サドをめぐる断想(11)

サドをめぐる断想(11)

私はここで『伝道の書』を開けて、読むのよ。 『私は人間の子等について心の中でこう言った。神はそれをありのままに見せ、本当に自分は獣だと彼等に悟らせるのだ。人間の行末と獣の行末は同じものだ、人間も死に、獣も死ぬ。二つとも同じ息をしている。人間が獣にまさるというのは空しいことだ。二つとも同じ所に行く。二つとも塵から出て塵に帰る』 この詩ほど決定的に来世の存在を否定しているものはないでしょうね。 (「ジュリエット物語又は悪徳の栄え」サド著 佐藤晴夫訳 357頁) J’ouvre l’Ecclésiaste, et j’y vois : L’état de l’homme est le même qu…