10代最後の夜

10代最後の夜

過ぎてしまった事をあまり覚えている方ではない。過去の出来事を挙げられても「そんな事あったかな」と首を傾げる事が多い。 しかし、その空間に居た複数人が見聞きしていたはずなのに、どうやら俺だけが鮮明な記憶を保っているらしい出来事もあって、例えば今自分に向かって話している相手の名前は思い出せないのに、彼女が後期中間試験の日本史で84点を取ってなお暗い表情だったことなどである。いつか忘れてしまうことと、いつまでも覚えていることの境界線とは不思議で意識の及ばないものである。 記憶と向き合うと、文化祭や体育祭などの大きな出来事はそれなりのスペースを占めているのだが、注意して見るとそれは題名ばかりが強調され…