センスだけの犀
_僕はセンスだけで生きてる。 _そういう人間がどれくらいいるか知らないけど、きっと活躍が限られた人生を送ってきたのだと思う。努力するには有り余り、怠けるには隙があるこの才能を僕たちはもてあましてる。 「リノウ、リノウ」 _と僕の前で犀が鳴く。ずっと横を向いて、角を気に擦り付けて、落ち着かない様子の灰の犀。僕は毎日上野公園の犀と話す職に就いていた。 _僕は以前日本語をサイに教える仕事をしていた。でも思ったような仕事内容でなかったのと、待遇に不満があってやめた。ある日経験を活かせる職はないか探していたら、偶然今の仕事を見つけた。僕は早速履歴書をしたため、面接した。面接は滞りなく進み、すぐに採用通知…
2018/09/29 08:05