あの立ち読みで人生が転落
新宿の小さな居酒屋で、一人で焼酎を煽る男性に出会った。良かったら一緒にどうかと酒を勧めるとすぐに意気投合し、取材に応えてくれることになった。川瀬さん( 仮名39才) 。郊外のアパートで一人暮らしをしながら、中華料理店でホールスタッフのバイトをしている。彼女はいない。「人生の岐路ね。俺にはわかりやすいのがあるんだよ。あの日のことは一生後悔するだろうね。あれがなければこんなとこで飲んでなかったよ」川瀬さんの実家は、祖父の代から続く老舗の時計屋で、近隣の市町村のお得意様を相手に堅い商売をしていた。長男として生まれた彼にはまっすぐなレールが敷かれていた。大人になれば時計屋を継ぐ。未来は決まっていた。仕…
2019/07/31 13:00