あけましておめでとうございます。ymtetcです。 前回の記事にあたたかいコメントをいただきました皆様、ありがとうございました。 今年は少しずつでも、ブログを更新していきます。 さて、今日のテーマは、『ヤマト3199』第二章の後味です。正直、ハッピーエンドとは言い難いもので、後味悪く感じた人も、いらっしゃったかもしれません。 ただ、ハッピーエンドではないにせよ、私はどこか”後味がいい”と感じました。 今日は、その理由を考えていきます。
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト2202』で頭ひとつ抜けている回に第5話があります。過去記事でも取り上げましたが、『2199』と連続で観ていく中で、改めて考えてみたいと思います。 まず気になっていたのは、2199から連続で観て行った際に真琴がどう見えるか、です。 当時ファンの間ではさまざまな意見がありましたが、個人的に違和感はありませんでした。 ただし、彼女の置かれている状況があまりにも過酷。2199との状況のギャップは大きいです。 そんな中、真琴が「加藤を送り出す」一辺倒である点は気になりました。真琴もまたテレザートに呼ばれているクルーの一人ですが、真琴が「ヤマトに乗りたい」と思って…
こんにちは。今日はテーマ記事はお休みです。 『2202』再鑑賞も第5話まで来ました。まだ序盤はメカも玉盛・石津色が強く、「『2199』の続編として『さらば』をリメイクする」との雰囲気が強いなと感じました。 といっても、『さらば』のストーリーを『2199』設定に合わせて改変している側面が強いので、当然ではあるのですが……。 第7話の「イワシの大群」から、独自色が強くなっていきますよね。 最初はコンサバで、徐々に独自色を出していくのは『2199』『2202』『2205』いずれにも言えることです。そして、いずれの作品も終盤にいくにつれ評価が分かれていきます。 それでも、徹頭徹尾コンサバにしないクリエ…
こんにちは。ymtetcです。 多くの例に違わず、私も『2202』の序盤の評価が比較的高い人間でした。 それは、『2202』序盤の展開が、新しいスタッフの新鮮味を出しつつ、いくつか「旧作そのまま」の部分を残していたからです。 ヤマト発進をめぐるドラマ、ガトランティスの雰囲気などは、まだ「旧作そのまま」になる余地を残していました。一方、福井さんらしい(?)社会ドラマ、政治ドラマの風味が取り入れられていたので、それはそれはワクワクしたわけです。 ところが、これは第7話の「イワシの大群」を境に転換していきます。以降、私が「最高傑作」と思っていた『2202』は、別の作品のように変わっていきます。 もち…
こんにちは。ymtetcです。 『2202』が公開された当初、「真田が古代の(テレザート行き)発案に賛同するのは違和感がある」との批判がありました。 今改めて『2202』を観直してみると、「真田は波動砲反対派である」との前提に立てば、あまり違和感のない展開がとられていたと思います。 沖田艦長がいなくなったことで、旧ヤマトクルーのトップは真田になりました。古代が「艦長代理を務めてほしい」と言われて驚いているあたり、この3年間、ヤマトクルーのリーダーはどちらかといえば真田だったのでしょう。 その上で、真田は3年間、ヤマトクルーのリーダーとして、波動砲艦隊計画のそばで生きてきました。時間断層の存在も…
こんにちは。ymtetcです。 昨日、新海誠監督の新作『すずめの戸締まり』を観てきました。 とても新海さんらしい一面と、よくできた映画だなぁと思う一面もありましたが、全体的に、この映画は私にとって「グロテスク」「暴力的」な映画だったと思います。 トラウマを「植え付けられた」とタイトルに書きましたが、それは、もともと私が震災とは縁遠い場所に住んでいることもあって、震災へのトラウマをあまり抱いていないからです。 つまり、今回私が感じた「トラウマ感」や「グロテスクさ」「暴力性」は、全てが震災の記憶からくるものではありません。 ここ数日、『2199』『2202』を振り返りながら記事を書いてきましたが、…
