ブログみるアプリ
日本中の好きなブログをすばやく見られます
無料ダウンロード
ブログ村とはIDが異なります
メインカテゴリーを選択しなおす
フォロー
第700日 呼び声
呼び声こうやって書いている時私は私の世界に呼び掛けている何も応えるものはない私の世界はただ黙っているしかしある日一塊の言葉の震えが私の世界を揺らしその姿が少し変わるおおおおと呼び掛けるのだ空よ雲よと呼び掛けるのだいつか震えが巻き起こることを夢見てその時がついに訪れなくとも私は呼び掛け続けるそれが私の生きている証第700日呼び声
2022/05/31 19:00
第699日 不会
不会もう会うこともないかと思うとやはり寂しい何かかこつけることも取り立ててない会ってもしかたがないそう思われているかこちらでもそう思っているかいずれにせよ何にもならない過去を振り返って笑い合えるほどいい過去ではなく達観もしていないいいよもう忘れようああそんな風景もあったなと茫洋とよぎらせるだけにしよう第699日不会
2022/05/30 19:00
第698日 詩の恩寵
詩の恩寵詩の恩寵とは呪縛だ魂に刻まれる意味を超えた響きだ春の夜の夢の浮き橋おお城よ季節よそれは刻印濃密な響きの埋め込まれたそれに触れるたびに心には響きが響き渡る私は私から奪われるいくつもの呪縛が私の中にあるそれはあでやかな糸となって私を分割し彩る第698日詩の恩寵
2022/05/29 19:00
第697日 脱出困難
脱出困難東京はね大変不便なところが一つある自然の中で遊ぼうとすると東京を出るのに大ごとになる広い海辺とか深く高い山とか絶景の露天風呂とかそういうものがえらく遠い車で出ようとすると東京を出るだけで長時間かかる列車は人で一杯だしお金と暇と気力がないと東京を出ることもできないこの怪物の中に閉じこめられたまま第697日脱出困難
2022/05/28 19:00
第696日 ターナー讃
ターナー讃ターナーは描かないことで絵を描いたそして絵画の呪縛を解いた西洋人には驚天動地だったろう物を愛し絵画にさえ物質感を追求する人々には昔の中国人や日本人には別に変わったことでもない逆に物質感の追求などなかったターナーが呪縛を解いたことで西洋絵画は百花繚乱になった当人は予想すらしなかっただろうが第696日ターナー讃
2022/05/27 19:00
第695日 徒労
徒労この上なく麗しくまた禍々しいそれが恋それが性それがなければどれほど安らかかと思いそれがなければすべては味気なくなる個を突き破りたい相手と合一したいその情動は火山の爆発に似てけれど個は破れない残るのは隔絶と甘く苦い想い出この壮大な徒労に何が埋め込まれているのか第695日徒労
2022/05/26 19:00
第694日 緑茶
緑茶緑茶はいとおしい香りや複雑な味はもちろんとりわけその鮮やかな色が若い頃は親につられて一日何杯も安粉茶を飲んでいた虚弱な私が生きてこられたのは緑茶のお蔭かもしれない年を取ってインスタントコーヒーが増えた久しぶりに晩飯後に緑茶を飲んだら浮かされて眠れなくなったなんたる忘恩の徒日本人なら緑茶を飲まなくてはいかんしかし少し面倒くさい第694日緑茶
2022/05/25 19:00
第693日 ナザレのイェシュア
ナザレのイェシュアナザレのイェシュアは神の国での生き方を地上に拡げようとした土台無理な話でしょうが彼は半分神の国にいたのだからさして無理とは思わなかったのか無理を承知でごり押ししたのかそのあたりは不明もっとも彼は同時に別の役割を担わされてしまった承知の上かどうかは不明無理だけれど無理に挑むそれが彼の遺した遺産永遠に生き続ける彼の教え第693日ナザレのイェシュア
2022/05/24 19:00
第692日 小高い野
小高い野小高い野では真横から陽射しを受ける山も建物もない祝福された空間朝露をまとった草は覆された宝石箱のように輝く夕べには細い影が現代絵画のような緻密な抽象画を描く風が渡っていけば野はたおやかに波立ち霧は岩をやさしく撫でる人が暮らせる場所ではないけれど一日中そこでぼうっとしていたらきっと走り抜ける何かに出会えるだろう第692日小高い野
2022/05/23 19:00
第691日 天地衝突
天地衝突地の底から噴き出してくるものと空の高みから降ってくるものが激しくぶつかり合って精妙無二の姿が生まれ出る芸術とはそういうものだどんな陰惨な描写にも隠された天の光がある天のみを描こうとすると戯画になるそしてまたわれら自身も地だけでは地獄天だけでは無力自らの人生を一つの芸術作品としなさいそう至高の賢者は言ったわれらは天と地をぶつけなくてはならぬ第691日天地衝突
2022/05/22 19:00
第690日 悲惨
