時刻
引き潮で出来た干潟を端から端へと歩いた。 いっぱいまで広がったその道は、 あとはもう ゆっくりと閉じていくだけ。 それで最後には、何もなかったように 全部海の底に沈んでしまう。 足跡も、あらゆる光景も。 真っ白な流砂が指の隙間からじわりと入り込む それをしっかりと掴むようにして歩く 覚え込ませるように、お互いを。 みんな意味のない事を繰り返している。 結末の分かっている物語の真ん中で もがいている。 もがいてるふりをしてる。 でも他に術を知らない。 唯一はこれを全部 頭から締め出してしまう事。 空っぽにしてその道を行く。 歩いているそばから、何もかも忘れてしまえるように。 そうすれば、何も起こ…
2020/06/27 20:58