江國香織について
10代の頃から読み続け、今でも変わらず面白いと思える作家は少ない。 江國香織を初めて読んだのは確か、高校2年の頃だった。あの時の私は1年間で100冊の本を読むと決めていて、しかも1冊読んだ作家の別の作品はなるべく100冊の中に入れないようにしていた。100人の著作を読む、と言い換えてもよいのだろう。 初めて読んだ時から、この人の物語の印象はあまり変わらない。どの作品にも独立した世界観があり、なのに必ずこの人が描いた作品だとどれを読んでもわかる文体が1本筋を通している。 個人的に、この人の一番の魅力はその文体だと思っている。「やわらかく冴える」とか「思い出はおはじきのように丸く可憐」とか、一見つ…
2019/02/11 15:44