子どもの家
「可哀想だなって思った、色んな意味で」 「色んな意味で?」 少年は笑いながら聞き返してくる。 「本当に、子どもみたいな大人っているんだなって。ひと回り以上も年下の私にそう思われたことも、可哀想だよね」 「ふーん」と、少年は、ゴロゴロとした氷が入ったコップを傾ける。 飲んでいるのはオレンジジュースのはずなのに、 その大人びた表情のせいで、アルコールが入っているかのように錯覚してしまう。 「君は、なんていうか逆だよね」 「逆?」 「子どもなのに、大人みたいだ」 「あぁ」 少年は、ふっと、少しだけ頬を緩ませた。 「ここではね、たくさんの大人が、僕に話をしてくれるんだ。 お姉さんがさっき言ってたように…
2023/02/25 21:36