1章(後編)
図書館までの15分程の道のり、春先の少し暖かいくらいの気温の中、歩道から見える公園の桜はいつ見ても綺麗だ。 「ねぇ!さっきから、なにぼーっとしてるの?」彼女の顔がいつの間にか僕の顔の前にあった。 「いや、桜が綺麗だなと…」咄嗟に言葉が出て少しほっとした。 「たけるくん、よくみてるねぇー。確かに桜の季節だねー」 その時、後ろから 「また、一緒に放課後遊ぶのかー?仲良しだね。」圭人だった。 「またって?」奈々がきょとんとした顔で聞く。 「昨日二人で校門を出たのがたまたま見えたんだよ。」 「なーんだ。違うよ。今日は、図書館に勉強しに行くんだよ!」 高木さんは誇らしげに言った。 「じゃぁ、俺もいい?分…
2019/01/29 00:17