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荒ぶるタマシイ https://araburutamashii.blog.ss-blog.jp/

図書館司書の書く書評や、本の感想。本との出会いや、備忘録。読書記録。

図書館司書の資格を取りました。本を読むようになったのは大学を出てからです。もっと早く本と出会ってたらなぁって思います。読書家と呼ばれるように、本を片手に頑張ります。

なま
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2018/10/26

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  • 引っ越すことにしました

    長くこのブログに読書記録をしてきましたが、この度、新しいブログへ引っ越すことにしました。 新しいブログ:https://namachan.club 今後もよろしくお願いします。 以前の記録も移動させていきます。

  • ポジティブ心理学が一冊でわかる本

    久しぶりのポジティブ心理学の本ですね。 過去に行われてきた研究をもとに、テーマごとにまとめられた本で、とても読みやすく書かれている印象があります。ポジティブ心理学がこれまでの心理学とどのように違い、そして、学問として進んでいくために大切にしなければならないことも考えさせてくれます。私たちは常にポジティブであればいいのではないのです。やはり望まないことは起こるし、幸福だと思って進めていった結果が実際には幸福感を減らしていることに気づくことで、目の前の行動を変えることができるというヒントをくれるのです。 何事にも日の当たるところがあれば、陰になる部分があって、自分がそれをどちらから見るかということで生きやすくなるのならばやはり私はポジティブであれと思います。特に興味をもって読めたのは、情報社会となり多様性が認められ、選択肢が増えすぎることが逆に幸福感を減らすという「選択肢の多い時代を生き抜..

  • フィンランドはもう「学力」の先を行っている

    水と安全はタダと言われた国があった。 そうです、日本です。今はどうでしょうか。 私はどちらも高い買い物だと思います。 さて、フィンランドでは「教育」がタダなのだそうだ。 日本では教育にどれほどお金がかかっているのか…考えるだけでゾッとする。 そして、教育に対する考えが全く違う。 フィンランドの教育は、職業や人生に寄り添っている。なので、必要な段階で必要な教育を受けることができる。国籍に関わらず、教育は無償で提供されるのだ。 日本の将来なりたいことのために、戦後に決められた5科目の授業を覚えるのではなく、なりたい職業に向けた職業訓練を受け、実社会で実習をしながら再教育を受けることができる。 同じ「必要だから学ぶ」でも、考え方は全く違う。 本書の中にあった、フィンランドでは良き生産者を育てようとするが、日本では良き消費者を育ててしまうというのが心に刺さる。 これからは企業に..

  • 子どもが主役の学校、作りました。

    世の中には、いろいろな学校がある。 そして、日本の教育制度はそれをなかなか受け入れようとしない。 それがよくわかる本である。 「自分の子どもにどんな教育を受けさせたいか」このことを考える時に二つの軸がある。 まずは親側の軸である。自分自身が受けてきた教育を受けさせるということだ。 いい学校で、いい成績をとって、いい会社に入る。 このパターンはこれからいつまで通用するのだろうか?現在すでに破綻しつつあるのにもかかわらず、相変わらず信者は多いし、自分もなんだかんだと言いながらも、自分の経験をもとに考えてしまう。 そして、もうひとつの軸は子どもの未来を見据えてである。 すると、自分と同じ教育を受けさせたのでは、生きていく社会が違いすぎると感じる。 そして必要なものは何か?と考えると、教科として教えられているものではないのかもしれない。 今回は自分の子どもが小学校に上がる際..

  • サヨナライツカ

    恋愛小説…なんだろうなぁ。 燃え上がる恋は結婚を決めた男性の前に現れる。好青年と呼ばれた彼は、その呼び名の意味が変わっていく。結婚直前まで燃え上がる恋と堅実な人生を天秤にかける。 あぁ、物語だなぁと思うのは、そこはどうなったのか?と思うところは全部飛んで次のシーンに移ってしまうところだ。これはズルい。そこをもっと描写してよ。もっと教えてよってしっかりと物語の中に吸い込まれている。 そして、25年の歳月は1ページにもならずに、飛んでゆく。そこからの展開は早いのた。4ヶ月をあんなにじっくり書いたのに…。そんな、憎らしいところがたくさんあるの。この好青年は結局、悩んだが堅実に生きたし、恋は失ったかもしれないが、生活は失わなかった。 さて、それは幸せか。一緒にいないからこそ続いた恋7日もしれない。兎に角、ズルい好青年はいつまでも変わらない。 愛したことと愛されたこと…どちらを思って私はし..