こんにちは。ymtetcです。 2199最終話は、随所に旧作への回帰が見られました。もちろん、相原のリレー通信といった小ネタもありましたが、何より回全体で「宇宙を旅するヤマトと、ヤマトの帰りを待つ地球」の構図が繰り返し強調されていたことで、旧作のもっていた雰囲気を取り戻したと考えます。 ただ、ここまで旧作への回帰が見られると、もういっそのこと、さらに旧作への回帰を進めても良かったのではないか、と思えてきます。 私が気になるのは、最終盤のコスモリバースのくだりです。 『2199』は、旧作の「蘇る森雪」に、以下のような理由づけをしました。 古代守がコスモリバースを用いて森雪を蘇らせる コスモリバー…
こんにちは。ymtetcです。 『2202』の序盤を最近見ていますが、「サスペンスと政治」の要素が強いな、と感じます。今日は、それについて考えます。
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト2202』第1話は評価が難しいな、と感じます。話は面白いのですが映像がついていかない……珍しい回だと考えます。
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト2199』第22話「向かうべき星」は、私のなかで”『2199』の歯車が狂い始めた回”の一つで、私は当時”箸休め回”だと考えていました。ただ、改めて観てみると、いくつか意欲的な部分があったように思います。 今日は、そのことについて考えていきます。
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト2199』最終話を観て、なぜか前半部だけ号泣しました。 今日はその話をしたいと思います。
こんにちは。ymtetcです。 第20話で七色星団戦が終わってからの『2199』は、どうにも歯車が狂っていたような状況が続いていたと私は考えます。 第20話までの『2199』が持っていた、構成上の丁寧さと繊細さ、いい意味での神経質さが、第21話以降はせきを切ったように消えていった印象です。そこにあったのは、のちの『2202』にも通じるような「勢い」重視に近い物語の在りようでした。 もちろん、スケジュールの問題で作画が安定しなくなったことも、そうした印象を私に与えた理由の一つでしょう。しかし、それだけではないと私は考えます。 今回指摘しておきたいのは、「演出にメリハリがなくなったこと」です。 例…
やはりわからない「デスラーの動機」:『ヤマト2199』第23話
こんにちは。ymtetcです。 いま『2199』を観返す際に、今となって気になるのは、やはりデスラーです。 福井ヤマトによる再構成が進んだ現在のデスラーですが、それを経た自分の目に、『2199』デスラーはどのように見えるのか。 今日は、その感想を書いていきたいと思います。
こんにちは。ymtetcです。 ブログ休止期間中、久しぶりに『2199』を観ました。ブログを一時休止した理由の一つに「『ヤマト』を観る時間さえない」ことがあったので、よい機会でしたね。 さて、意外だったのは、あれだけ「面白く素晴らしいが泣けない作品」と評してきた『2199』を観て、私が大号泣したことです(笑)。 これは10代~20代初めの私から、26歳となった現在の私の間に何らかの変化があったことが要因でしょう。ただ、それはここでは深堀りしません。 今日は、私が号泣した理由について、作品にフォーカスして考えていきます。
こんにちは。ymtetcです。 むらかわみちおが手掛ける『宇宙戦艦ヤマト2199』公式コミカライズが 12/16 に連載再開決定⚓さらに!コミックス最新9巻が12/26に発売⚡️▼コミックNewtypeでは第4話までを無料公開中です!https://t.co/h8gqR7sMfX乞うご期待! #宇宙戦艦ヤマト pic.twitter.com/ztWM2PF8wL — 宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会 (@new_yamato_2199) 2022年11月3日 ついに、むらかわさんの『2199』コミカライズの再始動が正式発表されました。 前回は「歓喜」と題して期待を書きましたので、今日は反面、懸…
こんにちは。ymtetcです。 ここ最近の『ヤマト』におけるビッグニュースの一つが、むらかわみちおさんによる『2199』コミカライズの再開でしょう。今日は、これについて考えていきます。
