水色の日傘--44

水色の日傘--44

打球はセンター方向に高く上がった。体格のある長谷川の自力だろうか。大根切りにしては不思議な打球の上がり方だ。しかも大きい。センターの森が懸命に追った。吉田はためらい走りで飛んでいく打球を目で追った。 突然浅丘が叫んだ。 「抜けるぞ、走れ!」 吉田は指示を信頼して走った。しかし意外にも打球が高く上がり過ぎていた。深いところまで走った森が捕れそうな気配を見せた。 浅丘がまた叫んだ。 「あかん、戻れ!」 「そんな…殺生な」 吉田は息を吐きながら慌ててファーストへ戻った。森からの返球を一旦福永が受けて振り向いたが吉田は無事にファーストに戻っていた。ツーアウトランナー一塁。 「惜しい、もうちょっとやった…