雷雪の如く 1.~6.

雷雪の如く 1.~6.

大粒の霙(みぞれ)がフロントガラスを叩いている。金沢駅を降りてタクシー乗り場へと向かう途中に降りだした雨は霙に変わり、今また急に降りが強くなった。ボンネットに打ちつけるそのけたたましさはさながら機関銃を手にした麻薬常習者が銃口をこちらに向け乱射しているかの様相だ。時折、閃光が山際を照らし間をおいて空がゴロと唸る。先ほどまで押し黙っていた初老の運転手がついに口を開いた。「北陸の冬はこれなんですよ。雷...