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serandpark https://serandin02text.hatenablog.com/

文学、映画、芸術、哲学に法学。これらの批評を通して、人間と社会の姿を見つめていこうとするブログです。

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2020/07/02

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  • 滝浦静雄『時間』:どうして時間は不可逆とわかるのか。あるいは時間に関するファクターX

    時間―その哲学的考察 (岩波新書 青版) 作者:滝浦 静雄 発売日: 1976/03/22 メディア: 新書 我々の肉体は日々老いてゆく一方で、決して若返ることはない。そのことだけでも十分に時間の不可逆性は証明されているように思える。 しかし滝浦は問題提起する。 「現実に不可逆な過程があるかどうかは、そのまま時間の流れが不可逆かどうかの問題にはならないではあるまいか、と。」(79p) これは滝浦自身の関心に基づく問題提起というよりは、これまでの哲学、学問が、因果関係それ自体の分析によって時間の不可逆性を示そうとして循環論に陥っていたこに対する苦言とも言える問題提起だった。 そもそもにしてオリジ…

  • グレイス・ペイリー『その日の後刻に』:死せる言語で夢をみるもの

    その日の後刻に (文春文庫) 作者:グレイス・ペイリー 発売日: 2020/07/18 メディア: Kindle版 グレイス・ペイリーの第3作品集。ずらりとタイトルが並ぶ目次のなかで『死せる言語で夢を見るもの』は一際目を引く。何か詩的に深みのあるマジメな内容なのではないか?とついワクワクしてしまうのは、決して私だけではないだろう。 だが、いい意味で期待は裏切られる。 どんな風に裏切られるのかって、もうとにかくこのお話、痛ましいほどに関係の悪化している家族、泥沼にはまりこんでいる家族の人間臭いドラマなのだ。それでいて笑いどころが満載で、コメディでもあるよう。 多少の読みづらさは否めないし、理解で…

  • ショートショート(掌編小説):暇つぶしに是非ご覧ください♪

    note.com 4連休、本当はもっと怒涛の勢いで創作したかったのですが、というかいつもそう思ってて、頭のなかではそんな自分をイメージしているのですが、どうしても合間合間にボーっとしてしまって、もっと色々できたんじゃないかって自己嫌悪して、心のなかで溜息ついている私でした。

  • コロナ禍とさえ隔絶された孤独

    今週のお題「2020年上半期」 テレビをつければwithコロナだとかコロナ以後だとか騒いでいて、ほうほうと思う。今日のクレヨンしんちゃん(昨日?)なんかもテレワークが題材になっていて、ここ最近では一番面白かった。 ただ、正直に言えば、どこか冷めている自分がいる。 というのは、以前と以後とで私の生活は、根本のところではほとんど何も変わっていないのだった。図らずも私は、たとえば不況の煽りを受けない人たちのように、ウイルスに影響されない勝ち組になった訳だが、名ばかりの雇われ店長、ないし管理職のようで、相変わらず経済的には苦しいし、明日の未来は不安であるし、人との繋がりも希薄で、私を悩ますこれらの苦悩…

  • 多川俊映『唯識とはなにか』:唯識哲学から考える安楽死(ついでに優生思想も)~暴走する理屈~

    唯識とはなにか 唯識三十頌を読む (角川ソフィア文庫) 作者:多川 俊映 発売日: 2015/06/20 メディア: 文庫 唯識という言葉どおり、この仏教哲学によれば、まずはじめに、第八阿頼耶識がある。といって、無から有という風にそこから万物が生じるのでもなく、あるいは独我論というわけでもなく、ただそこには、はるか昔から幾度と繰り返されてきた前世の記憶が種子(しゅうじ)として堆積しており、種子から現行(げんぎょう)が生じる。現行は同時に、第七末那識、第六意識、前五意識の動きでもある。阿頼耶識の識体は、見るもの(見分)と、見られるもの(相分)とに転変するのだ。 ところで、唯識哲学といえども、仏教…

  • ミシェル・ウエルベック『服従』:インテリの本質 (前編)