悲惨いかなる悲惨をも肯定できる目など人間が持てるはずもないいや持ってはいけないわれらは悲惨に戦き続けるのだ目を逸らし耳を塞いでも悲惨は忍び込んでくる時には自ら悲惨を作り出す悲惨をわざわざ見ようとする者悲惨を好んで作り出す者そこに何が動いているかわれらは知らぬ肯わず打ちのめされ沈黙しつつ悲惨とともにわれらは生きる第690日悲惨
2022/05/21 19:00
第689日 躓き
躓き私を躓かせる目や手を切り捨てるなんてできないせめて私を躓かせる思いを払いのけることかできればなぜこうも邪魔し力を削ぐ思いが不断に生まれてくるのか私はそれを統御することができないそれが私のさがだと受け入れるしかない諦めるしかない躓き叩きのめされながらじりじりと進むそれでいいだろう第689日躓き
2022/05/20 19:00
第688日 独立
独立引きこもりとか結婚放棄とか今の人たちは自虐して言うけれどそれだけ独立しているんじゃないか昔は弱さゆえにつるんだ心細さゆえに結婚した独りで生きていくなんてよほど強い人間でないと無理だった若者よ君たちは強くなっているのだ惨めだなどと騒ぐことはない顎を突き出して独り生きていけばいい誰もが独りで生まれ独りで死ぬ生きていくのも結局は独りそれがあからさまになっているだけだ第688日独立
2022/05/19 19:00
第687日 自己像
自己像自己像を多くの人は帰属によって作る組織の一員であったり思想や理念の信奉者であったり私は何にも帰属していないある種の命題を肯定しているけれど何かの信者というわけでもない私は自己像をそういう形で決めたくない恐ろしく欠落しているところや人より多少豊かであるところそしてある種のものへの憧憬それが私自己像を持たないと不安というけれど見つめている星さえ確かなら絶望はしても不安にはならないそれが私の自己像かもしれない第687日自己像
2022/05/18 19:00
第686日 尻
尻お尻というものは滑稽なものだどんな美女のどんな魅惑的な尻でもそこはかとない滑稽さはある創造主の悪戯だろうか人間があんまり真剣にならないように小さな空気穴をつけているのかちっとは自虐しろと性に関する器官が糞尿のすぐ隣であるのも同じ趣向かもしれない胸のあたりに美しい性器があったら人間の性愛はもっと上品になるのにと創造主を少し恨まないでもない第686日尻
2022/05/17 19:00
第685日 隠修士
隠修士本当は孤独で無意味な人生を送りたかったのではないか砂漠の隠修士のように人と交わる悦びもなく何かを成し遂げる楽しみもなくただ淡々と生き長らえ淡々と死んでいくそんな黒い思いが振り払えないこれは罪であり罰であるのか今はその理想に近いではないかそう独りごちて苦笑するそれは罪であり罰であるだろう第685日隠修士
2022/05/16 19:00
第684日 布団
布団毎朝布団を畳み毎夜布団を敷く面倒だけれどもそれが気持ちいい万年床は何かが溜まる眠る前の絡まった思いや苦い夢の名残が眠っている時間と起きている時間でわれらは別人なのだ眠っている間の別人はどこかへ帰してやらねばならぬ布団を畳むのはその儀式だ第684日布団
2022/05/15 19:00
第683日 置き去り
置き去り街はずれの小さな廃屋に置き去りにされたぬいぐるみは来る日も来る日もうつろな目で窓の外を流れる雲を見ているその子はどんな気持ちでそのぬいぐるみを置いていったのだろうぬいぐるみはどんな気持ちでその子の後ろ姿を見送ったのだろう見捨てられた小さきものそれがわれらもう主人は帰って来ないこの鈍色の時が終わるのは廃屋が崩れ落ちる時われらはそれを静かに待つ第683日置き去り
2022/05/14 19:00
第682日 死にゆく充溢
死にゆく充溢悲しい風景とも人とももう熱いつながりを持てなくなったそれが悲しい何かの役に立つでもなく何か意味があるのでもなくそこに現れた風景や人に切々と同化しようとしていたあの頃私は空虚であったのか今は充たされ過ぎたのかならば空虚であるほうがいいいくら欲望や追憶を捨ててももう空虚に戻ることはできない私は死にゆく充溢であるのか第682日死にゆく充溢
2022/05/13 19:00
第681日 三毒
三毒貪・瞋・癡とんじんち貪はむさぼること、強欲なこと瞋はいかり、にくしみ、ねたみ癡は無知、無明それが人間の三つの毒だと古来仏教は言ってきた確かにそれがなくなれば人間ははるかにいいものになるだろう強欲はさすがになくなってきたが怒りは時たま発作のように生まれる無明に至っては土台無理真の智慧を人は得られるのかそこは単純には行かないまあせめて貪と瞋は消さなくてはね第681日三毒
2022/05/12 19:00
第680日 オカルティスト
オカルティスト天を向いているようで自分に向き世の栄華に向いているそういう錯誤は多い天の秘義に触れたと言いつつ優位に立ったつもりになり力を振るいたがり自らの栄光を求める彼らが好きなのは超越存在ではなく超越している私人はどんなに叡智を得ようと人に超越することなどできない天を垣間見たなら知っているだろうに第680日オカルティスト
