僕だけじゃないんだろうけど
太陽が沈むと、こんなにも寒い。そのことに僕は安心していた。太陽は照らしすぎる。 本当は、こんなにも冷え切っていて、 痛くて、透明な空気を、 ジリジリと燃やし、熱く、息苦しくしてしまう。 先生は胸ポケットからライターを取り出して、 タバコに火をつけた。 それくらいの灯りが、丁度いいと思った。 「生徒の前でタバコ、吸っちゃだめだろ」 先生は何も言わずに、大きく吸った息を、 さらに膨らませるように吐き出した。 透明な空気が汚れる。 この世界の悪いところは、それが綺麗に見えるところだ。 「無視かよ」 僕はほんのりと温もりを帯び始めたベンチから立ち上がる。先生がはっきりとこちらを向いたのが分かった。 「…
2023/03/02 21:52