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あけましておめでとうございます。ymtetcです。 前回の記事にあたたかいコメントをいただきました皆様、ありがとうございました。 今年は少しずつでも、ブログを更新していきます。 さて、今日のテーマは、『ヤマト3199』第二章の後味です。正直、ハッピーエンドとは言い難いもので、後味悪く感じた人も、いらっしゃったかもしれません。 ただ、ハッピーエンドではないにせよ、私はどこか”後味がいい”と感じました。 今日は、その理由を考えていきます。
お久しぶりです。ymtetcです。 長らく行方不明となっており、申し訳ありません。 2024年のymtetcに起きた変化を列挙すれば、それだけでエッセイブログが書けてしまいそうですが、それは皆さま、興味がないと思いますので……。 ともあれ、『3199』第一章は劇場公開期間の終わりごろに滑り込むのがやっと、第二章にいたっては、劇場での鑑賞はかなわず、公開期間終了後の今になって、デジタルセルで鑑賞。それだけの変化が起きた、とだけ、書いておきます。「『宇宙戦艦ヤマト』はライフワーク」と考えていた大学生の頃が、何もかも皆懐かしい。 さて、本日はymtetcが、『ヤマト3199』第二章までを観てどう感じ…
こんにちは。ymtetcです。 この数日、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの主題歌に向き合ってきましたが、ふと、たくさんの主題歌に共通して出現するモチーフがあることに気づきました。 今日は、『ヤマト』主題歌に共通して出現するモチーフから、『ヤマト』シリーズが志向してきた「平和」について探っていきます。 〇みんなで微笑むときが 復活のとき 〇「豊かな自然」「人々の微笑み」と「優しい歌」 〇『ヤマト』ソングが語る「平和」
こんにちは。ymtetcです。 前回、THE ALFEE「この愛を捧げて」の歌詞を旧『ヤマト』作品に引き寄せて分析しましたが、今回はポスト・西﨑義展時代のヤマトソングの代表格、畑亜貴さんの作詞による「星が永遠を照らしてる」「美しい地球を知る者よ」を取り上げていきます。 この二曲は、それぞれ『宇宙戦艦ヤマト2199』第一章・第二章のエンディング主題歌として歌われました。畑亜貴さんは『宇宙戦艦ヤマト』ファンおよび「ささきいさお」ファンであることを公言されており、その作品への理解度は、後の『2199』『2202』『2205』主題歌を見ても群を抜いていると思います。 今日は「星が永遠を照らしてる」「美…
こんにちは。ymtetcです。 『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』主題歌であったTHE ALFEE「この愛を捧げて」は、作詞の高見沢俊彦さんが『さらば宇宙戦艦ヤマト』ファンであったこともあり、『さらば宇宙戦艦ヤマト』、および主題歌「ヤマトより愛を込めて」へのオマージュに満ちています。 もちろん、高見沢さんが意識的にオマージュしているのは『さらば宇宙戦艦ヤマト』と「ヤマトより愛をこめて」のみでしょう。しかし、それに加えて、「この愛を捧げて」は、『さらば』の魂を継承したがゆえに(また、西﨑義展さんのチェックを通過したがゆえに)、すべての旧『ヤマト』の精神を継承した歌詞になったと私は考えます。 今日は私なり…
こんにちは。ymtetcです。 『宇宙戦艦ヤマト』は、面白いほどに「完結」できません。 その背景には、強固な既存ファンという商業的な理由もありますが、思想的な面でも「完結」できない理由があると考えます。 今日は、旧『ヤマト』のイメージソングである「ヤマト10年の賦」の歌詞に注目して、『宇宙戦艦ヤマト』が「完結」できない理由を探ります。 〇「ヤマト10年の賦」が語る『ヤマト』の最終目的地 〇実現不可能に近い「ヤマト10年の賦」 〇福井晴敏の語る「『ヤマト』の完結」 〇『さらば』という「永遠の航海」エンド 〇現実味を帯びる「永遠の航海」エンド
こんにちは。ymtetcです。 近頃「X(旧Twitter)」を見ていると、『ヤマト2202』のメカデザインに関して、一種の論争のようなものが繰り広げられている様子を時々目にします。 完結から5年が経ち、『2202』の反省に立つ続編『2205』の公開さえも久しい現在、なぜ何度も何度も『2202』メカデザイン論争は再燃してしまうのか。 今日は、その背景の一端を考えたいと思います。 ①旧作の世界観に沿わない『ヤマト2202』メカ ②一部のファンが傷ついた『ヤマト2202』体験 ③世間に溢れる「世界観に沿ったメカデザイン」 ④”粘着”と感じる『2202』ファンの心理 ⑤エコーチェンバー現象
