風の匂いに敵うものなんてない、たとえ言葉をもってしても

風の匂いに敵うものなんてない、たとえ言葉をもってしても

調子が悪い時はたいがい「愛」「正しさ」「概念」「教育」などおよそ実体のないものについて考えている。それらに何かしらの定義をつけたくて、言葉を探して思考を巡らせている。今もそうだ。だいたい何も生まない。そういうことか!と目から鱗が落ちる事実を頭の中からひねり出すこともできなければ、うまく言えたぜ、へへとほくそ笑むこともなく、ただぼんやりとした時間が過ぎていくだけ。 で、そういうものについてひとしきり考えた後はだいたい感傷的になって、今度は過去を振り返ったり未来を憂いたりする。刻々と変化する時制についていけなくなって、なんだか誰かに触れたいような衝動に襲われる。これも全部、感覚的な話だ。たぶん誰か…