    服従 (河出文庫) 作者:ミシェル・ウエルベック 発売日: 2017/05/19 メディア: Kindle版 《現実》という言葉で呼ばれているものほど、確実に存在しているくせに、その片鱗をさえ捉えがたいものはない。 しかしそもそも、我々は現実というものを可能的に想像してみることしかできないのではないだろうか。いまこうしてブログを書き込んでいるという明らかすぎる現実もまた、つぶさに考えれば、たとえばソファに座っているとか、時計の秒針の音が聞こえるとか、夕食の香りがするとか、多様に働いている感覚の一部でしかなくて、そのなかから一つだけを殊更に取り上げ、残りの一切は捨象しているとするなら、ブログを書…

  • ベートーヴェン 交響曲第8番:ほとばしる恋の足音

    www.hananoe.jp ベートーベンといえば第九であるけど、これだけを一番のシンボルにするにはもったない名曲がいくつもあるのは言うまでもない。 ところが、どうもこの第八だけはすこぶる評判がよろしくない。 しかし第九の次に何が好きかと問われれば、私は躊躇なくこの第八を選ぶだろう。 迫りくる華やかなリズムは、どこか焦燥と緊張を感じさせる。「完全にあなたと一緒か、あるいはまったくそうでないか、いずれかでしか私は生きられない」とまで言わしめる激しい恋の情熱に舞い上がるベートーベンが、熱い鼓動のメロディを紡いでいるのだ。 胸をしめつける、その重苦しいはずの緊迫感の上を、神秘的な恋の美しき感情が、軽…

  • 20代最後の夜

    今週のお題「2020年上半期」 このテーマに関して、コロナ以外に何を書けばいいといのでしょう。 たとえば相変わらず独身で彼女がいないということでしょうか。 4月4日、おかまの日が誕生日ということもあり、「20代最後の夜は何もできなかった、それも割かし唐突に」、と話のネタにしているのですが、なんのことはありません。 やれコロナだやれ自粛だ、だのなんだの、しかしこんな騒ぎがなかったとしても、結局は何もしていなかったのでしょうから。

  • ロバート・F・ヤング『時をとめた少女』:時空を超えた婚活戦争

    時をとめた少女 (ハヤカワ文庫SF) 作者:ロバート・F・ヤング 発売日: 2017/02/23 メディア: 文庫 六月のあの金曜日の朝、公園のベンチに腰かけたロジャー・トンプソンは、オーブンのがちょうさながら、自分の独身主義が危機にさらされているとは少しも考えてはいなかった。 と、始まる表題作。 表紙のイラストからしてディズニー風のファンタジックな内容が連想されるが、一人の男をめぐる二人の女の、欲望渦巻くサバイバルとなっている。 しかもその渦中の男・ロジャーといのがまた、理想を体現するそれとは程遠い、いささか社会不適合の感ある就職浪人で、工科大学を卒業して六度目の就職活動中だった。 ほとんど…

  • 危うい自殺報道

    今をときめく人気俳優だけに、その死は誰にとっても大きなショックだし、同い年、一日違いの誕生日ということもあり、残念でならないのは私も同様だが、自殺は珍しいことじゃないし、今この瞬間にもこの世を去った人、去ろうとしている人、あるいは思いとどまった人が何万といるわけで、個人的な経験を踏まえて言うと、連日報道が続いたり、惜しむ声が鳴りやまないようだと、自死を思いとどまった人が一番危険に思う。せっかく希死念慮から解放されて、これからどうにか生きようと胸に決めた人からすれば、こんな報道や悲しみの声を垂れ流されては、出鼻をくじかれた思いがして、たまったものじゃない。あげく再びずるずると暗い情念に引きずり込…

  • ボードレール『ANY WHERE OUT OH THE WORLD』:魂の夢見る跳躍

    人生は一つの病院である。そこに居る患者はみんな寝台を換へようと夢中になつてゐる。 或るものはどうせ苦しむにしても、 せめて煖爐の側でと思 つて ゐる。 また 或る ものは 窓際へ行けば きつと よくなる と 信じてゐる。 ボードレール シャルル・ピエール. ANY WHERE OUT OF THE WORLD (Kindle の位置No.3-5). 青空文庫. Kindle 版. 魂の沈黙と叫びが、愛嬌たっぷりに語られている。この世の外ならどこでも構わないという魂は、死を望んでいるのでもなかった。死でさえもまたこの世の範疇にあるものに過ぎないのだった。生と死を越えた世界を、詩人の魂は、駄々っ子…

