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家づくりに関する情報とノウハウ、より素敵な暮らしのための知恵袋的コラム。世界25カ国、住宅取材件数1500を超える編集者が、これまでに書きためた30万字もの記事に書き起こしを加え、全ての家族のために大切なことを考えます。

Sweet Potato.
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2019/05/10

  • 【長寿遺伝子】=「腹七分目」で起きる奇跡について。

    // 日本には古くから「腹八分目」という言葉があります。何事も、ほどほどのほうがいい結果を招く、少食が健康を保つなど、短いその一言に哲学さえ感じます。最近は「腹七分目」が健康だけでなく、長寿のもとになるとの説が相次いで発表されています。 Contents. 長寿遺伝子を発動する行動 食事もエネルギーも3割減 少し肉を減らすだけの効果 100%と150%の七分目とは 日常は世界と直結している 長寿遺伝子を発動する行動 満腹よりも八分目程度に抑えていた方が健康によく、医者いらず、といった意味で使われてきた「腹八分目」。 食べ物がいまほどゆたかでなかった時代は、食べたくても満足に食べられず、八分どこ…

  • 【実家の整理】=「捨てるモノ」を選ぶより「捨てたくないモノ」を選んできた。

    // 老いた親と実家。この二つにどう向き合うかは、誰にでも避けては通れない課題といえます。いつまでも両親二人で、あるいは一人暮らしをさせておくこともできず、同居もしくは施設入居となれば、実家は即、空き家となってしまいます。空き家を抱えた地域はやがて、過疎の地に――。この問題も、少しずつ考えていかなくてならないようです。 Contents. 「親家片」の行く末とは 何を捨てるかという迷い モノも空き家も社会問題 捨てるモノなど選ばない 大事なモノから選ぶこと 「親家片」の行く末とは 「親家片」(おやかた)という言葉があります。 「親の家を片付ける」意味で使われます。 初めてこの言葉を目にしたとき…

  • 【家庭内事故】=段差だけではない、濃淡・色彩・明暗の「バリア」を見逃さない。

    // 視覚障害のある家族のために、動線にLEDを埋め込み、自活性を高めた工夫。 段差の解消はもちろん、「狭さ」というバリアも解消する。明るさの確保もバリアフリーの一つ。 バリアフリーというと段差の解消や手すりの設置などが思い浮かびますが、その人の持つ障害によって、対処すべきバリアは大きく異なります。特に、足腰が弱くなったり、視力の衰えなどは加齢とともに進み、誰もが避けて通ることができません。それだけに家のなかのバリアとその解消には、早目に対処したいところです。 Contents. 階段を踏み外しそうになる 40歳を超えると「高齢視」 色を判別できないハンディ ほぼ全員が経験する白内障 コントラ…

  • 【ぼくを探しに】=自分にぴったりの「かけら」に出会うまで。

    「ぼくを探しに」(講談社)という絵本が デスク脇の書棚にある。 いつも、手の届きやすいところに置いてある。 シルヴァスタイン作・倉橋由美子訳。 もう何年も前の誕生日に、娘からプレゼントされた本である。 何かが足りない。 楽しくないと思った「ぼく」は足りないかけらを探しに行く。 かけているからだは、あまり速くころがれないし、歩けない。 それで立ち止まってみみずと話したり、 花の香りをかいだり、かぶとむしを追い越したりして かけらを探していく。 途中でようやく、自分にぴったりのかけらに出会う。 やった! ばんざい! これでようやくまん丸になれた、と思ったが 今度は花の香りをかぐことも、歌も歌えない…

  • 【坪単価】=日本独自の建築コストの迷宮。

    // 住宅の広さが延床面積=㎡で示されてもなお、私たちは「坪単価」を建築コストの目安にしてしまいます。しかし、ビルダーや設計者によって、どこからどこまでが標準仕様で、何がオプションなのか、明確な判断基準はありません。「坪単価80万円」を目安にしたものの、図面があがってきたら「坪単価100万円」というケースが多々あるのもビルダーと施主の解釈の違いによることが少なくありません。いざというとき、慌てないために「坪単価」の考え方について。 Contents. 計算に何を含めるかで変化する 設備の種類やグレードも考える 総額で判断するのはいけないか ローン+光熱費/月で判断する 計算に何を含めるかで変化…

  • 【正座】に秘めた精神性。

    中国人の留学生にお話をうかがいました。「日本の生活でつらいことは」と尋ねたところ、即座に「正座」という答えが返ってきました。意外かもしれませんが、中国は欧米と同じ「立式」の生活なのです。日本人でも正座が苦手な人は少なくありません。冠婚葬祭などの席で正座を余儀なくされると、つらい反面、気が引き締まって、まんざらでもないと思うこともあります。自分も、疲れたときはあえて正座をします。実は、日本に正座が浸透してから、まだ100年足らず。江戸時代中期の頃まで、正しい座り方といえば立て膝が主で、胡座(あぐら)のような姿勢だったといいます。もっとも、当時の日本の建築は板の間が大半で、畳は高貴な人のためのもの…

  • 【ムーミン谷の家族】=スナフキンにはならない。

    「ムーミン」の物語が好きだ。 テレビでは、 昔の岸田今日子さんの声のアニメがよかったが 再放送にはなかなか巡り合えない。 (作者のトーベはこのシリーズが気にいらなかった) 仕方がなく、 文庫本を何冊か買って大事にしている。 ほんとうの名前は「ムーミントロール」。 甘えん坊で、傷つきやすく 吟遊詩人のスナフキンに憧れている。 崇拝さえしている。 住所は「どんなところよりも美しい谷」。 ムーミンパパは責任感が強いが、 すぐに挫折をするナイーブな紳士。 仕事はしていないみたい。 ムーミンママは癒し系代表のような存在だが 頼りになって前向き。 でも、ものごとにも人にも、 けっして執着しない ある意味、…

  • 【簡素・省略・余韻】=文章も写真も音楽も空間も、究極のテーマは「余韻」。

    プロの小説家はもちろん。著名な研究者や専門分野で執筆機会の多い人でも、腕のいい編集者の手にかかると、2000字を500字くらいに減らしても、十二分に要点を伝達できる文章にできます。それだけ大半の人は、無駄なことを書いているのです。デザインも同じ。限られた誌面に過剰なケイ線、必要以上に大きな活字、そこまで増やさなくてもいい写真の点数、目立ちすぎるノンブルやキャプションなど、過剰に情報を詰め込むタイプのデザイナー、余白を生かしてシンプルに徹するデザイナーなどいろいろです。写真について大切にしているのは、キャプション(写真説明)を付けられる写真かどうか。テーマを絞り切った写真は、キャプションを付ける…

  • 【人間の土地】=「星の王子さま」が生きた軌跡。

    「星の王子さま」の著者による自伝的作品。訳者は明治から昭和にかけての 詩人、歌人、フランス文学者でもある堀口大學。 読みやすいとはいえないが、著者の美学を格調高い日本語に転換し、 遺伝子と文化のバリアを研ぎ澄ました感性で突いてくる。 解説は、宮崎駿。この人の作品の多くに登場する飛行機だが、残酷な歴史と文化を熟知したうえでの、 空と飛行機への憧憬であったことに気づく。 著者、訳者、解説者。どれをとっても、これほど贅沢な本はめったにない。 風景は、人が見れば見るほど摩耗する。 今の空とちがい、 彼等の見た光景はまだすり減っていない空だった。 今、いくら飛行機に乗っても、 彼らが見た空を僕等は見るこ…

  • 【リフォーム】=投資した費用を無駄にしない、性能改修という選択肢。

    // 新築が伸び悩み、リフォームやリノベーションが急増しています。しかし、新築に比べコストが割安という理由だけで、見た目優先の改修をしてしまうと、家や人の健康に影響する事態も起きかねません。リフォームは、壁や基礎までチェックする絶好の機会。合理的な改修を考えたいものです。 Contents. 見た目優先のリフォームのリスク 性能改修で家の寿命を延ばす発想 膨大な家のゴミから目を背けない 何もしない…という選択肢もある 選択肢が増えることで自由になる 見た目優先のリフォームのリスク 築後数十年の間に、何度もリフォームを繰り返し、結局は新築・建て替えとなってしまうケースが少なくありません。 問題が…

  • 【食卓の美学】=日本人の所作と日本の家との関係性。

    // 子どもの頃から、箸の使い方には、とりわけきびしく躾けられてきました。裕福な家ではなかったからこそ、食卓での作法くらいは、という父の考えだったのかもしれません。同じ箸を使う文化でも、お隣の韓国とでは少しマナーが異なります。単純な「違い」のなかに、関係を深めるヒントが隠されているかもしれません。 Contents. 箸の不作法を知る 父がもっとも嫌った動作 もとは床を汚さない手段 韓国で垣間見た礼節 単純さの中に潜む美学 箸の不作法を知る どんなに質素な食事でも、 「箸はきちんと使いなさい」が 父の口癖でした。 ただでさえ、豪華な料理などではないのに 箸の使い方が悪いと 食事がいっそう貧しく…

