“現象学の倫理”って何?~村上靖彦著『客観性の落とし穴』から学ぶ~
「先生の言っていることに客観的な妥当性はあるのですか?」 『客観性の落とし穴』(村上靖彦著)の著者は、医療現場や貧困地域の子育て支援の現場で行ってきたインタビューを題材として用いた大学1・2年生向けの授業で、学生から上述のような質問を受けることがあったらしい。ともすると、現代社会では「客観性」や「数値的エビデンス」は真理とみなされている。しかし、客観的なデータでなかったとしても意味がある事象はある。数値に過大な価値を見出していくと、社会はどうなっていくのだろうか。客観性だけに価値をおいた時には、一人一人の経験が顧みられなくなるのではないか。そのような思いが湧いたことが、本書執筆の動機だと著者は…
2025/03/15 09:40