白球の“リアル” ―『プレイボール』二次小説― <第1話「変わる“リアル”」>

白球の“リアル” ―『プレイボール』二次小説― <第1話「変わる“リアル”」>

第1話「変わる“リアル”」 正門を出ると、学ラン姿のグループに出くわした。三、四……いや五人か。 暗がりで顔はよく見えないが、バットケースの影が揺れているので、野球部だと分かった。背格好から、おそらく上級生だろう。何やら談笑しているようだ。 「お先に失礼します」 イガラシは、すれ違いざま、制帽を取って軽く会釈した。 「おお。イガラシかぁ」 聴き慣れた声だ。その影がこちらに振り向く。グループの中で、ひときわ小柄な少年。こう言うと怒るだろうが、おにぎりのような顔の輪郭。 「丸井さん、まだ残ってたんですか」 「イガラシ。おまえこそ、こんな時間まで何してたんだよ」 「部室を掃除してたんですよ。床がちょ…