  • 【汚れなき悪戯】=無力と純心と節度の狭間にあるもの。

    小さな村があった。 ある朝、修道院の門前で、生まれたばかりの 捨て子が発見される。 僧侶たちはその子をマルセリーノと名付け、 心をこめて育てる。 6歳になったマルセリーノは、 悪戯ばかり。 野原で偶然に出逢った女性に、 会ったことのないママの姿を重ね見て以来、 誰かと会うたびに 「ママはどこにいるの?」と尋ねるようになる。 そんなマルセリーノが、 決して行ってはならないといわれていた 修道院の2階にそっと忍び込み、 痩せ細ったキリスト像と出会う。 彼は「空腹」のキリスト像のために、 毎日、厨房から パンとワインを盗んで届けに行く。 ある日、像がマルセリーノに語りかける。 対話は毎日続き、 マル…

  • 【茶の間の復権】=「LDK」の空間が、こんなに息苦しい理由。

    // サザエさん家族が集う場所 あまり使われなくなった「茶の間」という言葉。 子どものころは当たり前に使われていた言葉ですが、いまの若い人たちに「茶の間」といっても、どんな空間なのかわからず、「?」という表情をされるのがオチかもしれません。 サザエさんの家族が集う場所といえば、すぐにイメージがつかめるでしょうか。 囲炉裏が家の中心に備えられ、そこで煮炊きしたり、暖をとったりしながら家族を繋いできたという話を以前書きました(下記参照)。 www.ienotomo.com 囲炉裏の火は、絶やさないのが決まりでした。 火を焚き続けることで空間を少しでも暖め、柱や梁を乾燥させる目的もありました。 明治…

  • 【おじいさんと犬】=雨の日も風の日も一緒にゴミを拾い続ける、1人と1匹。

    // モノを持ちすぎない、リサイクルを徹底する、ミニマリストへの憧憬。人とモノとの関係は暮らしとゴミの関係に直結します。ご近所のおじいさん、毎日、愛犬との散歩の途中でゴミを拾っていることに気づきました。小さなことでも、自分にできることから黙々と。そんなおじいさんと犬とエコロジーの話。 Contents. 缶やビンはあまり使わない リサイクルは突き詰めない ゴミ箱はどうして満杯か? おいしくなーあれ、の魔法 散歩のついでにゴミを拾う 誰に褒められることもなく 缶やビンはあまり使わない 外で飲むときには、ビール、そのあと焼酎のお湯割り。 家では食事と一緒にワインか日本酒(純米酒)をグラスに1杯ほど…

  • 【通風・換気】=心地よい風が抜ける「家」と風通しのいい「人間関係」。

    // どんなに空調設備や換気システムが進化しても、窓を開けたときに感じる自然の風の心地よさにはかないません。高断熱・高気密住宅がスタンダードになっても、四季折々の風が感じられる家が素敵です。家を抜ける風、注目のパッシブ換気、風通しのいい人と人との関係まで、風と家と人の小さな話。 Contents. 窓を開けて感じる四季の空気 空気の行き止まりを回避する 温度差と気圧差と換気の関係 パッシブ換気も視野に入れる 微気候でも風の流れをつくる 風通しのいい人と人との関係 窓を開けて感じる四季の空気 朝早く起きて、窓を開けて味わう空気は、気持ちのいいものです。 かつての日本家屋は、夏を旨とし、北から南に…

  • 【照明・灯り】=闇を制御する光のしわざ。

    今年も、あの3.11がやってきて、また過ぎていった。 震災の直後から、節電のためにと居間の蛍光灯は使わなくなった。 その代わりにスタンドライトを2本購入し、間接照明としてきた。 スタンドといっても高価なものでない。 お値段以上のニタリで買った3980円のものである。 電球は昼光色のLED。 以前は40ワットの蛍光灯3本だったので、 電気代は数分の1で済む。 一つは壁を、もう一つは天井を照らす。 影も色も消してしまう以前の白い空間から、 きれいな朱色の空間に変わり、 時間の尾っぽに重しがついたように、 時がゆっくりと過ぎていくのがわかる。 家族との会話の声も静かになり、たまにつけるテレビの音量も…

  • 【家族関係】=「自らに目覚めよ」(親鸞) 「いただいた私」を生きていく。

    // 人を変えようと思っても自分がつらいだけ。家族に関しても同じことがいえそうです。人との関係改善の最大のコツは、まず、自分が変わること。他者は変えられませんが、自分だったら、いま、ここで、すぐに、変わることができます。気が付くと、家族との関係性もプラスに変化している。なぜ? Contents. 変わらないなら方法を変えてみる 幸福な人の側では不幸になれない 変えられるのは自分しかいない! 自分が幸福になることで人を救う 変わらないなら方法を変えてみる 毎日、口うるさいくらいに言っても、パパは洗濯後の下着を畳まない、息子は何時間でもゲームに夢中、娘は2時間もお風呂から出てこない。 何度言っても…

  • 【小さな家】=小さな幸せの価値が分かる人だけが得られる、この家のかたち。

    // どんな家づくりにも予算があります。その予算のなかで、大半の家族が少しでも大きな家をと望みます。しかし、すぐに壁に突き当たり、いくつもの夢を諦めてしまってはいないでしょうか。はじめから、小さな家の選択肢が除外されているのが原因の一つかもしれません。これまで、世界中の名建築家たちが、小さな家で個性と技、ノウハウを競ってきました。工夫次第でどんな空間にも変化するゆたかさを内包した、もう一つの家の有り様、小さな家。そこには、ミニマムな暮らしの原点、混乱の時代を生きる哲学が潜んでいます。 Contents. 住み慣れた我が家を25坪に建て替え 限りなくワンルームに近い家がいい 世界の建築家たちが挑…

  • 【ニュー・シネマ・パラダイス】=「自分のすることを愛せ」。

    // 何百と観た映画の中でベスト1を挙げるとすれば、迷うことなく、この映画を挙げます。本や映画は、その人がそのとき、置かれていた環境や思いに大きく左右されるだけに、安易に人に薦めることは避けてきました。それでも、おすすめしたい珠玉の1本といえます。 Contents. 自分のすることを愛せ 誠実な人はいつも孤独 して返したことがない ひたすらに与える価値 自分のすることを愛せ 映画好きの少年と 映写技師のアルフレードの、 年の差を超えた友情を 描いた傑作。 レンタルビデオ、テレビ、 自分で買ったBRなどを含めると 7回も観ていますが、 しばらくすると、また観たくなるのです。 自分の中では洋画の…

  • 【省エネと熱収支】=「得られる熱」と「出ていく熱」を計算する、当たり前のこと。

    // 収支計算は住まいのエネルギーにも応用できます。季節によって、必要な熱と不要な熱を理解すると、エネルギー消費は効率よくなり、快適さも維持できます。計算の苦手な方もおつきあいください。少しの発想の展開で大幅な節約、光熱費の削減もできるのです。 Contents. エネルギーの「支出」が多い季節 窓の高性能化が快適さを得るカギ 設備にコストをかけずに省エネを 少しの工夫で大きく変わる快適性 何もかも建築や設備に依存しない エネルギーの「支出」が多い季節 「収支」という言葉があります。 一般的には「収支」=「収入」-「支出」 で表わされますが 住宅の熱=エネルギーにも同じような損得計算があり 主…

  • 【建築と間(ま)】=日本の家と家族の間に立ち塞がる、もう一つの結界。

    // スケジュールが埋まっていないと不安でしかたがない日々。日々の暮らしはモノに囲まれ、隙間や余白が罪であるかような家やインテリアが主流です。私たち日本人は、何もない「間」に宇宙を感じ、沈黙に言葉を聴き、「余白」に映像を観る文化を育んできました。私にはとてもできないことですが、ミニマリストと呼ばれる人たちに代表されるように、一部の人たちがこうした問題に気付き、原点に戻り始めています。何もないことの、豊穣。 Contents. 手書きの原稿にあってないもの 行間の意・行間を読むこととは 何でもできて何もできない技術 余白にも美しさが醸される理由 聴くことは能動的な行為である 狭い空間に宇宙を見出…

  • それぞれの家族、それぞれの祈り

    〇日懇意にしているお店の息子さんが、ある日突然、原因不明の病に倒れ、昏睡状態に陥ったのは3年前のこと。月に1、2度伺うのだけど、その後の状態がどうなったのかご主人に聞くのが怖かった。 「この間、息子と温泉に行ってね」「息子さん…」「下の息子です」 迷ったが、思い切って聞いてみた。 「そういえば上の息子さん…」「お陰さんで、いま専門学校に通ってるよ」 医者からは、植物人間状態になるだろうと宣告されていた。国内に4人しかいないという難病だった。 家族は絶望の淵を彷徨った。最後に自分たちにできることを、家族みんなで考えた。先祖の墓参り。お墓に行けないときはそれぞれが、朝、昼、晩、何度となく胸の前で手…

  • 【居心地】=家づくり──心地よさをデザインする。懐かしさを取り戻す。

    // マニュアル、数値だけで快適な住まいを創ることはできません。居心地のいい空間のデザインには人の記憶、時間の流れまで理解することが求められ、自然とのつながりも無視できません。そうして初めて機能を超えた美しさ、心地よさが体現されるのです。何より欠かせないのは、丁寧に家に人に向き合う姿勢といえるかもしれません。 Contents. 住宅にも「性能」がある理由 快適さを得るためのデザイン 強・用・美の3要素で考える 障子や床の間の曖昧な光と影 懐かしさに会いにいける住宅 建てる側と施主との意思疎通 収納グッズを買わない収納術 住宅にも「性能」がある理由 住まいには、温熱という視点からの性能があり環…

