施されること、応えられないこと、死ねない夜
朝、起きる。顔を洗い、ヒゲを剃る。 金が無いから粗食である。朝起きてパンにマーガリンを塗って食べ、薬を飲み、必要そうな栄養はビタミン剤で摂ったことにする。寒いからとりあえず靴下を履き、財布を探してポケットに突っ込む。 家を出て、アパートの廊下を歩いていく。 毎朝思う。いったい何のためにこんなことをしているんだろう? 何万回も問い続けた疑問の答えが突然降りてくるなんてありえない、不毛な問いだ。本当はいつこの人生が終わっても構わない。そのはずだ。 だけど結局、私は死ねなかった。それだけが間違いのない事実だった。 * 2年前、頭が悪すぎて経済的に破綻した。 貧困な生活は、もちろん苦しいことは苦しかっ…
2021/01/30 21:35