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト2199』には、ネットスラングで「お風呂回」「水着回」と言われるようなシーンがあります。私個人の経験から、『ヤマト2199』は、あのシーンがあることによって「家族の前で観られない(観づらい)」作品になったと考えます。 しかし当時は、これを擁護する意見もありました。
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト3199』を控えている2024年。上映館数はリメイクシリーズの「非劇場版」作品としては最多であり、ファン層拡大への期待も膨らむ…… と言いたいところですが、私はそうは思えないのが現状です。
こんにちは。ymtetcです。 『スターブレイザーズΛ』が先鞭をつけた『宇宙戦艦ヤマトNEXT』シリーズ。その後の音沙汰はありませんが、突然、何かがあるかもしれないのが『ヤマト』界隈です。 今日は、この『NEXT』シリーズの未来について考えたいと思います。 『スターブレイザーズΛ』は、先駆者としての意義は絶大ではありますが、これからのヤマトを考える上では、反省するべき点もある作品だと私は考えています。 というのも、振り返った時に、「これが『ヤマト』である必要はあるのか」との問いが、どうしても拭えない形になってしまったからです。『Λ』の縁あって読んだ『鉄腕アダム』がとても面白かっただけに、終盤は…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『2202』ラストの「国民投票」は、『さらば』のラストで描かれた「古代進の死」が、その後の世界(現実世界を生きる観客)にどのような影響を与えたか?を問いかける「粋」なアイデアであった一方、『さらば』のラストの解釈を”福井晴敏”色に規定してしまう点で「無粋」なアイデアでもあったと述べました。 今日は、そんな『2202』が持っていた『さらば』へのリスペクトと、作品全体に流れていた『さらば』否定のお話です。
こんにちは。ymtetcです。 過日、『さらば宇宙戦艦ヤマト』を再見して気づいたのは、『2202』最終話の解釈です。 『さらば』ラストシーンに答えるという「粋」 『さらば』ラストシーンには、こんなテレサのセリフがあります。 あなたのおかげで人々は目覚め、より美しい地球と、宇宙のために働くことでしょう。 古代進の行動が、生き残った人々に「勇気と愛」を与え、人々は目覚める。テレサはそう語りかけ、古代を導きます。 ここで疑問として浮かぶのは、では実際に、古代と雪の死によって救われた地球人類は「目覚め」たのか?ということ。 さらにいえば、『さらば』という映画に感動した子どもたちは、あれから40年経って…
こんにちは。ymtetcです。 10年以上にわたって続いてきたリメイク・ヤマトには、多種多様な思い出があります。初めて『ヤマト』を地上波放送で観た『2199』テレビ版、受験期に繰り返し観た『方舟』、大学生活と共にあった『2202』、社会人として初のヤマトだった『時代』と『2205』。 しかし特別なのは、2012年4月に観た『宇宙戦艦ヤマト2199』第一話です。 あれは高校の入学式の日、ファミリー劇場でした。 『宇宙戦艦ヤマト』なのに「今っぽい」 「私のための『ヤマト』」
こんにちは。ymtetcです。 前回、『ヤマト2202』が「原作から改変している」との印象を与えたのは、『さらば』をテレビシリーズに拡張する段階で必要となる「エピソードの付け足し」において、『さらば』でも『2』でもないストーリーを追加したからだ、と述べました。 リメイクシリーズの『2199』『2202』では、いずれも原作にはない新しいストーリーが追加されています。ただ、両作の「付け足し」方法論には違いがあります。 歴史的権威のない『2202』と権威のある『2199』 『2202』と同じ状態に陥った『2199』第七章 『2199』批判の一因 新作エピソードにはリスクが伴う