  • A2Z

    アルファベットA〜Zまでで26文字…この26文字を使えば気持ちを伝えることができる言語。 そんなA〜Zを頭文字にした単語が物語を構成している。内容は恋愛、それも夫婦がそれぞれ恋しながら夫婦であり続ける物語。この気持ちわかるなぁなんて言ったら今の御時世では爪弾きにあうのだろか?恋に理由はなく、帰るとこがあるがゆえに始まる恋や続く恋はその状況が変われば終わっていくのかもしれない…。 さて、読後の感想は物語は短編が繰り返されるように短い物語が積み重なるのでとても読みやすい。そういう意味ではA〜Zの26文字は良かったと思うが…選ばれる単語やここにその単語はいるのかな?という疑問が残る。

  • どんなことからも立ち直れる人

    逆境をはね返す力「レジリエンス」の獲得法 一日で一気に読んだ。とても読みやすく、語りかけてくるような本だった。自分に必要な本だったのかもしれない。 レジリエンスのある人は問題に対処し、レジリエンスのない人は愚痴を言う。 自分の在り方を考えさせられる本だ。一人であることは、支配されることよりも幸せであり、常に準備した人が千載一遇のチャンスを手に入れる。 こんなにストレートに何度も何度も短い言葉で語りかけてくる。 プロアクティブ(対処する人)とリアクティブ(何もしない人)。 状況に応じた対応をすれば不幸ではなく、学べる。 状況に嘆く人は、何も学ばず、嘆き続ける。 今からでも変われる。どんな状況であれ環境であれ、自分の在り方が幸不幸を決める。 簡単そうで難しい。読んで納得できるが行動に移せるかというとそこが難しい。プロアクティブでなければならない。そしてレジリエンスがあれば現実..

  • 北風

    これは小説…物語なんだよなぁ?早稲田大学ラグビー蹴球部を題材にした物語。大会で優勝するとか、感動的なエピソードとかが語られるわけでもなく、一人のラガーマン、高校時代に花園に行けず一浪して入った早稲田はラグビーをやるためではない。しかし、一度ラグビーの魅力に取り憑かれたものは、そこへ戻っていく。高校時代に精一杯やったラグビーがいかに甘かったかを思い知る、そして苦しみの中で考えて考えながらもただただ自分をいじめる。一人ひとりが同じように追い込みながら一つのチームになっていく…それを三本目や四本目の一年生はその中で見ている。それだけの物語なのになぜか早稲田ラグビーに憧れを持ちながら読んでしまう。そんなけやっても勝てないが最後に開放されていく…。あぁ、限りあるからやれる…そんなことを感じさせる。 解説の清宮克幸が語るところもやはりこれが早稲田だと物語なの?と思わせる。あぁ、ただの日常は異常な日常..

  • 学校ってなんだ!

    麹町中学校で定期テストの廃止、校則の自由化を進めた校長として時の人となった工藤勇一、劇作家で演出家の鴻上尚史の対談記録。日本の学校が今変わる時にきているのに、だれもが苦しみながら昔の方法を守ろうとする学校。そして社会と学校がどんどん異質なものになっていく。そんなことが学校の校則から生まれてきているということがよくわかる対談であった。読んでてすごく納得してしまう。子どもたちの取って大切なことは命を守ることなのに、教師は頭髪や服装にばかりうるさくて命がかかわることは割と見過ごしていく現状。学校は何をしに来るところなのかを改めて考えながら読める本であった。大人が決めたルールを守らないと怒られる。この形態を変えない限りは、子どもたちに主体性は育たない。それはルールに従うだけの子どもは何事にも当事者意識が生まれないからである。当事者に育てる。そういう機能が学校に必要で、髪型や服装をそろえさせることよ..

