ミツホさんの奉公
蜜柑を描くという公募があった時、お師匠の話を聞いた。 昭和初期、兄弟姉妹は下に何人もいた。 小学生を卒業したと同時に父さんがやってきて、「おめぇ酒代稼いでこい」と言ったそうだ。 「兄さんが馬を引いてきて、米俵をくっつけているから何でだろうと思ったが、それは私が食う1年分の米だったんだよ」と笑っていた。 雇い人は意地悪で「ろくに働けないわりに飯は人一倍食う」と悪態つかれてばかりいた。 人に何を言われても、生きていくためには気にしないという術がこの頃身についたそうだ。 十分に眠るところなどなく、小屋の中での雑魚寝。それでも一日中働いて疲れていたから、きっちり朝まで眠った。 それでも用を使わされて街…
2023/03/24 18:36