こんにちは。ymtetcです。 『さらば』を原作とする『ヤマト2202』。 ですが、この作品を観て真っ先に「この作品は『さらば』をそのままリメイクしたものだね」と評する人は少ないのではないでしょうか。さらに言えば、多くの人が「この作品は『さらば』を大きく改変している」との印象を抱くのではないでしょうか。 この点は福井さんも気にしているようで、2020年には「『2202』のときは、序盤はともかく後半へ進むにつれ、どこに『さらば』や『ヤマト2』(の要素)があるんだ? っていう展開になっていきました」と述べています。福井さん自身、2016年時点では「基本は『さらば宇宙戦艦ヤマト』を原作として……(略…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『さらば』クライマックスにおける古代進の言葉は、第一作『ヤマト』の第13話、そして第24話から連なるものだと述べました。『さらば』クライマックスの古代の胸にあるのは、「命の大事さ」を理解しようとしない「理不尽な暴力」に対する怒りと、「喪失」の悲しみです。 この怒りと悲しみを克服する手段として、古代は死を選び、自らの理想を全うしたのが、『さらば』のラストだったと言えそうです。 さて、『さらば』のリメイクとして構想された『ヤマト2202』も、概ね同じ手法で読み解くことができます。『ヤマト2202』の古代は、なぜ自ら死を選び、高次元空間から帰ってこよう…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『宇宙戦艦ヤマト』第24話「死闘!神よ、ガミラスのために泣け!!」における古代進の語りは、「人間は互いに『命の大事さ』を知っているのだから、『愛し合うこと』をしなければならない」という趣旨であったと述べました。 この「命の大事さを知ること」=「愛を知ること」といった構図は、『宇宙戦艦ヤマト』から『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』に受け継がれ、『さらば』を原作とする『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』にも繋がっていきます。 その点においては、『さらば宇宙戦艦ヤマト』、そして『ヤマト2202』は、初代『宇宙戦艦ヤマト』のテーマ性を、(一部分に…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『宇宙戦艦ヤマト』第13話「急げヤマト!! 地球は病んでいる!!」における、古代進の行動について考えました。 「理不尽な暴力」によって両親を奪われた古代進は、同じ「人間」でありながら、そのような行為に及んでいたガミラス人(の捕虜)に対して憤りをぶつけ、殺害しようとします。しかし、ガミラス人捕虜が一転して自決を図ると、古代は彼の「命の大事さを知らない」行動に憤り、「貴様も人間なら、命の大事さを知れ」と叱りつけます。 この一連のシーンは、後の第24話「死闘!神よ、ガミラスのために泣け!!」に繋がります。 「命の大事さ」を知っていても
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト』劇場版を観て、最初に観たくなったのが、『ヤマト』テレビシリーズ第13話「急げヤマト!! 地球は病んでいる!!」でした。漫画『はだしのゲン』をほうふつとさせる、戦時中の日本をモデルとした「古代進の幼少期」の描写が印象的な回ですね。 第13話は、かつて、10代や大学生だった頃の私には、少し理解の難しいシーンがありました。それが、一度は殺そうとしたガミラス人捕虜の自決を、古代進が阻止して、𠮟りつけた場面です。 「貴様も人間なら、命の大事さを知れーっ!」。 殺そうとした相手の自決を、古代進は、なぜ阻止したのか? 回想シーンで描かれたもの 「ガミラス人も同じ人間…
こんにちは。ymtetcです。 『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』以降の「福井ヤマト」は、二つの移行期を持つと考えます。 『2199 星巡る方舟』 ⇒『2202 愛の戦士たち』 『2202 愛の戦士たち』⇒『ヤマトという時代』 「1」は出渕ヤマトから福井ヤマトへの時期、「2」は福井ヤマトから羽原さん・小林さんの『復活篇』スタッフが抜け、より福井さんの役割が大きくなった時期です。 参考資料 表で整理してみる わかること