  • 四畳半タイムマシンブルース

    題名にタイムマシンと出てくるのだから、そりゃ物語にもタイムマシンが登場する。それなのに、読んでいてタイムマシンが出てくるまでは、そう思っていなかった…。何とも集中力のない読書である。ファンタジーは…ちょっとと思いながらも楽しんで読んでしまう。未来も過去も決まっていてタイムマシンに乗って何をしたところでそれも全て決まっているから何も変わらない。それは一冊の本のように全て書かれている。しかし、読み手は前からしか読まないから、過去と未来が生まれるという。これも一つ面白い考えだと思う。さて、エアコンのリモコンはなぜ壊れたのか…そしてその下宿に伝わる伝説は…くだらない題材を書いた最寄語りだが…タイムマシンに乗ってときを入れ替えていくと面白い物語に変わる。 寝る前のひとときを楽しい時間に変えてくれた物語であった。 四畳半タイムマシンブルース [ 森見 登美彦 ]ショップ: 楽天ブックス価格..

  • ポジティブ心理学

    「幸福」であることを目指す。 そのことで、経済的にも心理的にも身体的にも健康になる。 これまでの心の治療といえば、マイナスをゼロに戻すことであったが、これからはプラスを目指すことで社会を変えていこうという取り組み。2000年にアメリカのセリグマンによって提唱されたポジティブ心理学は、国内でも企業組織の中で実践を積んでいる。そもそも日本人は欧米に比べて、自分の幸せよりも集団に貢献しようとする文化があるように思う。そこで大切なことは自己犠牲ではない、自らも幸福である貢献が必要なのだ。人の役に立つということは確かに心の健康を育む。目からうろこというか、これまでの治す心理学から、創造する心理学へと変わっていく予感である。 単語としてはよく耳にしてきた「ウェルビーイング」について、深く考える一助となった。そして、ネガティブなことを指摘する傾向の高い学校教育でこそ、このポジティブ教育を行うことで..

  • 龍神の雨

    最初は、なんだか同じような兄弟と場面がコロコロと変わって登場人物も似たような感じなので頭の中で???となっていたけれど、その二つの兄弟が出会い、そして一つの物語として重なっていく。 どちらも本当の親ではない親子関係に問題を抱えて。真実と勘違い、思いと思い違いが重なり合って、ストーリは進んでいく。そして、表と裏の顔を持つ登場人物が、物語をぐっと面白くする。ゾクゾクしながらページをめくるこの感じがとてもよかった。でも、なんともやりきれない物語の終わりは、そこまでしなくてもいいのにと思ってしまい、しばらく後をひく。ちょっと気持ち悪い性も絡みながら、進められていく物語にどっぷりとハマりました。 真実は如何に!!という場面がたくさんあり、人により同じことを違う捉え方をし、心の深いところで絡み合う人間描写に力強さを感じることができた。 あぁ、小説は面白い。小説だからそう言える内容だった。 ..

  • 煌夜祭

    またまたファンタジー それも割と暗い感じの小説だった。 語り部が物語を冬至の日に朝まで話す。魔物がでるその日に、魔物が物語に熱中するがゆえに、人が食われずに済むからだ。短編集のように書かれた語り部が話す物語は、最後に絡み合って一つになっていく。 読んでいて、自分自身がこの横文字の名前が頭に入らず誰がどの人で、どうなったのか…流し読みしてきたばかりにうっすらと繋がるもののという状態で不完全燃焼であることは否めない。こういう物語は映像も交えて、見た方が記憶に残るのかもしれない。結局、ファンタジーにどっぷりとつかれない自分がいるのだ。なんとなく自分と重ねながら本を読むのが好きな僕にとっては、ファンタジーは現実とかけ離れすぎているのかなぁと思った。読みたい本がたくさん机に並んでるプレッシャーも少なからずあり、不完全燃焼ではありながら次の本を手に取る。 こういう小説は、もっと若い時に読んでお..

  • はてしない物語

    知り合いに紹介された小説。ファンタジーはあんまり読まないけれど…。 紹介されたので読んでみることにした。これが上下巻に分かれた超大作でした。 私が読んだのは文庫本だったけれど、結構古い物語で訳者あとがきを読んでみると、最初に出版された本は物語にでてくる本と同じような装丁で作られていたという。とてもこだわりのある本だったようだ。 内容は、少年が読んでいる本の中に吸い込まれていくと言っても、物語の中に登場するという意味ではあるが。私ははてしない物語という本を読んでいる。そして、主人公であるバスチアンは、はてしない物語という物語のなかで、はてしない物語を読んでいる。そしてその本に吸い込まれていき、物語を作り出していく。原書は2色刷りで読んでるところと物語は別の色であったようだが、文庫本ではわかるように書き方を変えていた。どうしても翻訳本は登場人物の名前がややこしい。覚えられない。それでも、..