  • 【居心地】=心地よさをデザインする。懐かしさを取り戻す。

    // マニュアル、数値だけで快適な住まいを創ることはできません。居心地のいい空間のデザインには人の記憶、時間の流れまで理解することが求められ、自然とのつながりも無視できません。そうして初めて機能を超えた美しさ、心地よさが体現されるのです。何より欠かせないのは、丁寧に家に人に向き合う姿勢といえるかもしれません。 Contents. 住宅にも「性能」がある理由 快適さを得るためのデザイン 強・用・美の3要素で考える 障子や床の間の曖昧な光と影 懐かしさに会いにいける住宅 建てる側と施主との意思疎通 収納グッズを買わない収納術 住宅にも「性能」がある理由 住まいには、温熱という視点からの性能があり環…

  • 【小岩井農場】=ラリツクス いよいよ青く 宮沢賢治

    本棚の奥から引っ張り出してきたちょっと埃の被った宮沢賢治全集Ⅰ(ちくま文庫)。 収録されている『春と修羅』を読み耽る。 ずっと長い間、難解だと思い込んできた言葉の束が、実はとても平易な表現でこの人の宇宙観を語っているのだと、そんなふうに肩の力を抜いて、読めるようになってきた。 『パート四』と『パート六』の最後の言葉がとても好きだ。みちがぐんぐんうしろから湧き過ぎて来た方へたたんで行くむら気な四本の桜も記憶のようにとほざかるたのしい地球の気圏の春だみんなうたつたりはしつたりはねあがったりするがいい 『小岩井農場 パート四』 もうけつしてさびしくはないなんべんさびしくないと云つたとこでまたさびしく…

  • 【窓】=南側の窓より「北側採光」に注目。

    // 日本の家づくりでは、古くから日射や通風など、自然エネルギーを巧みに利用してきました。しかし、住宅性能の向上とともに、ときには日射を遮断し、気密を得ることも重要です。なかでも、南面の開口部を大きくとることで生じる新たな問題が注目されつつあります。 Contents. 窓から熱を得るのは昼間だけ 窓を壁にすると大地震では? 掃き出し窓でゴミは掃けない 日射をコントロールする方法 住宅性能は窓の性能で決まる 終日安定した光は北側にある トップライトで北の光を得る 窓から熱を得るのは昼間だけ 日本の家は伝統的に南面の開口部を大きくとるのが特徴です。 南面の壁全体が開口部のような家が、いまもたくさ…

  • 【制限・制約の効用】=「非効率」と「偶然」が与えてくれる、神の方法。

    私たちは毎日、あらゆる「制限」の中で生きています。その「制限」を守ろうとする苦しさから逃れるために知恵を使い、技術を生み出し、少しでも楽になろうと必死です。でも、その逃避が自らの成長の妨げになることもあります。脳内の成長インフラを維持するために、絶対に忘れてはならない、大事なこと。 Contents. 偶然に賭けてみる 録音機は使わない 数百年後への伝言 偶然に賭けてみる フィルムカメラをデジカメに替えて20年ほどになります。 当時、ポジ(スライド)フィルム1本の値段は36枚撮りで1000円前後。その現像に、やはり1000円くらいかかりました。 最初に撮影に出かけたシンガポール・ボルネオ(マレ…

  • 【在宅介護】=住み慣れたわが家で見守られ、旅立つための心がまえと家のかたち。

    // 在宅介護の先に見えてくる、老いと死。国はすでに「在宅看取り」の定着に大きく舵を切っています。家族に迷惑をかけたくないからという理由で病院を選択しても、それができない時代がやってくるのです。介護も看取りも住み慣れた我が家でできるのが理想。しかし、現実には暑さや寒さ、車椅子で1メートルも移動できない、トイレで回転もできない、ベッドの周りに人が立てないないなどのバリアが立ち塞がります。「在宅」における介護や看取りを希望したときに、その願いが叶わないことが問題なのです。「在宅」を阻む家のバリアや制度について考えます。 Contents. 病気・貧乏・孤独の大問題 いつでも誰かと会える関係 病院 …

  • 【畳】=用と美を兼ね備えた日本の「家具」の原点を再発見。

    // 洋風住宅、洋風の暮らしの普及で【畳】のない家が増えています。硬くもなく、柔らか過ぎることもなく、素足に心地よい【畳】は、足に踏まれてもじっと我慢の、日本の家具の原点。高級絨毯もけっこうですが、畳の美しさ、健康効果も確認しておきましょう。 Contents. 好きなときに横になりたい 千畳敷に寝ても一畳の愉悦 居ながらにして森林浴効果 断熱効果・調湿機能も魅力 フローリングを全面畳敷き 畳のスケールは身体サイズ 好きなときに横になりたい かつて我が家のLDもフローリングでした。 ダイニングテーブルと4脚の椅子、3人掛けのソファ。 どこにでもあるLDの光景です。 それが新しい家の理想と信じ込…

  • 【レ・ミゼラブル】=ダイヤモンドは地下の暗闇の中でしか発見されない。

    ビデオでもテレビの録画でも、何度も観てきた映画「レ・ミゼラブル」。リーアム・ニーソン主演の作品がいちばん好きです。 どの作品でも、原作の最終章にある「お前が幸福の中で持っているものを、(お母さんは)不幸の中で持っていた」(佐藤朔訳)の台詞が、いつ出てくるだろうかと思いながら観つづけます。最後までこの言葉は出てはこない作品もあります。 ジャン・バルジャンが死の床で娼婦の母親から引き取って育てた孤児・コゼットに向かい、告白する場面です。──今こそお前のお母さんの名前を教えるときがきた。ファンチーヌというのだ。ファンチーヌをよく覚えておきなさい。それを口に出すたびひざまずくのだよ。あの人は苦労した。…

  • 【リフォーム】=病気や家庭内事故から身を守る「予防的改修」の考え方。

    // リフォームといえば、畳や襖の交換から、古くなった設備の更新、増改築まで工事内容はさまざま。英語圏では「reform」を建築用語として使用することはなくrenovationやremodelが多く使われます。欧米と比べ、日本の住宅の寿命が極端に短いのはご存じのとおり。少子高齢化社会では、介護を視野に入れた「予防的改修」がキーワードといえそうです。 Contents. リフォーム業界の裏事情 専門の職人を活用したい 加齢と老後はすぐ目の前 サポータビリティの発想 増築よりも「減築」する QOLを高めるリフォーム リフォーム業界の裏事情 新築が頭打ちとなり、 リフォームが増えています。 雨漏り・…

  • 【尺貫法】=日本ならではの建築スケールと日本社会における「杓子定規」の共通点。

    // 考え方にも物差しがあるように、人の視野、ものごとの捉え方にも、その人ならではのものさし=定規があります。人間関係には、少々やっかいな「杓子定規」も、家づくりには欠かせません。日本の寸法、モジュールについての短い話。 Contents. いまも現場で生きてる尺貫法 直感的に広さがわかる〇〇畳 「㎡」よりも「坪」が一般的 人間関係では面倒な杓子定規 いまも現場で生きてる尺貫法 長い間、日本の建築で使われてきた 「曲尺(かねじゃく)」は 中国が起源とされ、 さしがね、まがりしゃくなどとも呼ばれます。 仏教伝来と共に 寺院建築のために、朝鮮半島から 渡来した工人たちが 物差しとして持ち込んだのが…

  • 【子育て・子ども部屋】=見えない「壁」の、あっち側、こっち側。

    // 親子の間は「信用」ではなく「信頼」で結ばれます。諍いがあっても、裏切りがあっても、取引はできないのです。「信頼」から考えていくと、親子の絆、子ども部屋の原型までも、うっすらと見えてきます。親にとって大切な「見えない壁」についても考えます。 Contents. 家のなか全てが子どもの空間 家族相互でつくる壁について 信用だけで生きられるのか? 子供との関係は取引ではない 家のなか全てが子どもの空間 わが家に鍵のあるところは、玄関とトイレ、窓だけです。 寝室はもちろん、子ども部屋にも脱衣場、お風呂、自宅併設の仕事場にも鍵はありません。 子どもたちとは、小さな頃から、互いの部屋に入るときにはひ…

  • 【インテリア】=「壁面」から攻略する空間コーディネート。

    // インテリアと聞くだけで興味はあるものの、何から手を付けていいのかわからなくなってしまいます。もともと日本の住まいには飾りを削ぐことで「美」が醸される文化のなかで、私たちは育ってきたのです。それでも何とか、お洒落な空間にしたい。そんなふうに迷ったときには、壁の攻略から始めてみるといいかもしれません。 Contents. 日本の美意識と Interior 昭和の家にあった「美」 西洋と日本の住宅の違い 置き去りにされてきた壁 洋「風」の空間で戸惑う 壁面を飾るアイテムとは 日本の美意識と Interior たくさんのお宅を拝見してきましたが、日本の家のインテリアコーディネートはまだまだ未熟、…