こんにちは。ymtetcです。 この数日、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの主題歌に向き合ってきましたが、ふと、たくさんの主題歌に共通して出現するモチーフがあることに気づきました。 今日は、『ヤマト』主題歌に共通して出現するモチーフから、『ヤマト』シリーズが志向してきた「平和」について探っていきます。 〇みんなで微笑むときが 復活のとき 〇「豊かな自然」「人々の微笑み」と「優しい歌」 〇『ヤマト』ソングが語る「平和」
こんにちは。ymtetcです。 前回、THE ALFEE「この愛を捧げて」の歌詞を旧『ヤマト』作品に引き寄せて分析しましたが、今回はポスト・西﨑義展時代のヤマトソングの代表格、畑亜貴さんの作詞による「星が永遠を照らしてる」「美しい地球を知る者よ」を取り上げていきます。 この二曲は、それぞれ『宇宙戦艦ヤマト2199』第一章・第二章のエンディング主題歌として歌われました。畑亜貴さんは『宇宙戦艦ヤマト』ファンおよび「ささきいさお」ファンであることを公言されており、その作品への理解度は、後の『2199』『2202』『2205』主題歌を見ても群を抜いていると思います。 今日は「星が永遠を照らしてる」「美…
こんにちは。ymtetcです。 『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』主題歌であったTHE ALFEE「この愛を捧げて」は、作詞の高見沢俊彦さんが『さらば宇宙戦艦ヤマト』ファンであったこともあり、『さらば宇宙戦艦ヤマト』、および主題歌「ヤマトより愛を込めて」へのオマージュに満ちています。 もちろん、高見沢さんが意識的にオマージュしているのは『さらば宇宙戦艦ヤマト』と「ヤマトより愛をこめて」のみでしょう。しかし、それに加えて、「この愛を捧げて」は、『さらば』の魂を継承したがゆえに(また、西﨑義展さんのチェックを通過したがゆえに)、すべての旧『ヤマト』の精神を継承した歌詞になったと私は考えます。 今日は私なり…
こんにちは。ymtetcです。 『宇宙戦艦ヤマト』は、面白いほどに「完結」できません。 その背景には、強固な既存ファンという商業的な理由もありますが、思想的な面でも「完結」できない理由があると考えます。 今日は、旧『ヤマト』のイメージソングである「ヤマト10年の賦」の歌詞に注目して、『宇宙戦艦ヤマト』が「完結」できない理由を探ります。 〇「ヤマト10年の賦」が語る『ヤマト』の最終目的地 〇実現不可能に近い「ヤマト10年の賦」 〇福井晴敏の語る「『ヤマト』の完結」 〇『さらば』という「永遠の航海」エンド 〇現実味を帯びる「永遠の航海」エンド
こんにちは。ymtetcです。 近頃「X(旧Twitter)」を見ていると、『ヤマト2202』のメカデザインに関して、一種の論争のようなものが繰り広げられている様子を時々目にします。 完結から5年が経ち、『2202』の反省に立つ続編『2205』の公開さえも久しい現在、なぜ何度も何度も『2202』メカデザイン論争は再燃してしまうのか。 今日は、その背景の一端を考えたいと思います。 ①旧作の世界観に沿わない『ヤマト2202』メカ ②一部のファンが傷ついた『ヤマト2202』体験 ③世間に溢れる「世界観に沿ったメカデザイン」 ④”粘着”と感じる『2202』ファンの心理 ⑤エコーチェンバー現象
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト2199』には、ネットスラングで「お風呂回」「水着回」と言われるようなシーンがあります。私個人の経験から、『ヤマト2199』は、あのシーンがあることによって「家族の前で観られない(観づらい)」作品になったと考えます。 しかし当時は、これを擁護する意見もありました。
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト3199』を控えている2024年。上映館数はリメイクシリーズの「非劇場版」作品としては最多であり、ファン層拡大への期待も膨らむ…… と言いたいところですが、私はそうは思えないのが現状です。