  • 片眼の猿

    道尾秀介のミステリー、ストーリーは読みやすくわかりやすいが…課題となる事件よりもその前後の中に面白みというか人間模様というか、本当の物語があるような小説だった。言葉足らずの説明で、ちょっとした引っ掛かりがある説明にことごとく騙されて最後に種明かしがやってくる。これはカラスの親指やカエルの小指につながる道尾秀介らしさなのかもしれない。目に見えるものではないものを信じると言えばいいのだろうが、種明かしされた探偵事務所に果たしてどんな依頼人が来るのだろうかとも考えてしまう。 読み終えて、探偵としての物語はあっさりさっぱりだったなぁと振り返る。 こうやって書いておきながら、いろんな角度から楽しめる小説だった。ドロドロはなく、勘違いばかりの物語。 片眼の猿の説明はなんとも切ないものでした。 片眼の猿―One-eyed monkeys―作者: 道尾秀介出版社/メーカー: 新潮社発売日:..

  • リボルバー

    原田マハの素敵な小説。 ゴッホが自殺を図ったリボルバーかもしれないリボルバーがオークションに出品された。 そんな事実のかけらから、その先にこれだけの物語を見つけるとすればさすがである。 ゴッホにもゴーギャンにも詳しくもなければ知識もない僕が読み進めながら途中うとうとしてしまうこともありはしたものの、やっぱり最後まで読み切って、こんなにうまく史実からはみ出した物語を書けることがうらやましくて仕方ない。 凡人にとって何気ない日常のひとかけらは、天才には芸術のスタートとなるのだろう。 原田マハが今回はリボルバーを元に物語を書いたように、ゴッホやゴーギャンは風景や向日葵、人や教会を見て、それをアートに変えたんだろうと思うと、これまでは何の興味もなかった絵が少しは理解できるかもと勝手に思い込んでいる自分がいる。きっと僕が見たところでその絵のすごさはわからないのだが、この小説の面白さはしっか..

  • ハレルヤ!

    重松清の小説。本文中にもあるけど時代背景のしっかりしたというか、日にちが入った内容。忌野清志郎が亡くなったことをスタートに昔のバンド仲間がバンドを解散してからの、それぞれのこれまでを持ち寄りながら、覗き見しながら、集まっていく物語。途中に重松自身の言葉が登場して時代を語りだすところが重松清らしい。なんとなくイメージできるし、なんとなく全部を物語にしない。それぞれの言葉の多くは語られてはいない言葉だし、その回想の中にこそ重松小説のらしさと、共感できる部分だと思う。まさにレコードのB面にうつるというのが今の自分にぴったりで、登場人物の心のつぶやきが僕の心にも染み込んでくるから不思議だ。 別に僕が昔、音楽をやっていたわけじゃないし、むしろ音楽とは無縁の人生だった。それでも音楽が僕の中では違うものに置き換わり、自分の中の回路を揺さぶってくるから、面白い。重松の作品は丸く収まることを嫌うし、むしろ..

  • 小説8050

    新聞の紙面広告で見て、図書館の方に話をしたところ、気にして頂いていて、蔵書に加えられたときに声をかけていただいた。 さて、8050問題。今回の小説では中が高時代にいじめられて引きこもっている20歳の少年とその家族に関する物語である。近所の人が80歳の親が亡くなり50歳で仕事もしない子どもがその家から連れ出されるところから、明日の我が家と重ねて、7年前のいじめについて裁判を起こすという物語であった。それにしても父親の歯科医は本当に自分勝手で後先を考えずに激高する嫌なオヤジである。そんな親父だから裁判に持っていくことができたのかもしれないが…なんでそこでそうなるかなぁと読んでいて何度も舌打ちをした。でも、他人の物語を読んでいるのと、自分の家族で起こることはやはり違うのだろうとも思う。自分だっていざ子どものこととなると、どこか冷静さを失うことがある。 小説としては、後半の流れは一気に加速する..

