり覚え
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