こんにちは。ymtetcです。 『スターブレイザーズΛ』が先鞭をつけた『宇宙戦艦ヤマトNEXT』シリーズ。その後の音沙汰はありませんが、突然、何かがあるかもしれないのが『ヤマト』界隈です。 今日は、この『NEXT』シリーズの未来について考えたいと思います。 『スターブレイザーズΛ』は、先駆者としての意義は絶大ではありますが、これからのヤマトを考える上では、反省するべき点もある作品だと私は考えています。 というのも、振り返った時に、「これが『ヤマト』である必要はあるのか」との問いが、どうしても拭えない形になってしまったからです。『Λ』の縁あって読んだ『鉄腕アダム』がとても面白かっただけに、終盤は…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『2202』ラストの「国民投票」は、『さらば』のラストで描かれた「古代進の死」が、その後の世界(現実世界を生きる観客)にどのような影響を与えたか?を問いかける「粋」なアイデアであった一方、『さらば』のラストの解釈を”福井晴敏”色に規定してしまう点で「無粋」なアイデアでもあったと述べました。 今日は、そんな『2202』が持っていた『さらば』へのリスペクトと、作品全体に流れていた『さらば』否定のお話です。
こんにちは。ymtetcです。 過日、『さらば宇宙戦艦ヤマト』を再見して気づいたのは、『2202』最終話の解釈です。 『さらば』ラストシーンに答えるという「粋」 『さらば』ラストシーンには、こんなテレサのセリフがあります。 あなたのおかげで人々は目覚め、より美しい地球と、宇宙のために働くことでしょう。 古代進の行動が、生き残った人々に「勇気と愛」を与え、人々は目覚める。テレサはそう語りかけ、古代を導きます。 ここで疑問として浮かぶのは、では実際に、古代と雪の死によって救われた地球人類は「目覚め」たのか?ということ。 さらにいえば、『さらば』という映画に感動した子どもたちは、あれから40年経って…
こんにちは。ymtetcです。 10年以上にわたって続いてきたリメイク・ヤマトには、多種多様な思い出があります。初めて『ヤマト』を地上波放送で観た『2199』テレビ版、受験期に繰り返し観た『方舟』、大学生活と共にあった『2202』、社会人として初のヤマトだった『時代』と『2205』。 しかし特別なのは、2012年4月に観た『宇宙戦艦ヤマト2199』第一話です。 あれは高校の入学式の日、ファミリー劇場でした。 『宇宙戦艦ヤマト』なのに「今っぽい」 「私のための『ヤマト』」
こんにちは。ymtetcです。 前回、『ヤマト2202』が「原作から改変している」との印象を与えたのは、『さらば』をテレビシリーズに拡張する段階で必要となる「エピソードの付け足し」において、『さらば』でも『2』でもないストーリーを追加したからだ、と述べました。 リメイクシリーズの『2199』『2202』では、いずれも原作にはない新しいストーリーが追加されています。ただ、両作の「付け足し」方法論には違いがあります。 歴史的権威のない『2202』と権威のある『2199』 『2202』と同じ状態に陥った『2199』第七章 『2199』批判の一因 新作エピソードにはリスクが伴う
こんにちは。ymtetcです。 『さらば』を原作とする『ヤマト2202』。 ですが、この作品を観て真っ先に「この作品は『さらば』をそのままリメイクしたものだね」と評する人は少ないのではないでしょうか。さらに言えば、多くの人が「この作品は『さらば』を大きく改変している」との印象を抱くのではないでしょうか。 この点は福井さんも気にしているようで、2020年には「『2202』のときは、序盤はともかく後半へ進むにつれ、どこに『さらば』や『ヤマト2』(の要素)があるんだ? っていう展開になっていきました」と述べています。福井さん自身、2016年時点では「基本は『さらば宇宙戦艦ヤマト』を原作として……(略…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『さらば』クライマックスにおける古代進の言葉は、第一作『ヤマト』の第13話、そして第24話から連なるものだと述べました。『さらば』クライマックスの古代の胸にあるのは、「命の大事さ」を理解しようとしない「理不尽な暴力」に対する怒りと、「喪失」の悲しみです。 この怒りと悲しみを克服する手段として、古代は死を選び、自らの理想を全うしたのが、『さらば』のラストだったと言えそうです。 さて、『さらば』のリメイクとして構想された『ヤマト2202』も、概ね同じ手法で読み解くことができます。