飲む前に歩け、そして忘れるな - 大阪城で蘇るあの頃の記憶
ふと、京橋での飲み会の通知が舞い込んできた。 今やあの会社も昔話のようだが、どういうわけかこの街が俺を呼んでいる。 心なしか秋の風も少し冷たくなり、大阪の街が見知らぬ顔を並べ始めた頃合いだ。 糖尿病患者の標語が頭をよぎる。 「飲む前に歩け。」言われずとも承知だ。 足元のアスファルトに音を刻み、ひとまず大阪城公園まで歩くことにした。 昼過ぎの大阪城はまるで異国。 観光客たちのざわめきに包まれ、かつての静けさはどこかに消え去っていた。 目を閉じれば、城の天守閣が往年の姿を思い出させてくれる。 それでも時代は変わり、人の波も風景もまた、俺の記憶とは異なっている。 変わらないのはその石垣と、何百年も前…
2024/10/26 16:39