がんばらなくていいよ。(中編の下)

がんばらなくていいよ。(中編の下)

あまりにもありきたりな、お寒いジョークでお茶を濁してみたものの 空気がフリーズするだけだった。 癌。といっても、いろいろな病状があるはずだ。立ち直った有名人もいる。 最近の医学ならば、案外治るものではないだろうか。 専門家でもないのに、適当な文句をひたすら並べてみた。 信じたかった。全て元どおりに、丸く収まる。なにも問題がない。 自分がしてきたことのつけを払うことなどあり得ないと信じたかった。 そんなことあり得ないのに。 その時は適当に励まして、場を濁した。どうしようもなかった。 帰り道は膝に力が入らず、生まれたての子鹿のようにへなへなと歩いた。 このままにしては置けないのはわかりきっている。…