  • カエルの小指

    道尾秀介のカラスの親指を読んだのはいつだったかなぁ。紹介してくれた人のあらすじが、本編とは全く違って読んだあとに文句を言ったらそういう本だったでしょ…と言われたのはよく覚えているが、その物語の内容はほとんど覚えてない。 そして、今回はその続編。何回かカラスの親指の回想が出てくるけれど、やっぱり思い出せないまま読んでみて思ったのは、ウソばかりの物語だなぁということ。読んでいて何回も騙された。詐欺師とはこうも上手く人を騙すのかなぁ…すると道尾秀介も詐欺師の一人なんだろうか。小説家と言うのは案外そうなのかもしれないと妙に納得してる自分がいる。 詐欺師から足を洗った男の元にかつて助けた女性のこともが現れる。そして母を自殺に追い込んだ詐欺師を探すために協力してほしいと言うところから物語は始まる。あとは何がホントで何が嘘かは最後まで読まなきゃわからない。 寝られなくなる物語であることは間違いない..

  • 11文字の殺人

    東野圭吾の作品です。 割と新しい小説だと思って、手を取りました。 なんとなく、記憶のどこかで引っかかる作品でした。 こういう小説はどこかでドラマに使われていたりするのかなぁと思いながら、それでも最後まですらすらと読めてしまいます。 そして、読み終わって1990年に発行された小説の新装版だと知りました。 きっと、遠い昔に読んだことがあるのでしょう。 まぁ、まったくストーリーを覚えていなかったので、初めて読むのと同じ感覚でした。 ストーリーとしては、よく出来すぎている作品で…そうはならんでしょうと思うところもありましたが、それでも結末に少し驚きのような物足らなさのようなものを感じながら夏のひと時を過ごすことができた。時間のトリックは読んでいる中でなんとなく感じる書き方がされていたので…ただ答え合わせをしてみる時に、出てくる情報があるので、結局は読み手にはわからないようで違和感だけ..

  • 絶叫

    友人に勧められて読んだ本。 とーっても重いミステリー。 600ページを超える長編小説でしたが、苦にならず読み進めることができたのは、物語のテンポがとても良い。数人の視点から一つのことを振り返っていくストーリーはなんとなく湊かなえの作品を思い出すし、事件を追う刑事の人間模様や加害者である女性の重なり合うような人生観がとても面白い。内容はすごくグロテスクで悲惨で、かわいそうな部分もたくさんあるが、どこかで割り切れない納得できない思いを抱えながらもそういう人生を選んでいくのもわかるような気がする。 結末まで読んで、少し安堵している自分がいる。過去を過去として、新しい未来の中に違う人生を歩むことができるのだろうか、不謹慎にもそんなことを考えてしまう。 人生をやり直すということが、今回の小説のようなギリギリの深い部分ではなく、もっと浅い部分で過去を背負ないながらもできるくらいのところであがい..

  • 旅屋おかえり

    原田マハの小説。原田マハといえばアートを題材にした物語が多いが、そればかりではないことを感じられるとても面白い内容だった。 売れない元アイドルが、旅する中で出会い、状況を変えていく。そういう姿を見て楽しい気持ちになる。物語の最後に向かって何気ない一つ一つのエピソードが絡み合っていく。よくできた物語だと言わざるを得ない。しんみりとしながら、明るい人柄を感じながら、ああこんな旅ができたら楽しいだろうなとおもう。 芸能人が旅する番組を見るのは楽しい。そして、そんな芸能人にぜひここに行ってほしいという思いもよくわかる。 そして、私も旅が好きだ。下調べしているときから旅は始まる。いろんなことをいっぱい詰め込んで忙しいくらいの旅が好きだ。なんとなく、芸能人の旅番組のようにスケジュールをたくさん詰め込んだたびにいつもなってしまう。 旅をするということだけで、多くのものを吸収できるし、そこでこんな..

  • 向日葵の咲かない夏

    ぞくぞくするような小説だと言われて紹介された。 その通りにゾクゾクしながら読み進めたミステリー。 ありがたいことは、死んだ人が小動物に宿ってしゃべりだすという現実では起こらないことをあっさりと何の疑いもなく書いてくれたことだ。おかげでリアルな恐怖を感じずに物語の中でドキドキすることができた。 主人公は小学生…でも、本当にそうなのだろうか…。読み終わってもスッキリしない。 この読書後の残る重い空気は何だろうか…。しっかりと後味まで悪くしてくれた。 親戚の家に引き取られるということは、死んでしまったのだろうか。そして、それでも会話しているということは、小動物に宿ったのだろうか。 気持ち悪いなぁと思いながら、ページをめくるのがやめられなくなる。 この気持ちは、クモの居る瓶に、女郎蜘蛛を入れた気持ちと同じなんだろうか。 人の持つ、とても醜いものがたくさん詰まった小説だった。 ..

