名月の折
友人から「月がでかい」とのメッセージ。 まだ低く、陸橋がかかって見えなかったが、農道の方に歩いていくと見えた。 小間切れの雲のあいだにあって、より明るく感じた。 また1週間ほど外には出ていなかったが、外はもう稲刈りの後の甘い香り。 あまりにも切ない気持ちになったので、友人としばらく感じたことをやりとりしていた。 「何だかふと、本来いるべき他の場所のことを思い出しそうな、懐かしい気持ちにならないか」 と聞くと、 「とてつもなく久しぶりに、思い出の中にいる、姿の見えない誰かに会ってるような気もするよ」 と言っていた。 あの人は丘の上に住んでいるから、人の家々の頭だけ見えて、もっと切ないのだと思う。
2023/09/29 23:02