  • 情報の嵐と時代の記憶

    人間の自己認識が先鋭化したおかげで、未来の人々は、この時代に何が存在し、何が消えたのか、考古学的な努力なくして把握することができるだろう。 それとも、残された情報があまりに多すぎて、却って把握は困難なものとなるのだろうか。はるか昔の栄光の記憶が砂の中に消えてしまったように、我々の記憶は、日々残されてゆく膨大な情報のなかに埋没して消えてしまい、未来に受け継がれてゆくことなんて、とても不可能ではないだろうか。 ときおり、そんな不安に襲われることがある。それが少しも非現実的な不安、妄想に起因する根拠のない不安と思えないから困ったものだ。 たとえば科学はどうだろう?たとえば相対性理論が忘れ去られること…

  • 木下優樹菜の奇妙な好感度

    お店は徒歩10分ほどのご近所ですが、ウーバーイーツさんに配達してもらってチップを払うのがすっかり週末の楽しみになってしまいました(笑) にしても、タピオカのもちもちした触感と黒糖の香りがたまりませんね!(^^♪ さて、本題ですが、現代の風潮といえばとにかく好感度が大事です。なぜ好感度が大事かと言えば、それが美しい道徳あるいは倫理だからでしょうか。なるほど確かに好感度は我々の感情を、性的快楽の一歩手前まで導いてくれる。好感度の発生源が道徳的な振舞いにあることは否定しようがないでしょう。しかしどうしてこの漠然とした感情の提供が芸能界に求められるようになったのでしょう。トレンディ俳優としてかつて人気…

  • 【日経BP】『絶望を希望に変える』:第2章 100年後の高校生たち。移民について

    絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか (日本経済新聞出版) 作者:アビジット・V・バナジー,エステル・デュフロ 発売日: 2020/04/17 メディア: Kindle版 なぜ移民をめぐってパニックが起きるのか。二〇一七年に国境を越えた移民が世界人口 に占める比率は三%。一 九六〇年や九〇 年とほとんど変わらない。 昨今、とりわけ保守勢が移民を重大な問題として扱っている。統計上は、今も昔も移民の数はそう変わらないし、世界が富裕層と貧困層に二極するとして、貧困国から富裕国に流れる移民の数が急激に増える根拠も、賃金水準や労働者需要低下の根拠も残念ながら乏しく、喫緊の問題とも言え…

  • 【日経BP】『絶望を希望に変える経済学』第4章:差別はなくなるのか、フォーク定理について

    絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか (日本経済新聞出版) 作者:アビジット・V・バナジー,エステル・デュフロ 発売日: 2020/04/17 メディア: Kindle版 伝統的な差別は次第に薄れてはいるものの、 上位カーストは下位カーストの経済状況の 改善を脅威と感じており、殺傷を含む暴力で対抗することがめずらしくない。たとえば二 〇一八年三月には、グジャラート州のダリットの若い農夫が馬を所有したという理由で撲殺された。馬を所有したり乗り回したりするのは上位カーストにだけ許される行為と考えられていたためである。 インドのこうした現実を我々はひどく野蛮に思う。馬を所有しただ…

  • 川上未映子『夏物語』:少女の苦悩

    夏物語 (文春e-book) 作者:川上 未映子 発売日: 2019/07/11 メディア: Kindle版 極貧生活の子供時代だった姉妹、夏子と巻子。妹の夏子は上京し、作家を目指しながら、やはり貧しい暮らしを続けていた。そんななか、9こ上の巻子と12歳になるその娘緑子が大阪からやってくるという。緑子は反抗期らしく母巻子に、うまく感情を伝えられず、あるいは取るべき態度をわからずにいて、絶交状態に陥っている。必要な時は筆談でやり取りされる。緑子は日記もよく綴っていて、第1部では、地の文、というより夏子の語りの合い間あいまにその内容が挟み込まれ、少女の赤裸々な本音や体験が公開される。 その一つに関…

  • イギリスが誇る現代の「画家の中の画家」 ピーター・ドイグ

    peterdoig-2020.jp 6月から再開しているのですが、コロナ感染が連日200人越えしておりますので、10月の会期ギリギリまで待ってみようと思います・・・・ だけどやっぱり我慢できない! ということなので、公式サイトから1枚拝借しちゃおうかと思います(笑) お許しください! 《ブロッタ―》1993年、油彩・キャンバス、249×199㎝、リバプール国立美術館、ウォーカー・アート・ギャラリー蔵 ん〜〜〜しびれる!笑 上半分はすごくリアリティに溢れているというか、すごく現実的、日常的な景色と思います。どこか既視感のある雪景色なのですが、男の人の姿と、氷の張った湖水でしょうか、なんだか幻想的…