  • 【懐かしい家】=既視感、未視感から「道しるべ」を探る。

    初めて訪れた場所なのに、いつか来たことのある、見たことのあるような感覚。初めて会ったのに、ずっと昔に会ったことのある、そんな感覚をデジャ・ヴュといいます。日本語では「既視感」と訳されますが、訳語の「視」は、いずれも視覚を意味するものの聴覚、触覚など視覚以外の体験要素もこれに含まれます。この感覚は特殊な人だけの能力、感覚ではなく、誰にでもあるといいます。 Contents 懐かしいデジャ・ビュ ジャメ・ヴュも全身で 懐かしいデジャ・ビュ 出張で訪れた瀬戸内の小さな町。「ここは、いつか来たことがある」という気持ちになります。 一緒だった人に「初めての気がしません」とお話したら「一昨年もここにお連れ…

  • 【空気環境】=1日20キロ体内に取り込む空気について、もっと知っておきたいこと。

    // 衣食住のなかでも、日々の「食」と健康との関わりは密接です。1日に2キロ前後も体内に入るのですから、水にも食糧にも健康的な素材は欠かせません。しかし、1日に20キロも体内に取り込まれるものがあります。空気です。空気の質によってはシックハウスも懸念され、健康との関わりは無視できません。食材、水以上に関心を持ちたい空気の質と住まいと健康の関係。 // Contents. 突然始まった頭痛の原因 常に発散される化学物質 1日に吸い込む空気の量 自然素材がほとんどない 昔の家も換気はできない 気密性を高める意味とは 3種類の換気を理解する ベイクアウトで発散する 突然始まった頭痛の原因 A町のある…

  • 【きれいな暮らし】=ミニマリストでもエコロジストでもなかった彼女の日常。

    // ミニマリスト、エコロジー、SDGs。環境に負荷をかけないシンプルな暮らし、が流行です。あえて「流行」という言葉を使ったのは、この半世紀の間だけでも、何度もかたちを変えてサステナブルな暮らしが多くの人に標榜されながら、ほとんど全てが消え去っていったからです。参考までに日本の家庭部門のエネルギー消費量は、1973年度を100として2018年度は185.6と約2倍に増加。便利さを求め、快適であることを当たり前のこととして享受してきた私たちが忘れ去ってしまったこととは。 Contents. シアワセそうな野菜を育てる人 野にも畑にも恵みを見出す知恵 梅肉エキスや豆乳も自分で作る 衣服も水もリフォ…

  • 【信用と信頼】=同情はいらない。もう少し共感してほしいだけ。

    // 「信用」の陰には、取引があります。不信感が少しでも見え隠れすると、私たちは本気でその人と付き合うことはできません。「信頼」は、相手に対して白紙の小切手を切ること。家族や友人をどこまで信頼できるかどうかで、人間関係の深さは大きく変わります。 Contents. 取引の関係はつらい いつでも愛されたい 復讐は神さまがする 取引の関係はつらい これまで何度か、銀行から事業資金の融資を受けたことがあります。 過去数年分の帳簿を全て調べられ、これからのこともきちんとした計画を立て、毎月滞りなく返済できる確かな根拠があって初めて、お金を貸してくれるのです。 いくら顔見知りでも、誠意など通じません。 …

  • 【五感と家】=身体が「感じる」ことを信じる。

    // 性能や設備の優劣、空間やインテリアの美しさだけではなく、私たちは五感、第六感までも駆使して、瞬間瞬間、家からのメッセージを感じようとします。これから家のことを計画する人は、耐震性、断熱性などに裏付けのある数値を求めることと同時に、数値に表れない感覚をないがしろにしてはいけません。どんな歓び、違和感も情報なのです。 Contents. 数値に表われない感覚 全身で「感じる」もの 人にも空間にも相性が 数値に表われない感覚 いろんな家があります。 家には必ず、人が関わっています。 どんなに性能がよく設備の整った家でも、それをつくった人、そこに住む人に会ったり、話をしてみますと、身体がいっそう…

  • 【消費しない十訓】=流行を追わず、無駄に買わず、捨てない暮らしのための戦略。

    広告会社に勤める友人から「営業戦略十訓」なるものを教えてもらったことがあります。「消費は美徳」の時代は、すでに原始時代の格言。「消費しない十訓」の実践を考えます。 ●「営業戦略十訓」 1.混乱をつくる。 2.捨てさせる。 3.無駄遣いさせる。 4.季節を忘れさせる。 5.贈り物をさせる。 6.きっかけを投じる。 7.コンビネーションで使わせる。 8.流行遅れと錯覚させる。 9.気安く買わせる。 10.もっと消費させる。 私たちの社会はいまもなお、 大量に生産し、大量に消費することで成り立っているようです。 あらゆるモノが市場にばらまかれ 残ったものは膨大な費用をかけて廃棄されます。 この循環の…

  • 【住宅性能】=目には見えない「居心地」を支えるもの──UA値とかC値について。

    // 地球温暖化危機が叫ばれ、改めて、世界中がエネルギーとCO2削減を見直す機運が高まっています。しかし、日本の家庭分野でのエネルギー消費は増加の一途。懸案だった改正省エネ法の義務化も見送られ、世界中から冷たい視線が注がれているのは周知の通りです。クルマや家電の省エネは劇的に進展したものの、住宅における冷暖房、給湯などのエネルギー消費は右肩上がりで上昇を続けています。せめて、北海道仕様の省エネ(断熱)性能を備えた住宅が日本の「最低基準」になればという願いの背景にあるもの。 Contents. 工法に戸惑うエンドユーザー 圧倒的に少ない「正直な情報」 人の生涯を支える住宅の原点 改正省エネ基準の…

  • 【しなやかさ】=行間を味わう「読書」。グラデーションに漂う「空間」。

    家づくりの際、機能や目的を追求し過ぎると、いつしか身体も心もこわばってしまいます。思考が型にはまり、身動きできなくなくなることも。理想の体現も必要ですが、曖昧な空間に身を委ねてみることも大切です。グラデーションに内在する色を楽しみ、大きな流れにのってみる。楽しみ方は、無限。本も同じです。本との距離のとり方、物語の捉え方で、心の幅や深さが違ってきます。 Contents. 本屋さんと立ち読みの動線 本が汚れるくらいの読み方 同じ作家の作品を再読する 行き先を導かない本がいい 物語は元々自分の中にある 本屋さんと立ち読みの動線 親しい人との待ち合わせは、本屋さんと決めています。 少し早めに行って棚…

  • 【子ども部屋】=家を出たあとも部屋が物置化しない「可変」デザイン。

    // 子どもたちのためにと夢を抱いて建てたはずの家も、子どもが大きくなるのはあっという間。巣立ったあと、使われなくなった「子ども部屋」はすぐに物置化し、夫婦はそれぞれの生活リズムを持つことで、新築当初とは全く違った機能が住まいに求められます。子どもたちの独立後も無駄にならない空間づくりが必要だったことに気付くのは、そんなときかもしれません。 Contents. 残された広すぎる居間 将来を見越していない 察する文化を育む「間」 居間に誰もいなくなる 加齢後は家族より自分 居間はテレビが中心に 残された広すぎる居間 空間の小間割りはやめましょう。 家はROOMではなくSPACEで。 家族の気配が…

  • 【生きている空間】=「沈黙」が聴こえてくるような家に住みたい。

    // 過剰な情報をもとに、詰め込めるだけ詰め込まれた機能にあふれた家は、饒舌すぎてつまらない。空間にふれることのできる家、沈黙からゆたかさが聴こえてくる家、身を委ねると静かに微笑んでくれる家。そんな家をつくることができたら、どんなに素敵なことでしょう。 Contents. 五感を澄まして家の声を聴く 佇まいが「きれい」な家とは 緊張を呼び覚ます日本の和室 茶道の三音に学ぶ静寂と沈黙 人の気持ちが起点となる空間 五感を澄まして家の声を聴く 家に入ると、空間から感じるものを五感に聴きます。 どこの木で建てられたとか、施主の要望が多くて苦労したんだよとか、どうだいこのニッチ、この和室素敵でしょう…と…

  • 【100年カレンダー】=人生を俯瞰する勇気はなかった。

    高校時代のことでした。クラスメイトの一人が「100年カレンダー」を家から持ってきました。その名の通り、100年分の毎月の暦です。 大きさはふつうのポスターほど。床にひろげられたカレンダーを「へえ」「ほお」と数人がのぞき込む。が、ものの10秒もたたないうちに、全員が黙り込んでしまいました。沈黙を破ったのは、A君でした。「このあたりで、誰一人、いないな」。指を指したのは、90年後あたりです。一週間後も60年後も、段がずれている程度。60年後に一生が終わることと、一週間後に終わることと違いがないようにも見えます。「悲しくなってきた」女子の一人が、静かに泣き出しました。無言のまま、みんなその場から散っ…