  • 本と鍵の季節

    新聞の広告をみて、図書館で探した。 読んでみると、どこかで聞いたのかな?見たのかな?読んだのかな? なんとなく既読感のある内容であったが最後まで読み切った。 内容は高校生を主人公としたミステリー。書き方はすごくあっさりとして、細かいことに深く立ち入らないような文章でありながら、おおそんなことが身近で起きるのかぁという内容であった。 そして、最後は中途半端な形で終わっていく。ミステリーの一番いいところはご自由に想像してくださいという内容であった。 高校の図書委員が主人公であるからか、図書館の知識が謎の解決に利用されたり、図書館豆知識がたびたび登場する。図書館に興味のある人にも興味を持たれる小説であろう。 本と鍵の季節 [ 米澤 穂信 ]ショップ: 楽天ブックス価格: 1,540 円 本と鍵の季節 (集英社文庫)作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 集英社発売日: ..

  • 未来

    湊かなえの小説を図書館で借りてきた。小説は買うのは文庫だと決めているが、借りるならハードカバーでも構わない。持ち歩けばトレーニングにもなる?(笑) 湊かなえらしい小説だった。いくつかのエピソードが一つになる。それぞれの視点があり、行ったり来たりする。途中、やるせない気持ちになるし、こんな強く生きれたらいいのになぁと思ったりもする。今回は未来からの手紙が届いたことから始まる。自分にとっては遠い世界の話だと思う虐待やいじめ…でも実際には思った以上に起こっているんだろうなぁ…ああこんな悲惨なことが実際にあるのかと、目を背けたくなるような内容で、でも怖いもの見たさで読み進める。 人間らしいところの描写に頷いたりしながら、ページをめくるたびに沼に深く足を取られるような気持ちにもなる。 一つ言わせてもらえば最後の終わり方が気に入らない…そんな中途半端に終わってしまうのか…この後はどうなるのか..

  • アドラーをじっくり読む

    定期的にアドラーの本は必要である。 「あぁ、こんなに大事なことを忘れていた」と改めて気づくことが多いからだ。 読んだときに、自分の状況に合わせて解釈した内容は、時間ともに状況とともに昇華されてしまう。 そして、また同じことを場を違う形で読むことによって、新しい道しるべを与えてくれるように感じる。アドラー全集を一冊ずつ読んでいくことも、それはそれでいいが、その中からキーワードをまとめてくれた今回の本を読むと、全集の一冊一冊をぱらぱらと読み返したような気持になる。全集の翻訳者が書いた本であるからまた読みやすい。 自分の子育てを振り返るきっかけになるだけではなく、自分自身の人生に責任を持つことが必要とされる。自分がどう育てられてきたかを言い訳にはできない。自分がどう生きていくかの問題だからである。そういうことを考えていくと、くじけそうになるが、多くのひとったちが同じように、人類のために生..

  • ドキュメント

    湊かなえの小説、そう少し前に読んだブロードキャストに続く物語。放送部が全国大会を目指して、行くわけだが、そのために選んだ題材は駅伝。陸上部を目指して入学した少年はケガで放送部を選んだのだが、その駅伝をテーマにドキュメントを作ろうとしたところから、話は違う展開に。ドローンを手に入れるためにではないが、ここでもマラソンが関係してきて話題盛りだくさんの物語だ。そして、そんなドローンが、捉えた映像が問題となり、陸上部も一悶着。さて、全国大会は?と、期待させておいて…そういう展開になるのねと、二転三転の青春ドラマだった。 先輩が抜けてこの三人はこのあとどうなっていくのかなぁ? そんなことが、気になるところでクライマックス。こりゃ、このシリーズは続くのか?と期待しながら本を閉じた。 ブロードキャスト (角川文庫) [ 湊 かなえ ]ショップ: 楽天ブックス価格: 726 円 ..

