ブログみるアプリ
日本中の好きなブログをすばやく見られます
無料ダウンロード
ブログ村とはIDが異なります
メインカテゴリーを選択しなおす
フォロー
ワルター機関
このいつ果てるともわからない戦争に、日本が一方的に不利になっていた昭和十九年の暮れのことだった。わたくしは、ワルター機関について調べていた。ナチス・ドイツの秘密組織を通じて、京都帝大の日下部研究室にワルター機関についての膨大な資料が日本の潜水艦によっても
2020/02/07 10:31
パラドックス
研究室はエアコンが止まっていて、代わりに窓が全開になっていた。蝉しぐれがワンワン響いている。「それは、あなたパラドックスですよ」宇佐美昭雄はさも面白いという表情であたしに言った。彼は今年、講師になったばかりのポスドクだった。「シュレーディンガーの猫ってご
2020/02/07 10:29
「いもうと」って可愛い?好き?
男の人にとって「妹」とは、どんな存在なんだろう?妹がいるひとも、いないひとも、「妹」は特別な存在なんじゃないかな。万葉集でも「妹(いも)」とは、愛人のこと。異母兄妹なら婚姻も許された古代、中大兄皇子と間人皇女(はしひとのひめみこ)は同母兄妹だったのに密通
2020/02/07 10:25
藪入り(下)
アユを絞めて、手製の竹串を打ち、炭火を熾した七輪で焼いた。土間では、妹の今日子も味噌汁の支度をしてくれている。飯は、いまだにかまど炊きだったが、幼いころから今日子は親を手伝っていたので、任せられた。今日子は、重いのに最近、街で流行っている「缶ビール」を二
2020/02/07 10:24
藪入り(中)
たらいの中でアユたちは元気に泳いでいた。簗で捕まえているので、傷んでいないから元気なのだ。冷蔵庫のないおれんちでは、食べるまで魚は生かしておくしかない。その夜、月が明るかった。日が落ちれば、肌寒いくらいだった。蛍の季節は過ぎて、なんの風情もなくなってしま
藪(やぶ)入り(上)
今年の夏は、例年になく暑いと感じた。おれは、ポンプで井戸の水をたらいに汲んで、頭からかぶった。キィコ、キィコ…ザバァバケツには朝に採ったトマトときゅうりが水に浮いている。多々羅(たたら)は山間の村だ。一番近い街の河西(こうざい)市まで、徒歩で二時間近く歩
2020/02/07 10:23
もくじ7
「もくじ7」からは、「なおぼんR」つまり法人格の「なおぼん」の創作したお話になります。その経緯は「おしまいの「ん」」をご覧ください。尚子抄ちぃちゃん(1)~(4)千恵子の告白あたしがいたころ脱線(1)~(3)婚外子脅迫隠し事
2020/02/04 18:00
隠し事
弟の英治がやってきた。四十を過ぎてまだ独身なのだ。だから両親と暮らしている。ひと昔前「パラサイト」と言われた生き方だ。「姉ちゃん、ひま?」来るなりいつも、こうだ。「ひまなわけないでしょうが。主婦は忙しいのよ。綾香だって難しい年ごろなんだし」娘は、実際、高
2020/02/04 16:10
婚外子脅迫
もう何度、京都府警にしょっぴかれたことだろう。今度は脅迫容疑だった。「後藤さん、あんたね、婚外子をネタに主婦を脅し、カネを振り込ませたと調べがついとんのやけど」ひげの剃り跡が青い、村西という刑事がゆっくりと尋問してきた。「コンガイシ?なんですそれ」あたし
2020/02/04 16:00
脱線(3)
トムは、根っから話し好きらしい。情事の後も、自分からいろんなことを話しだした。「おれさ、初体験が早かったんだよ」そう切り出した。「早いって?どれくらい?」「中一」「へぇ…相手は?」「それがさ、アル中のおばさんでさ…」彼の話によると、近所の洗濯屋のおかみさ
2020/02/04 15:45
脱線(2)
結婚後、夫以外の男性と一緒にバスルームに入るなんて、これまでのわたしには考えられないことだった。目の前に、トムが勃起をさらしている。夫のものより、太く見えた。「カズさんの裸を見て、おれのもこんなだぜ」「すごい…」抱き寄せられ、シャワーで濡れた体が重なる。
2020/02/04 15:40
脱線(1)
「わたし、そわそわしているかしら?」わたしは、いけないことをしている。出会い系サイトに登録して、初めて男の人と会うのだ。夫も子供もいるのに…夫は、わたしを家政婦か何かのように扱う。一人息子は東京の学校に行ってしまい、盆と正月くらいしか帰ってこない。わたし
2020/02/04 15:30
あたしがいたころ
もうすぐ夏休みだ。中間考査の成績が予想を上回ったので、あたしは上機嫌だった。お祖父ちゃんの前栽に生えている松の木に、144MHzの8分の5波長二段GP(アマチュア無線のアンテナ)を取り付けるために登っていた。「なおぼ~ん」従弟のこうちゃんが下から呼ぶ。「こうちゃ
2020/02/04 15:00
