短編「ハロウィン小話」
だぼだぼの緑のハイネックと、ゆるゆるのデニム素材でできた青いつなぎ……という服装で、彼女は彼の自宅に遊びに来た。 玄関先でお色気度数ゼロの萌え袖状態になっている両手を広げ、彼女こと笹野原夕は、花の綻ぶような笑顔で言う。 「ハッピーハロウィン!」 彼ことゲーム開発者の蒔田修一は、玄関のドアを開けた格好のまましぱしぱと目をまばたいた。 ──笹野原が着ているのは、ハロウィン的なオバケとは何一つ関係のないゲームキャラ・緑のアイツのコスプレらしい。 蒔田が「それだ」とわかったのは、笹野原が緑のアイツのシンボルであるアルファベットの「L」が刻印された特徴的な帽子を被っていたからだ。 『ビッグシルエット』と…
2019/11/17 01:25