  • 【色彩と心理】=塗装屋さんが教えてくれた「色」にまつわる心の動きと「ありがたい」話。

    // 色には温度もあり、重さもあり、心理的に与える効果も数多くあります。お世話になったペンキ屋さんからうかがった色の「講義」は、いまも大事な宝物です。中学を出てから70年近くにわたり、黙々と現場から学び続けた職人さんの、珠玉の言葉とその生き方。 Contents. 希望が持てる時代は「白」 色には機能も重さもある 皮膚で心でも感じる「色」 白の下着が身体にいいわけ 感謝する言葉は慎重に使う 希望が持てる時代は「白」 親しい知人の一人に、ペンキ屋さんの職人さんがいます。 職人さんではありますが、いまは何人もの職人さんを使う塗装店の親方です。 最初にお会いした日に、なぜか「俺、ただのペンキ屋だから…

  • 【家具の考え方】=7年で乗り換える300万円のクルマと、100年超えで使う300万円の家具。

    // 家を建ててから、少しずつ家具を買い揃えていく。家の計画と同時進行で、購入する家具も検討する。これまで、家具が最小限で済んだ日本家屋で育ってきた私たちは、家具の選択が苦手。しかし、暮らしも住まいも、洋の佇まいが主流となってきました。そんな時代の空間と家具の関係について。 Contents. 建築費の3~4割が追加費用になる 家具なしで空間デザインはできない ビルダーは家具の専門家になれるか 建築費の10%を家具に充てる考え方 家具のための空間ではなく生活空間 クルマより家具にお金をかける価値 立式なしでは成立しない日本の住宅 建築費の3~4割が追加費用になる 家を建てるときの費用は、建築費…

  • 【家事と手間】=心を使うことでしか得られないこと。

    手間がかかる、手間を要する、手間取る――などには、想定した以上に時間や工数がかかるなどの意味があります。もっと短時間で済ませたいのに、ああ面倒くさい、ということ? しかし、簡単にはできないからこそ、奇跡に巡り会えることもありそうです。 // Contents. 合理的なアメリカ人の食文化 ドイツは冷たい食事が多い? 手間ばかりかかった昔の生活 掃除は「あとみよそわか」で 手間の中には「時間」の価値 合理的なアメリカ人の食文化 以前、我が家にホームステイしていたアメリカ人のジム君が、ある日、 「1日に3度も火の通った熱い料理を食べるなんて合理的じゃない」 といったことがありました。 料理に合理的…

  • 【土間】=外でも内でもない家の「余白」。機能を追求しすぎない、ゆたかさもある。

    // 外のようで外ではなく、内のようで内ではない。土間は半分外のようで家の「内」にある空間。何にでも使える機能が、日本の住居の「間」のゆたかさです。この曖昧さが日本の伝統家屋の特長で緩衝地帯ともいいます。現代の住宅に生かすヒントを探ってみます。 Contents. 住居のはじまりは土間から 床の原点をたどっていけば 訪問者と駆け引きをする場 土間の用途は無限大にある 現代の住宅に足りない「間」 土間の自由は原っぱの自由 住居のはじまりは土間から 昔の町家や農家にうかがうと、土間が広くとられています。 土の間、つまり土でつくられた空間ですが、土といってもただの土ではありません。 土や砂利に石灰、…

  • 【縦書きと横書き】=日本語の「横書き」は記憶されにくいという説。

    漢字もひらがな、カタカナも、もとはといえば縦書きで記されることを前提にデザインされた文字です。しかし、このブログがそうであるように、いまや日本人の誰もが横書きでメッセージを表わす時代。日本語の原点を辿ると…。 Contents 横書きを避けてきた理由 墨で悪口を書くとヤバイ 段落や数字の表記の仕方 日本語に横書きは不向き 横書きを避けてきた理由 この文章は横書きです。 右から左に読むように書いています。 横書きだと、これしか書きようがありません。 しかし、仕事では資料集などを除き、横書きの出版物は、ほとんどつくったことがありません。 つくらないようにしてきた、ともいえます。 理由は二つあります…

  • 【家庭内事故】=新型コロナの裏側で、少しも減らない「家」での死亡リスク。

    // 世界中がウイルスによる危機に直面したまま。医療の現場は崩壊寸前といわれますが、崩壊の原因はウイルスだけにあるのではありません。以前から改善されず放置されてきた潜在的なリスクに、新たなリスクが上乗せされたリスクの怖さ。 Contents. 大浴場での転倒事故 ゼロ・リスクの幻想 生命に優劣などない 新築住宅内のバリア 大浴場での転倒事故 10年前の夏のこと。 出張で泊ったビジネスホテルの最上階にある大浴場で転倒してしまいました。 大浴場といってもさほど大きなものではなく、3、4人浸かれる程度の浴槽に同人数ほどの洗い場があるだけ。 早朝だったせいか、入浴しているのは私一人でした。 お湯に浸か…

  • 【節水】=実は、水の輸入大国だった日本。

    // 日々の生活ではいうまでもなく、宗教や文化の面でも、水との関わりを大切にしてきた日本人。きれいな水が大地を潤し、食材を育て、街をつくり、健やかな人を育んでもきました。しかし、水と空気はタダだと思っているのは、どうやら日本人くらいかもしれません。「水」を通して世界を眺めることで初めて知る、環境のこと、自分の健康のこと。 Contents. トイレの水は朝に流せばよい 食器のすすぎは必要ないのか 水は「無料」と信じる日本人 日本は世界1の水の輸入大国 穢れと禊と「水に流す」文化 トイレの水は朝に流せばよい 以前、仕事でドイツを訪れたとき、 一般のご家庭で何日か お世話になったことがあります。 …

  • 【二世帯住宅】=互いのストレスを解消する、姿、音、臭い──というキーワ―ド。

    // 土地や建築費の高騰、世帯収入の伸び悩みなどで、改めて二世帯住宅が注目されています。しかし、気心の知れた親子の間とはいえ、複数の世代、世帯が一つ屋根の下に暮らすには、多くの困難が待ち受けているのも現実。規格住宅は少なくありませんが、プランに合わせて我慢しながら暮らすのもおかしな話です。世帯の数だけ、家のかたちがああります。あとあとトラブルが少なくなるように、プランニングの前に整理しておきたいことを考えてみました。 Contents. 親との同居率が高い日本社会 二世帯住宅の基本は3タイプ 互いのストレスで別居の例も ストレスを事前に予測しよう 自分たちの生活を細かく分析 五感を駆使してトラ…

  • 【空間の重心】=積み重ねてきたことからのみ、醸成されるもの。

    // 家とは本来、自分の好きなもの、気持ちのいいものが詰まった空間であるのが理想的です。疲れた身体と心をやさしく包み込んでくれるのは、とっておきの「きれい」の束。気どらず、気張らず、普段着の自分でいながら、日々、「きれい」を感じるために必要な意識とルール。 Contents. 人の思いが空間をつくる 本棚に生き方が凝縮する 本の「背」はインテリア 個性と嗜み一緒にしない 生活の重心を意識しよう 人の思いが空間をつくる 取材などでうかがうお宅。 まず目が行くのが、 玄関の置き物や飾りです。 オブジェや絵画、 小物、雑貨、花などが 飾られていると、 きちんとしている お宅だなあ。 素敵だなあと思い…

  • 【自然と人生】=小さな家や庭に宇宙を観る。

    建て替えか、リフォームか、リノベーションか。古くなった自宅をどうするか迷う人は少なくありません。 数十万円単位のリフォームを 30年間繰り返し、振り返ると2000万円以上を費やし 結果として建て替え。 新築費用としてさらに3500万円、という人がいました。 見えない部分=構造体の改修をせず、 目に見える部分だけのリフォームを繰り返すことは 化粧直しを繰り返すことと同じです。 より広く、きれいに、便利に…という欲望はいつも、 蘆花の、この言葉に叩き潰されてしまいます。ソローの小屋、コルビジェの「小さな家」、清家清の10×5メートルの自宅。 住みこなす意志と確固たる宇宙観に基づくものでした。 家や…

  • 【家づくりとバリア】=最期の時間を支えるための、譲れない条件。

    // バリアフリーという言葉があります。屋内外の障がいとなるもの(バリア)を取り除き、安心して暮らせる設計というような意味です。段差の解消や手すりの設置が代表的ですが、それらよりも優先したいのが夏の酷暑や冬の寒さ(温熱環境)、居室や出入り口の狭さ(狭小サイズ)という二つのバリアの解除です。日本の場合は、交通事故死よりも家の中に最大のバリアが多く存在することを忘れてはなりません。そして、望めばそこで最期の時間を過ごせる家であるかどうかを考えることは、究極の家づくりといえそうです。 Contents. 交通事故より怖い住宅の中 冷暖房を屋内全体で考える 見落とされがちな「狭さ」 空間を小間割りしな…

  • 【結界】=見えない「壁」で家と世界を仕切る、日本人ならではの空間認識。

    // 紙や布1枚、あるいは縄1本で世界を隔てる「結界」。この感覚は、おそらくは日本人ならではのもの。俗と聖を分離するのみならず、建築の世界、私たちの日常でも、当たり前のように応用されていることに気づきます。 Contents. 紙や布1枚で世界を隔離する 異なる世界への怖れと敬意と 大空間でも応用できる文化性 気持ちを察し合う社会の原点 大空間をつくり曖昧に仕切る 紙や布1枚で世界を隔離する 結界。 主に、神聖な場と俗世界を区切る意味として使われます。 寺社では山門や鳥居などを結界としており、一般社会と清浄な場とを分ける例としては、高野山や比叡山がそれにあたります。 そうした聖地では「国土結界…