千恵子の告白
用を足しながら、胎内から精液が流れ出てくるのを見て「背徳」という言葉が浮かんだわ。夫の知らない男性の精液…五十代半ばになって、初めて夫を裏切ったの。利用者様のご家族と不倫をしてしまったあたしは、ケアマネジャーとして失格だわ。田口正和さんと言うの。彼は、奥
2020/02/04 14:30
ちぃちゃん(4)
毎週、ちぃちゃんの休みの日、つまり火曜日なんだけれど、その日におれも仕事を休んで逢引するようになった。誘えば、ちぃちゃんはだいたい応じてくれる。郊外のホテルに行くことも厭わなかった。最初はいつも乗らない風でキスを交わすが、おれが前戯を執拗に加えると、自ら
2020/02/04 14:20
ちぃちゃん(3)
射精した後の虚脱感から、おれはなかなか回復しなかった。それにつけても、ベッドの上のちぃちゃんを見て、「ああ、やっちまったんだ」という、後悔が頭を巡っていた。互いに五十を遠(とお)に越してのまぐわい…己の性欲に任せて、禁断の行為に走った後ろめたさ…恥ずべき
2020/02/04 14:15
残す
山本くんとは、もう三年ぐらい逢瀬を重ねている。出合い系で知り合ったセフレだけれど、セフレ以上の仲になった。結婚はしていても、お互い配偶者に恵まれず、同じ傷を舐め合う同志だった。山本くんには、メンヘラの奥さんがいて、不妊症が元で家庭内別居状態だという。あた
2020/02/02 00:50
マルチファック
今日は、藤堂真司監督自ら主演の撮影です。複数の女の子とセックスしまくるという、業界では「マルチ」というやつです。現場の修学院駅前のマンションの一室は、いつもとちがって女の子であふれかえって華やかなこと。京都では「はんなり」と表現しますが、そういう感じ。助
2020/02/02 00:45
ぶっこいて、塞翁が馬
マンコロジーナ「あなた、こんばん、どう」チンコスタ「いやぁ、天秤棒で腰をしたたか打っちまってな」※以下、マンコ、チンコと略します。マンコ「もう、役立たず」チンコ「けっ、このサカリのついた売女(ばいた)め」マンコ「言ったわね、この茹で過ぎパスタ野郎」ねえね
2020/02/02 00:42
狂母
物心ついた時から、ぼくは母とセックスをしていたことになる。母は、精神を病んでいた。セックスというものが、荒れた女の人を優しくすると、少ない経験から、ぼくは信じていた。父を亡くし半狂乱になった母をなだめるにはセックスしかなかったのだ。ずいぶん大きくなってか
2020/02/02 00:35
入学式
今年の桜は、ひとしお美しくおれの目に映った。第一志望の此花学園高校に入学できたのだから。その名に違(たが)わず、桜並木が校門から校舎まで続いている。近隣の桜の名所としても名高いのだった。今日は入学式なのだ。おれは、学園のエンブレムも誇らしい紺サージの真新
2020/02/02 00:29
監禁 最終話
お兄さんは、変わってしまった。あたしが嫌だと言っても、セックスの相手をさせられる。男の人って、こんなに何度もセックスをしたがるものなのか?あたしは、あんまり気持ちよくないのに。それに…エッチなサイトの動画を無理やり見せられ、フェラチオというものを教え込ま
2020/02/02 00:24
監禁(5)
あたしは、夜中に目が覚めた。ここは、あたしが閉じ込められているお兄さんの家だった。手に違和感があった。何かを握っている。いや、握らされているんだった。暖かい、指のような棒のようなものを。たぶん、お兄さんの体の一部であることは間違いなかった。そしてあたしの
2020/02/02 00:17
監禁(4)
国道十六号線をおれは愛車ダイハツ「MOVE」を飛ばしていた。「ねえ、車、変えたの?」目の覚めるようなルージュの唇を開いて訊く智里は、すごく大人びて見えた。「あ、ああ。前のレガシィは廃車にした」「ふうん…アシがつくから?」どこでそんな言葉を覚えたんだか。「まあ
2020/02/02 00:15
誘拐(3)
おれたちは、奇妙な関係を築きつつあった。仁川智里は、どういうわけか、おれの言うことをよく聞いて、逃げるそぶりは見せなかった。不思議と言えば不思議だった。やはり心の底では、おれを怯えているのだろう。おれの言うことを聞かないと、痛い目に逢うんじゃないかとか、
2020/02/02 00:01
監禁(2)
あたしは誘拐されたらしい。塾に行く途中だった。「子ネコを拾ったんだけど、もらってくれないか?」そのお兄さんはやさしそうな人だった。あたしはネコが好きで、ネコの絵の付いたグッズを集めたりしていた。「車の中なんだけど」お兄さんは言った。「見せて」「こっちおい
2020/02/01 23:50
2020年2月 (101件〜200件)
「ブログリーダー」を活用して、なおぼんさんをフォローしませんか?