  • 【新刊】ピーター・テミン『なぜ中間層は没落したのか』:その2 金権政治のUSA

    なぜ中間層は没落したのか:アメリカ二重経済のジレンマ 作者:ピーター・テミン,Peter Temin 発売日: 2020/05/29 メディア: 単行本 中間の消滅により、FTE部門と低賃金部門との間に乗り越え困難な分断が生じたとすれば、本来、単純な多数決で意思が決定される純粋な民主主義の下では、圧倒多数の低賃金部門が政治的に力を持つことになるはずで、もってこの格差は是正されるものなのではないか、という素朴な疑問がある。 そしてこの理屈を通すなら、ドナルド・トランプという現象はその最たる帰結、ないし是正に向けた一歩目とも言えない。 しかし中位投票者定理に基づく予測によれば、ベル型曲線となるこの…

  • 【新刊】ピーター・テミン『なぜ中間層は没落したのか』:その2 金権政治のUSA

    中間の消滅により、FTE部門と低賃金部門との間に乗り越え困難な分断が生じたとすれば、本来、単純な多数決で意思が決定される純粋な民主主義の下では、圧倒多数の低賃金部門が政治的に力を持つことになるはずで、もってこの格差は是正されるものなのではないか、という素朴な疑問がある。 そしてこの理屈を通すなら、ドナルド・トランプという現象はその最たる帰結、ないし是正に向けた一歩目とも言えない。 しかし中位投票者定理に基づく予測によれば、ベル型曲線となるこの正規分布の中央に位置するのは低賃金部門の人たちで、「はるか右側にいると考えられたトランプは、ホワイトハウスにはたどり着けないだろう」と考えられていたのだっ…

  • 【新刊】慶應出版『なぜ中間層は没落したのか』ピーター・テミン:その1

    なぜ中間層は没落したのか:アメリカ二重経済のジレンマ 作者:ピーター・テミン,Peter Temin 発売日: 2020/05/29 メディア: 単行本 偏見とは、根拠が乏しいから偏見というのである。しかし偏見の原因に根拠がないわけではない。火の立たないところに煙は立たない。偏見は確たる現実から派生するものだ。 女性が肌を露出して歩けば彼女は街々の男たちから、「そのような」視線を浴び、「そういう風」に思われる。なぜなら現実にそういう女がいるからだ。 うだつの上がらないどんな惨めの男だって、髪型をビシッと決め、3ピーススーツを着て都会を颯爽と歩けば、彼は「できる男」だ。なぜならできる男は現実にそ…

  • ゴリ押しと宣伝

    趣味が多様化した時代にあって、宣伝とゴリ押しの境は非常にシビアなものになっている。我々は自分の好みでないものを無理に勧められることを迷惑に思うし、嫌悪すら抱くことがある。もとより我々は、星が一つも付いていないものを買おうとは思わないし、誰も勧めない商品を買おうとは思わない。よほどの物好きでないかぎり、汗水垂らして稼いだ自分のお金をそんなどこの馬の骨とも知れない商品と交換する訳はないのだが、星が付いていればいい訳でもないし、誰かが勧めてるからいい訳でもない。要するにどれだけ星が付いていようと、そもそも自分の好みに合致しないなら、我々はバッサリそれを切り捨てる。 ネットを開けば自分の好みに従った広…

  • その2【英語】哲学しながら英文読解【チャレンジしよう!(無謀)】素人がヘーゲル精神現象学を英語で読んでみた

    The Phenomenology of Mind (Dover Philosophical Classics) 作者:Hegel, G. W. F. 発売日: 2003/11/19 メディア: ペーパーバック it seems to be the truest, the most authentic knowledge: for it has not as yet dropped anything from the object; it has the object before itself in its entirety and completeness. This bare fact …