  • 【子どもと本】=「人生は生きるに値する」ことを伝える。

    // 地震、水害など、大規模な災害が起きるたび、自分には何ができるだろうかと考えてしまいます。しかし、ボランティア、募金など、すぐに行動を起こせる人ばかりとも限りません。せめて、いちばんの弱者ともいえる子どもたちにできることを考えてみました。 Contents. 3.11被災地で歓迎された本 赤ちゃんのものが足りない 生涯消えることのない言葉 沈黙と祈りだけで届くもの 言葉を選んで発することを 3.11被災地で歓迎された本 東日本大震災から10年以上が経ちました。 その後も、熊本地震、大阪北部地震など大きな地震が起こり、九州北部豪雨や西日本豪雨をはじめ、この夏もすでに日本各地で水害が発生し、そ…

  • 【きれいな家】=神は細部に宿る。見えないところまで丁寧に整える、という品性。

    // 英語では【God is in the details】。神は細部に宿る、という言葉。フランスの作家ギュスターヴ・フローベールの言葉で、ドイツのモダニズム建築家ミース・ファンデル・ローエが標語として使用していたことから広まりました。文字通り、ディテールを大切にするからこそ、全体が美しくなる。論理の細部を維持することで、論理の全体が機能する、などの意味で用いられます。家づくりや日々の暮らしにも同じことがいえそうです。引き出しの中を片付けるだけで、デスク全体がきれいに見えるように、隠れた部分、細かなところにまで気を配った家や暮らしから【きれい】が醸し出されてくるのです。 Contents. ゆ…

  • 【ムーミン谷の冬】=誰かを支えるためのやさしさについて。

    ムーミンがいちばん苦手なことは「ひとりぼっち」。やさしいパパやママ、仲間たちと一緒に、ムーミンはいつも冒険を楽しみます。フィンランドの国民的作家であり画家でもあるトーベ・ヤンソンが、私たちに伝えたかったこととは。 Contents. トロールの伝説をもとに誕生 冬眠から目覚めて出会うこと いろんなものをもちすぎてる トロールの伝説をもとに誕生 トーヴェ・ヤンソンは1914年フィンランド生まれ。 彫刻家の父と画家の母の元で早くから絵本作家や画家として活躍しました。 北欧の森には「トロール」という生き物が住んでいるという民話があり、この話から、ムーミントロールというキャラクターを作り出したといわれ…

  • 【失敗しないリフォーム】=大半は見える場所だけの「化粧直し工事」。壁・床下・天井裏…「見えない」部分に目を向ける。

    // 新築でもリフォームでも、完成後に見えなくなって隠れてしまう部分、つまり、壁のなかや床下、天井裏などの施工も大事です。目に見える部分だけをきれいにしても、じわじわと内側から結露やカビが出てきて、やがて構造材を腐朽させてしまいます。温度、湿度、空気など大事なことは目に見えません。断熱の話と共通する部分もありますが、安心リフォームの基本をまとめてみました。 Contents. 百年単位で住み継がれる欧州 リフォームを繰り返す行き先 断熱施工で実績あるビルダー 断熱改修という選択肢がある 新築は最後の最後の選択肢に 百年単位で住み継がれる欧州 ヨーロッパを旅すると、古い建物がたくさん残っているこ…

  • 【お金】=たった1日、「お金を使わない日」から気付いたこと。

    // 遊園地に行かなくても、近くの小径で樹木や草花を愛でることができます。ファミレスに行かなくても、子どもたちとカレーやホットケーキを作る楽しみは格別。高価なゲームや玩具より、パパやママと「家」で過ごす時間が記憶に残るかもしれません。お金のエネルギーを否定するのではないのです。身体と心のエネルギーを見直すことも、大切という話。 Contents. 消費する現場はどこも大混雑 古くなった服を着こなす感性 休日の過ごし方を少し変える 外よりも内に向かう暮らし方 消費する現場はどこも大混雑 日本人ほど、衣服とクルマのおしゃれにエネルギーを注ぐ民族も珍しいのではないでしょうか。 多くのブログも結局のと…

  • 【縁側とご縁のはなし】=いまの私に「悲しみさえも丁度よい」という腹のくくり方。

    // 縁側の「縁」、人と人との「縁」。同じ「縁」にも「ふち」や「へり」があり「えん」も「ゆかり」もあります。「縁側」のある家への憧れがありましたが、いい「ご縁」にも憧れます。人のみならず、お金や地位との「ご縁」にもあやかりたいのが、人間の弱さ、そしてエゴ。向こうからやってくる「縁」もあれば、引き寄せる「縁」もあるようです。 Contents. 縁側のある家に憧れる 並ぶから話せることも 「因」と「縁」の違い 選んだものが目の前に 「ありがとう」が修行 悲しみさえも丁度よい 出来事なら感謝できる 縁側のある家に憧れる 子どもの頃から縁側のある家が憧れでした。 しかし、自宅は絵に描いたような住宅地…

  • 【動線】=「短く」+「太く」が基本。理想は廊下をなくすこと。

    // 家づくりの際、大切なキーワードの一つに動線計画があります。動線とは、文字通り動く、つまり移動するための経路。寝室とトイレが離れている、キッチンと洗濯機置き場に移動するたびに、複数の角を曲がる、などは動線がよくないといういわれ方をします。私たちの建てる家はせいぜい30坪~40坪程度(地方によって異なります)。そのなかで快適な動線を計画することは、無駄なコストをかけない結果にもなるのです。 Contents. 日々の暮らしを細かく分析する 家族の数だけ異なる【家事動線】 朝夜を考える【通勤・通学動線】 水回りの移動を計画【衛生動線】 プライバシーに配慮の【裏動線】 行き止まりのない【回遊型動…

  • 【ちいさいおうち】=変わらないものの中に、きっと、大切なことがある。英語版もいいですが、石井桃子さんの名訳で読んでみるのもおすすめ。

    // 絵本を読む時間は、マンガをめくるときに流れる時間とは少し異なります。人生の中で絵本にふれる時間は、他の書籍やメディアに比べると、圧倒的に少ないことがわかります。だからこそ、大人になっても子どもの本や絵本にふれることが大切なのかもしれません。読むたびに発見や気づきを与えてくれる「ちいさいおうち」のそんな中の1冊。 Contents. 変わらないものの中にある価値 絵本を通して見える大人の社会 変わらないものの中にある価値 しずかないなかに ちいさいおうちがたっていました やがてどうろができ 高いビルがたち まわりがにぎやかな町になるにつれて ちいさいおうちは ひなぎくの花がさく丘をなつかし…

  • 【地震と住宅】=災害を生き延びる、住宅性能の基本と対策。

    // 世界でも有数の地震国・日本。地震を予知することは依然難しく、思いもよらない地方で大きな地震が頻発しています。どこに住んでも、地震が起きることを前提にすれば、可能な限りの備えが家族を守ることにつながります。加えて、近年の豪雨被害。災害時、どんなことを、どう備えればよいのか。備えあればの精神こそ、困難を生き抜く覚悟の体現といえそうです。 Contents. 震度6~7で倒壊しない家とは 住宅性能表示制度「耐震等級3」 建築基準法は最低基準と捉える 1981(昭和56)年がリスクの境 耐震・制震・免震の違いを知る 耐震診断だけは受けておきたい 地震保険の加入をどう考えるか いまだ4割にも満たな…

  • 【ガラクタとのつきあい方】=一度に処理するはひとつ、礼をもって捨てるべし。

    // 収める、整理する、片付ける。わかってはいますが、それができないモノとのつきあい。捨ててしまえば済むのでしょうが、それができないのです。捨てられない、片付けられない気持ちの心理、ガラクタと化していくモノたちが人生に与える影響。 Contents 10年間ふれたことのないモノ 兼好という名のミニマリスト ペン立てからペンを選べない すべてのモノに進路をつける 10年間ふれたことのないモノ 休日、家のなかの整理をすることが多くなりました。 自営業です。 会社員のように、いつも毎週末に休みをとれるかといえばそうではなく、週末の大半は出張。 家にいるときくらい、外には出たくないという気持ちになりま…

  • 【母の認知症】=在宅介護を経てグループホームに入るまで。

    // 父が亡くなったあと、30数年にわたり一人暮らしを続けてきた母。続けたのではなく、続けてくれたのです。しかし、私たちが気づかぬうちに、認知症はゆっくりと進行していました。実家を整理し、遠く離れた私の家に同居することになったのが5年前のこと。その後、いくつかの事件があって、近くのグループホームに入居することになりましたが――。 Contents 30年間の一人暮らしの果てに 悲しい顔をすると悲しい顔に 作り笑顔が母の表情を変えた 初めて食べた塩なしおにぎり やがて家族が壊れていく過程 施設入居を決断したきっかけ 覚悟をすることと諦めること 30年間の一人暮らしの果てに 母「今日は、ホウレンソ…

