■ ブラックスワン

■ ブラックスワン

心持ち歩くペースを上げた静流の目に一人の青年が映った。 みやげ物屋の前、興味津々といった様子でショーケースの中のかまぼこを真剣に凝視している。 十代後半か、もしかすると二十歳前後で自分とそう変わらないのかもしれないが、 表情や仕草がやけに幼くて、どことなくアンバランスな気がした。 艶やかな黒髪と目を引く綺麗な顔立ちもあり、気になってしばらく見ていると、 何やら店の人…