  • オリンピック開催について思うこと

    外では3密を避けつつマスクを付ける。屋内に入るときはしっかりと手洗いうがい。週末は極力外出を控える。とてもシンプルで、実践しやすいコロナ対策だ。 もっと徹底している人なんかもいて、たとえば私のよく使う勉強カフェでは、スタッフが定期的にデスク等をアルコール消毒するのはおかしなことではないが、とある利用客は自前のスプレーを持ち込んで、満遍なくアルコールをシュッシュッシュッシュッ・・・・・それが4,5回程度の吹きかけで、最後はペーパーで拭き上げて仕上げるなら、私も「おっ、やってるなぁ」と感心できたのですが、駅近6階にあるこの窓の開けはなされた室内、静かに流れる心地よい音楽に、ときおり街ゆく人々の喧騒…

  • 【英語】哲学しながら英文読解【チャレンジ!】素人がヘーゲル精神現象学を英語で読んでみた(1)

    The Phenomenology of Mind (Dover Philosophical Classics) 作者:Hegel, G. W. F. 発売日: 2003/11/19 メディア: ペーパーバック THE knowledge, which is at the start or immediately our object, can be nothing else than just that which is immediate knowledge, knowledge of the immediate, of what is. We have, in dealing with …

  • 女性のための男学入門:ヤリモクの病(前編)

    コロナ禍によってすっかり変わり果ててしまった世の中ですが、不思議なことに変わらないこともあるようで、はいそうです、今年もまた例年通り不倫問題が世間の注目をあびているのでした。 嫌味なインテリたちは鼻をつまんで素通りするのが習わしですが、どうやら私は知的なことばかりには目を向けられないで、低俗な問題にも時間を浪費したくなる質みたいです。それはおそらく私が、読書や超俗的なことをこよなく愛しながら、そんなものとは無縁の現代人らしい日常に身を置き、出家できずに執着しているからなのでしょう。 と言いますのも、何を隠そうこのわたくし、複数のマッチングアプリに課金し続けてはや3年、1000近いイイネを女性の…

  • ジーン・シモンズ(女優)その1 『聖衣』1953年

    オードリーヘップバーンと同じ1929年生まれのジーンシモンズ。ヘップバーンほどの華やかさはないけれど、映画『聖衣』のヒロイン、ダイアナを演じるシモンズには、端麗とした美貌にくわえ、奥ゆかしく、ろう長けな愛嬌があり、百合の花がその弁の先をくるんと遊ばせているのに似ていた。それでいて彼女には、暴君の威圧さえ跳ね返すしなやかな芯が通っていたが、思えば百合もまた、屹立と聳える一本の柔靭な茎に支えられて、酩酊を誘う醇美に彩られていた。 ユダの裏切りが間近に迫ったエルサレムに、一人の男が降り立った。名家に生まれ、誇り高きローマ帝に仕えたる護民官にありながら、酒と女を愛し、政治に欲を示さない男マーセラス。次…

  • 5/28付の編集手帳に思う、SNSとは何であるか

    今朝(5/28)の読売新聞の編集手帳が、ウェルズの『透明人間』に触れている。いわく、遁世から犯罪へと走る透明人間とSNSでの匿名投稿が似たようなものだと。そのうえで、匿名での誹謗中傷が、他人の家に忍び込み、落書きをして中傷を浴びせることと同じだと。 なるほど確かに他所の家の、たとえば郵便受けに、「死んでしまえ」とか、「殺す」などと書き連ねた怪文を投函すれば、それは立派な犯罪で、小学生にもわかることだ。 ということは、現代の日本列島には小学生の頭脳にも満たない大人で埋め尽くされているのだろうか、と言われたら、私は決してそうは思わない。かといって、彼らの行いに問題がなかったのか、と言われれば、制止…

  • はじめまして。

    どうもこんにちは。serandです。 書評メインのブログになるかと思います、どうぞよろしくお願いします。 追い追い、 小説の批評であったり、哲学や思想の自分なりの咀嚼を綴っていこうと思います。 難解な純文学に限らず、軽く読み流せるような書物も、新たな価値を加えてご紹介できるよう精進します。 私の読書遍歴ですが、小1〜3年の代はとある国のインターナショナルスクールに通ってまして、その間は英語の絵本を読むことが多かったです。特段好きという訳でもなく、歴史や科学など他の科目と同じように、まぁ面白いな〜くらいの気持ちでした。 2年生のころだったでしょうか。簡単な物語を書いてみる授業があって、文法も綴り…

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