  • 【間取り・設計】=空間は「動線」や「場面」を、「時間」に置き換えて考える。

    // 動線から間取りを描くことも一つの方法ですが、さまざまな暮らしの「場面」を「時間」に置き換え、間取りを可視化することも、設計を考えるうえでは大切なことです。時間にも「動」が潜んでいます。 Contents. 間取り図の概念を壊してみる 時間のバリエーションを想像 あらゆる時間をビジュアルに あらゆる時間を妄想で描いて 間取り図の概念を壊してみる 住宅設計では、間取りや動線のことが話題になります。 動線は太く、短く。 間取りに関しては、当たり前のようにnLDKで考えてしまう人が大半です。 nは部屋数。 そこでは【空間】という概念があるようで、抜け落ちてしまいます。 廊下のない大空間を旨とすれ…

  • 【再読】=記憶がリサイクルされ、物語が血肉に刻み込まれる、究極の読書術。

    // 本好きの人は少なくありません。新築やリフォーム時には、自分の書斎をつくり、本棚を設け、毎日本を眺めながら暮らしたいと望む人も多いことでしょう。しかし、本来、本を読む目的は、暇つぶしや量を集めることではなく、生きる術(すべ)を学び、人生の仕組みを少しでも知ることにあります。人生の永い時間からすれば、本を読む時間はほんのわずか。だからこそ、自分の血肉になる読み方、集め方が必要なのかもしれません。 Contents. 本棚や書庫をつくる際の勘違い 結露の原因は断熱欠損に尽きる 本棚の容量を超えたら処分する 図書館は自分の本棚と思い込む 本は繰り返し読んで価値がある 新刊を買わなくても後悔しない…

  • 【軽自動車】=SUVから軽自動車に乗り換えて分かった、小さいクルマの大きな利点。

    // 2000ccのSUVから軽自動車に乗り換えて7年目。当初、乗り心地、安全性などに不安はあったものの、乗ってみればSUVに負けない快適な運転ができることがわかりました。安全装置も進化し、少し速度を落とすだけで、高い安全性を確保できる可能性も。ガソリン代やタイヤ、車検、保険、税金など維持費の安さも大きな魅力です。クルマに関するコストも光熱費と同じように「省エネ」「省コスト」。そして「交通事故」というカテゴリーのなかで「安全性」についても考えてみました。 Contents. 初めてのSUV購入後の大震災 年間15万円前後もの経費削減 速度を守れば安全性は高まる クルマの維持費は光熱費並み 生活…

  • 【エンディングデザイン】=家族が葬儀なし・戒名なし・墓なし――で決めた理由。

    // いろんな生き方があるのと同じで、自分のエンディングをどうデザインするかも大切な課題。簡素でも心のこもったおくられ方もありますし、埋葬のバリエーションも増えているようです。 Contents. こんな葬儀はいやだから 直葬が急増している理由 死を受け入れられる方法 顔もわからない子孫など こんな葬儀はいやだから 先日「おくりびと」という映画を観ました。 ずっと以前に録画しておいたものを、もう一度観たくなったのです。 途中、何度も涙が出たのは、これまで旅立った人たちの「おくり」の光景が、映画に出てくるさまざまな死の場面に重なって見えたからでした。 父も母も兄弟姉妹が多かったので、10代のころ…

  • 【空間】=家にも人にも「求めすぎないこと」で得られる「シンプル」の効果。

    // 住宅のかたちに左右される生活など、あってはなりません。人間が空間をねじふせながら、いかようにでも使いこなしていく。そんな創造力が住宅と生活の原点です。 Contents. 空間ごとの使用頻度を見極める 最初から空間を間仕切りしない 建築にねじ伏せられない暮らし 空間ごとの使用頻度を見極める わずか20坪でも開放感あふれる住宅があります。 地方などでは、60坪もの広さがあっても、一歩屋内に入るととてつもない閉塞感を感じる住宅もあります。 どんなに広い面積でも家族の人数分の部屋、仮に、その人数分の書斎や趣味室もほしいなあ…と考えていくと、いくら面積があっても足りません。 いわゆる小間割りされ…

  • 【すばらしい季節】=ターシャ・テューダー「平凡な毎日を自分の手で希望に変えること」。

    // 絵本作家として活躍し、92歳で亡くなるまで自然に寄り添った生活を慈しんだターシャ・テューダー。まるで絵本の世界に迷い込んだような18世紀風のコテージは、NHKのドキュメンタリーや映画などですっかり有名になりました。女手ひとつで4人の子供を育てあげ、その後は一人で「思う通りに生きてきた」と語るその人生は、亡くなったあとも私たちに多くの学びを与えてくれます。 あなたが気づいてくれるのを サリーは 農場に すんでいます 冬から春へ 夏から秋へ 季節がかわっていくとき サリーは じぶんのからだを ぜんぶつかってそれを たしかめます という文章から始まって、サリーという少女が、 「目でみて 耳でき…

  • 【ZEH(ゼッチ)】=国が推進する「ゼロエネ住宅」についての、いくつかの違和感。

    // by Bliss My HouseIdea ゼロエネルギー住宅、ネット・ゼロエネルギー・ハウス、エコハウス、パッシブハウス、ソーラーハウス、低酸素住宅、ZEH(ゼッチ)などなど、住宅にまつわる難しい言葉が飛び交っています。出口の見えない不景気、一向に上がる気配のない給料、高騰を続ける物価や光熱費、新型コロナの流行…といった状況下。大半の人が、そうした住宅はお金持ちだけが建てられる住宅であり、自分には関係ないと思っているに違いありません。これらのカタカナ住宅の大半は、エネルギーをセーブする住宅のこと。行政や住宅業界、多くの研究者が声高に省エネを叫んではいるものの、実際、日本人のほとんどはい…

  • 【正座】=朝、たった30秒の正座で、腰痛改善、その日の集中力、睡眠の質まで変わるという説。

    // 正座というと、しびれる、膝が痛いなど、あまりいいイメージがありませんが、腰痛改善や睡眠の質の向上、産後の体力回復など、さまざまな効果があります。ヨーガのポーズの一つでもありますが、意外にも、日本での正座の歴史はまだ100年程度。痛くない程度に、ちょっとだけ楽しむつもりの正座について。 Contents. 起床時の正座が睡眠の質を決める 正座という言葉の歴史は百年少々 ヨーガの正座は「稲妻」の意味が 日本人の身体は透き通って見える 同じアジアでも異なる正座の意味 韓国女性は立て膝の姿勢が美しい 起床時の正座が睡眠の質を決める 中国人の留学生の取材で「日本の生活でつらいことは」と尋ねたところ…

  • 【ユニバーサルデザイン】=赤ちゃんから高齢者、日本人も外国人も使いやすいデザインを住宅に応用する。

    // 誰でも一度は聞いたことがありそうな「ユニバーサルデザイン」。しかし、いざ説明しようとすると「バリアフリー」との違いもよく理解していないことに気づきます。身の回りの道具から住宅建築、街づくりまで幅広く応用される「ユニバーサルデザイン」の基本の基本。 Contents. 誰でも使いやすい仕掛けとして 「バリアフリー」と何が違うか 壮大な思想ではなく身近な発想 初期投資を惜しまない理由とは 新しい産業が生まれるきっかけ 誰でも使いやすい仕掛けとして 近代建築の巨匠ともいわれるル・コルビュジエの言葉に、「住宅は住むための機械である」という言葉があります。 住宅を機械だらけにするという意味ではなく…

  • 【撮影】=少しの工夫でプロ並みの「建築写真」Ⅱ(ブルーアワー編)。

    // 建築写真。いろんな撮り方があります。今回、おすすめしたい写真は、薄暮(トワイライト)タイムの住まいの表情。「マジックアワー」や「ブルーアワー」と呼ばれますが、青や藍がきれいなことから、ここでは「ブルアワー」とします。構図などは【撮影】の記事を参考にしていただき、三脚など大袈裟な道具や複雑な設定なしで撮影できることを前提にまとめています。一眼レフ、コンパクトデジカメともに手ぶれ補正が付いている機種がほとんどですので、ぜひ、手持ちで挑戦してみてください。 Contents. 【撮影する時間】 【カメラの設定】 【撮影の前準備】 【撮影する時間】 ブルーアワーとは、夜明け前や日没後、屋外の色彩…

  • 【新型コロナと換気】=エアゾル感染から身を守る、24時間(機械)換気と窓開け換気の基礎知識。

    感染拡大が止まらない新型コロナ。連日、多くの地方で過去最多を更新し、さらなる急拡大が続いています。そうしたなかで、改めて注目されているのが「換気」。感染経路と原因をたどるうちに見えてきたのは、エアゾル対策の欠如だったことが明らかになりつつあります。 Contents. エアゾル感染の怖さ 24時間換気システム 台所の換気扇もOK 効率的な窓の開け方 エアゾル感染の怖さ 空気中に漂う、病原体が含まれた微小粒子の飛沫を介して感染するエアゾル(空気感染と表現する場合もありますが、厳密には原理が異なる)。 1回の咳で約700個、1回のくしゃみで約4万個発生するといわれ、換気が不十分な室内や、混雑した室…