『ヤマト2202』の古代は、なぜ自ら死を選び、高次元空間から帰ってこよう…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『宇宙戦艦ヤマト』第24話「死闘!神よ、ガミラスのために泣け!!」における古代進の語りは、「人間は互いに『命の大事さ』を知っているのだから、『愛し合うこと』をしなければならない」という趣旨であったと述べました。 この「命の大事さを知ること」=「愛を知ること」といった構図は、『宇宙戦艦ヤマト』から『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』に受け継がれ、『さらば』を原作とする『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』にも繋がっていきます。 その点においては、『さらば宇宙戦艦ヤマト』、そして『ヤマト2202』は、初代『宇宙戦艦ヤマト』のテーマ性を、(一部分に…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『宇宙戦艦ヤマト』第13話「急げヤマト!! 地球は病んでいる!!」における、古代進の行動について考えました。 「理不尽な暴力」によって両親を奪われた古代進は、同じ「人間」でありながら、そのような行為に及んでいたガミラス人(の捕虜)に対して憤りをぶつけ、殺害しようとします。しかし、ガミラス人捕虜が一転して自決を図ると、古代は彼の「命の大事さを知らない」行動に憤り、「貴様も人間なら、命の大事さを知れ」と叱りつけます。 この一連のシーンは、後の第24話「死闘!神よ、ガミラスのために泣け!!」に繋がります。 「命の大事さ」を知っていても
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト』劇場版を観て、最初に観たくなったのが、『ヤマト』テレビシリーズ第13話「急げヤマト!! 地球は病んでいる!!」でした。漫画『はだしのゲン』をほうふつとさせる、戦時中の日本をモデルとした「古代進の幼少期」の描写が印象的な回ですね。 第13話は、かつて、10代や大学生だった頃の私には、少し理解の難しいシーンがありました。それが、一度は殺そうとしたガミラス人捕虜の自決を、古代進が阻止して、𠮟りつけた場面です。 「貴様も人間なら、命の大事さを知れーっ!」。 殺そうとした相手の自決を、古代進は、なぜ阻止したのか? 回想シーンで描かれたもの 「ガミラス人も同じ人間…
こんにちは。ymtetcです。 『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』以降の「福井ヤマト」は、二つの移行期を持つと考えます。 『2199 星巡る方舟』 ⇒『2202 愛の戦士たち』 『2202 愛の戦士たち』⇒『ヤマトという時代』 「1」は出渕ヤマトから福井ヤマトへの時期、「2」は福井ヤマトから羽原さん・小林さんの『復活篇』スタッフが抜け、より福井さんの役割が大きくなった時期です。 参考資料 表で整理してみる わかること
こんにちは。ymtetcです。 starblazers-yamato.net 『ヤマトよ永遠に REBEL3199』のポスターには、総監督・福井晴敏さんの、こんな言葉が掲載されています。 ヤマトは抵抗の物語です。一方的に境界を侵し、服従を強いる他者への抵抗。人を、社会を無惨に蝕む、理不尽な天災への抵抗。それらと向き合い、戦ううちに、いつしか自由も人間性も犠牲にし、なにを守ろうとしていたのかもわからなくなってしまう。やさしさと表裏一体の、人の愚かさに対する抵抗――。最初の船出から半世紀を経て、その抵抗の物語は、我々の明日を左右する現実になりつつあります。そんな時代に語られる、五十年目の宇宙戦艦ヤ…
こんにちは。ymtetcです。 『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』4Kリマスターの上映が始まりました。そして上映「前」の予告編として、『ヤマトよ永遠に REBEL3199』の特報が流れています。シアター内で新旧『ヤマト』が共演しているわけですね。 今日は、このメリットを起点に、『3199』が『ヤマトよ永遠に』を掲げている意味を考えてみたいと思います。 旧作ファンにリメイクを告知する好機 『3199』が『ヤマトよ永遠に』である意味