2022/05/11 19:00
第679日 露天風呂
露天風呂露天風呂に浸かって空を眺める至福ああこれは乳児の頃の温かいゆりかごと同じだ退行ということかそれもまた乙なもの知と言葉以前の世界を取り戻すことができるならむにゃむにゃだーだーと声を上げれば少しは理知の桎梏も軽くなるだろう幼年の事物の輝きは戻ってこなくともその底にあったこころの不思議な躍動をかすかにでも取り戻したい第679日露天風呂
2022/05/10 19:00
第678日 獺祭魚
獺祭魚カワウソが獲物を並べるようになしてきた失敗をずらずらと並べ立て渋い顔をしてみるのもちょっとおつと言えないこともないしかしその分利口になったのかと問うてみると渋い顔ではすまないことになる少しばかりはと抗弁しても隣で猫が嘲笑うように欠伸をする春の午後第678日獺祭魚
2022/05/09 19:00
第677日 車窓
車窓列車から見る風景は昔はもっと神秘的だった見たこともない光と影が目まぐるしく心を躍らせた鄙びた村は異国の香り寂れた駅は妖怪たちの棲み処トンネルは怪しい水が滴り夕暮れの野にはあちこちで煙が立つ今はどの景色も凡庸私の心の衰えもあるが詰まらなく拡がった文明のせいやがて地方から人がいなくなればまた風景は神秘をまとうだろうがその皮肉な蘇りを私は見ることはないだろう第677日車窓
2022/05/08 19:00
第676日 木漏れ日の道
木漏れ日の道花は咲きその思いは知らず花は散りその行方は知らず季節は来たり去り私の傍らを過ぎていくかすれた音を立てるこの身を暮れ方の鈍い光で包みついえた夢の残り香を揺らし幻のごとき木漏れ日の道を歩くもうあの懐かしい家はない遠く聳える山なみもない歯の欠けたオルゴオルばかりが響き木漏れ日の模様の中に懐かしい顔が浮かび上がるねぎらいの微笑みをたたえながら第676日木漏れ日の道
2022/05/07 19:00
第675日 電子の空
電子の空矩形の重い空を硬質なパルスが飛び交い遊民の夢を撃ち落としていく葬り去られた夢と押し潰された呟きが黒い運河を流れていくわれらはすでに足を踏み入れているのだ未来のディストピアにもう人間は生きることがないだろうただ電網上の影としてしか世界は信号の滔々とした流れになるだろう第675日電子の空
2022/05/06 19:00
第674日 素朴物理
素朴物理ビニールボールを放り上げ坂で橇を滑らせ川面に石を跳ねさせて子供のわれらは楽しんだ木を削り泥を捏ねわれらは万象を作り出した単純な物理の世界がどれほど嬉しいものだったか大人の世を支える物理世界は複雑で難しく手に負えないそれは重々しくわれらを跳ね返す単純素朴な物理の世界に戻りたい何もならないものを作って壊して邪悪な創造神のように喜びたい第674日素朴物理
2022/05/05 19:00
第673日 進退
進退前に進むだけが進歩ではない後ろに下がることもまた進歩引き下がり閉じ籠もり諦め捨て去るしばしばそれが魂を育てるブッダはすべてを捨て去り仏への道へ向かったそれは下がったのか進んだのか挫折して絶望に落ちることも退化ではない魂はその中で進歩していく第673日進退
2022/05/04 19:00
第672日 ミツバツツジ讃
ミツバツツジ讃ミツバツツジの花の色に昔の恋を思い出す細かな事々は失われ誰のことかもわからないが微妙な紫のその色はあでやかでかなしく清楚で少しばかり官能的それが心の奥の琴線を弾く昔の恋の事々はやましく恥ずかしいばかりだがその残り香はいとおしくほんのりとしているのがいい追憶も悔恨もこの淡い花の色のように第672日ミツバツツジ讃
2022/05/03 19:00
第671日 春寒
春寒うすら寒いうすら馬鹿うすら禿げ何だよそれはうすら天才うすら聖人うすら名匠そんなのがあってもいいいや私は五月の詩を詠むはずだったどこでうすら間違えうすら寒いうすら戯れ歌になったのかおおうすらがゲシュタルト崩壊してきたぞうすらうすらうすらうすらこうやってうすらうすら暮らして行こう第671日春寒
2022/05/02 19:00
第670日 イロニー
イロニー幸せなんかいらないのです幸せだった時間を思い出すと胸が苦しくなるのですそんな思いをしたくないのです悩みや不満がごろごろあって自分をくさし世を嫌い思い出してもあれこれ思い悩むそういう日々の方がいいのです幸せを求めていたのならこの世になんて生まれてきません傷つき苦しむために来たんです絶望してぼろぼろになって疲れ果てて生の終わりを求めるそのために生まれてきたんです第670日イロニー
2022/05/01 19:00
2022年5月 (1件〜100件)
「ブログリーダー」を活用して、千日詩人さんをフォローしませんか?