【本】10冊目『同志少女よ、敵を撃て』 逢坂 冬馬 著
ロシア人、女性狙撃手の成長物語。 戦争はかくも人の心を歪めるのだなと読んでて痛々しくなる。 オリガというウクライナ出身のチェーカー(秘密警察)が死ぬ間際に「くたばれソ連」と言ったことは、ウクライナ人のロシアへの恨みを象徴してるように思える。今につながるロシアのウクライナ侵攻の背景には、別々の民族がソ連という壮大なフィクションの下で一つになっていた息苦しさがあったんだろう。 ソ連は第二次世界大戦でナチスドイツに勝利したこと。そして、そこで二千万人余りの犠牲者を出したことは、ソ連という国が一つにまとまるために必要な「物語」なんだろう。日本みたいに戦前・戦後が別の国みたいに語られるのとは違う。 そう…
2023/02/21 16:48