  • 【子どもの自立】=依存を経ずして巣立つことはできない、という逆説。

    // 子育ての最中、甘えや依存というと、あまり聞こえがよくないように思われがちです。自立というと、ちょっとカッコがつく気がするかもしれません。しかし、子どもにとっては「おなかいっぱい」というほどの依存が必要な時期があります。そんな自立と依存を経て再生した家族の小さな物語。 Contents. 子どもの万引き事件 課題を創った子ども 大人たちが川の字で 自立と孤立の関係性 家とうちとの違いは 子どもの万引き事件 C子さん夫妻は、 長い間深刻な不和の状態にあり、 互いに離婚は 時間の問題と考えていました。 お子さんは中学生の男の子。 ある日、スーパーで万引きをして 補導されてしまいます。 夫妻は「…

  • 【撮影】=少しの工夫でプロ並みの「建築写真」。

    // 新築やリフォームの完成時に、記録として写真に残しておきたいという人は少なくありません。ビルダーから撮影の依頼があった際、私は必ずビルダー用のデータとプリントとは別に、施主の記念用にとDVD1枚とフォトブックをセットで納品するようにしています。引越しを終えたばかりの頃は室内が雑然としていますし、数年経ってからでは、どんなに整理整頓しても、入居直前の空間を見ることはできないからです。プロは、一眼レフを三脚に備え、主に広角レンズを使って撮影し、最後は現像ソフトで調整するなどのプロセスを経ます。ここではみなさんお手持ちの(コンパクト)デジカメで撮影することを前提に、手間をかけずに、建築写真を撮れ…

  • 【断熱・気密】=暑さや寒さのストレスから身を守り、空間デザインを左右し、一生涯の家計に直結する「住宅性能」について。

    // クルマを購入する際には、燃費など性能=スペックを確認して、購入します。しかし、人生でいちばん高い買物といわれる住宅建築の際、燃費や耐震性、耐久性、耐火性などのスペックを確認して建築に臨む人は多くありません。残念ながら、日本の住宅の品質は規格があるようでいまも多くはバラバラですし、年間の光熱費が10万円の住宅もあれば、30万円かかっても暑い寒いの住宅までふつうに存在するのです。この際、住宅の性能の基本について、少しだけ覚えておきたいこと。 Contents. 住宅の燃費を確認しない日本人 断熱・気密・換気の基本性能 日本の基準はEU諸国の3分の1 住宅性能の尺度は24時間冷暖房 住宅の燃費…

  • 【建築家の名言集】=Less is More――削れ! 削れ! 削れ!

    // このブログでは繰り返し、家や暮らしを、ビジュアルではなく「言葉」で考えることの大切さを述べてきました。特に、失敗の少ない家づくりのためには、どれだけ多くの「言葉」を自分の内側から拾い集めたかで決まるといっても言い過ぎではありません。私たちに大きなヒントを与えてくれる、世界の建築家や大工の言葉。解釈は自分なりでいいのです。 Contents. 選択に迷ったときには 解答はまあまあで良い 「男と女の家」の基本 選択に迷ったときには 空間の造形とは、光の造詣だ。 ルイス・カーン 良い建築には独特の匂いがある。 中村好文 建築は、時間を超えた環境をつくりだすため、幾世代もの間で連綿と交わされる対…

  • 【ソロー/森の生活】=思索と友と社会と、孤独のための椅子──林住期、もしくは家住期について。

    // ソローはいいます。「質素な生活こそが、贅沢な生き方」。お金や便利さだけを望んでいるわけではないのに、人間は、どうしてそんなにあくせく暮らすようになったんだろう。そんなふうに、森の中で思索を続けるのです。170年以上も前、いまと比べ何もないに等しい時代に、森の湖畔で過ごした思索の日々。現代に生きる私たちが、彼の生き方から学ぶことはいまも余りあります。 Contents. 品格あるルポルタージュ 暖炉こそ家の大事な部分 自分の魂と向き合った日 自分の生き方を探すこと 内なる音楽に耳を傾ける 家住期と林住期との往来 品格あるルポルタージュ ヘンリー・D・ソローという人の書いた「森の生活」。 目…

  • 【至福の時間】=デンマークの「Hygge=ヒュッゲ」と日本の「だらだら」「ぼんやり」は案外、似ている。

    // 家のこと、あるいは特定の場所や人との関係について、私たちは「居場所」を求めようとします。ときには「居場所」が見つからず、世界をさまよい続けるほど、それがないと、生きていくのが困難なこともあるのです。しかし、居場所はもとから「ある」ものではありせん。最初から家は家ではなく、家族は「ある」ものではなく「する」もの、つくっていくもの。ちょっとした努力さえすれば、心地よい居場所は、ちゃんとできます。 Contents. ネコは基本的に単独生活者 心地よさを探すための方法 縄張りと居場所の違いとは 愛猫が危篤になったあの日 ヒュッゲの根底にあるもの だらだら・ぼんやりの時間 意味もなくそこに居るこ…

  • 【自己肯定】=自分を褒める言葉を文字にする。そんなシンプルなことで、潜在エネルギーを引き出す方法。

    // 私たちは、日常の大半をおびえながら生きています。きびしすぎる自己評価、気になって仕方のない他人からの評判、怖れ、悲しみ、焦り、不安――それらの気持ちは、自らの創造性をせき止めることにもつながりかねません。私たちの中に潜在する否定的な思いを手放すためにできることを、一緒にを考えてみませんか。 Contents. 自己否定をする自分を否定する? 無理をしてでも自分を褒めてみる 自己否定の皮を一枚ずつ剥ぎ取る 自己否定をする自分を否定する? 私たちは、知らず知らずのうちに、否定的な思い込みをたくさん抱えて生きています。 こんなことを言うと嫌われそう。 こんな行動は、誰かを傷付けるかもしれない。…

  • 【マザー・テレサの言葉】=あなたの正直さと誠実さとが、 あなたを傷つけるでしょう。 気にすることなく正直で、 誠実であり続けなさい。  

    // ● はてなブログを始めてから 3年目。 3000字以上×100本になるまで書き続けよう、 という目標を決めて書いてきました。 読者になるとか、 はてなブックマーク、☆のこと コメントのつけ方など まだわからないことばかりです。 アフェリエイトなども勉強しましたが、 さっぱり効果が実感できません。 www.ienotomo.com // ● 先日、ブックマークをいただいた方の ブログを拝見したら コメントのところに悪口をたくさん書かれていて もうブログを書いていく 気持ちになれない という内容が綴られていました。 ブックマークは プライベートモードというのになっていました。 ブログには、わ…

  • 【障子】=すぐに破れてしまう、そのはかなさ、弱さを慈しむ気持ちが、日本人の美学と礼節をはぐくんだのかもしれない。

    // かつては紙や木、土だけでできていた日本の家も、いまや化学製品が主流を占め、使われる自然素材は数えるほど。ビニールやプラスチックのように、いつまでも丈夫で頑丈なことはいいことですが、身近に「生命」の息遣いが感じられなくなったことは少しさびしい気がします。 Contents. 光と影が自在に躍る建具 はかなさゆえの魅力とは 生命に秘められた美しさ 光と影が自在に躍る建具 遠い昔のこと。 家の庭の花々が一斉に咲き始める季節になると、母と一緒に障子の張り替えをするのが恒例行事でした。 建て付けの悪くなった障子の建具を外して外に持ち出し、張り替えの前の障子紙をグウのパンチでボスッボスッと破っていく…

  • 【居場所】=帰りたい場所、帰るべき場所…幸せな「おうち」の記憶。

    // 帰りたい。ふと、そんなことを想う瞬間があります。では、どこに? 私たちの帰属すべき場所や時間が、私たち自身の内側の知らないところに、刻まれているのかもしれません。家の性能やデザインも大事なことですが、私たちがほんとうに大事にすべき居場所と時間を考えます。 Contents. 父のすね毛のぬくもり 人間の芯のようなもの 帰りたい時間と場所は 父のすね毛のぬくもり 暖冬とはいえ、寒い日が続いています。 こんな日、ふと思い出すあたたかな時間、あたたかな場所があります。 あたたかな、と聞いて、まず思い出すのは二つの場面。 一つは、子どもの頃、厳寒の地で暮らした家の茶の間に置かれた石炭ストーブ。 …

  • 【小さな家のローラ】=自然と共存する暮らし、理想的な家族像は、世界のどの地域の、どの時代にも通ずる普遍的な物語に。

    // もう30年以上も前、土曜の夕方に欠かさず観ていたNHKテレビの「大草原の小さな家」。その原作「大きな森の小さな家」を安野光雅さんが絵本に描きおろした作品です。 Contents. 活字と絵で甦るインガルス一家 安野光雅が描く絵と独自の翻訳 いつまでも本棚に置きたい1冊 活字と絵で甦るインガルス一家 主人公のローラの家の見取り図や 家族や近所の人たちなど 「物語にでてくる人たち」の絵から始まり、 すべてのページに 安野さんが監訳したやさしい文章と挿絵が配され、 インガルス一家の暮らしや 周囲の自然がよくわかるように編集されています。 テレビの中の家族の表情や暮らしの場面が 浮んできますが …

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