  • 千里眼の復活

    いつだろうか、松岡圭祐の千里眼シリーズを知り合いに薦めたことがある。何を読もうか迷っているなら読んでみると面白いと思う…。とでも言ったのだろうか。当の本人は忘れていた。 ところが、ある時、「薦めてもらった千里眼に新しいのが出たんです」という言葉をかけられた。 こうやって本がつなぐ関係があるのかと嬉しく思った。そして、「買ったから貸しますよ」とこれまた嬉しい言葉をいただく。 他の本を読んでいながら並行して開いた千里眼。 前作のほとんどのストーリは忘れていたものの、読むうちになんとなくおぼろげに思い出す。そして、しっかりストーリーにのめり込んでいく。 前シリーズの内容は、表情から心理を見透かすというもので、いろいろな事件を解決していく。その、心理と表情についての解説が詳しく書かれているところに、現実の世界を重ね合わせてこんなことができるのかと、表情と心理にかんする本を何冊か読んだのを..

  • ブロードキャスト

    久しぶりに自分で購入した小説。最近は図書館で借りることの方が多い。 湊かなえの小説を読むときは、今回はどんな展開でハラハラさせられるのだろうかと思いながらページをめくるのが楽しみである。 で、「放送部」の話(笑)。なんともモヤモヤする青春ドラマだ。 陸上をやるために有名校に進学したが合格発表の帰りに事故にあい、陸上を断念した少年が、放送部と出会うが、まさに「放送部か」というスタートからである。 陸上の駅伝と、放送部と、その活動に共通するものはある。怪我が治った時に、どんな選択をするのかを考えながら、読み進めることができた。 湊かなえらしさは、物語の構成にある。最後にそのシーンが来るのねという、そんな展開にドラマが一つにまとまる。 こういう青春も悪くはないのだろうと、運動ばかりしてきた自分の価値観に一石を投じる。 解説を読むと、「うんうん」と思う。そして続編の存在を知って、また..

  • 52ヘルツのクジラたち

    本屋大賞2021の話題の小説。 52ヘルツのクジラの鳴き声は、海の中では仲間に届かないそうだ。僕には聞こえない声で助けてと叫ぶ声があるのだろうか。僕の声は人にちゃんと届いているのだろうか。 いろいろなつらい過去をもつ人たちが、そんなつらさを声にならない声で共鳴しあう。ああ、こんなに切ないことはあるのだろうか。誰かが受け止めてくれたときはすでに遅かったり、他の誰かを傷つけていたり…。 虐待を受けた二人の物語が重なり合っていくが、その声を聞くことができる力も、同じ境遇からなのか。 読んでいて、自分ならどうするのか、自分なら聞こえるのかと、そして、こんな不幸なことが実際にも起こっているのだろうと思いながら読み進めた。 さすが、本屋大賞に選ばれただけある。 52ヘルツのクジラたち (単行本) [ 町田 そのこ ]ショップ: 楽天ブックス価格: 1,760 円 52ヘル..

  • 悪魔とプリン嬢

    パウロ・コエーリョの小説。 日本語に訳すときに表現が難しくなるのか。もともと難しく書いているのか…。なんとも読みづらい小説だった。 金がなければ起こらない問題を、自分のものではない金を自分たちのものにするために、一人の命を差し出すことに葛藤する町。人の欲は自制心を超えるのか。悪魔の囁きか天使の囁きか、普段の生活のなかでも起こりうる葛藤をひとつの物語として表現している。 正しさや正義、それまでの倫理を、脅かし、そして欲に負けない正しさを求める教訓めいたパウロ・コエーリョらしい物語だった。 悪魔とプリン嬢 (角川文庫) [ パウロ・コエーリョ ]ショップ: 楽天ブックス価格: 572 円 悪魔とプリン嬢 (角川文庫)出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2014/11/10メディア: Kindle版

  • 脳のなかの倫理

    認知神経科学の第一人者マイケル・S・ガザニガの本である。私たちは脳がその判断をし行動するが、実際に脳のどの部分がどのように働くのか。そして、科学と倫理と宗教の中で、私たちの責任や道徳はどのようにとらえられているのか。 ながーーーい時間をかけて読んだ本なので、詳細の内容を覚えていない。 それでもなんとか最後まで読み切ったという本である。 脳を薬で鍛えることは、ある時は治療であり、ある時は倫理的にどうとらえられるのか。 IPS細胞で治療するのと、クローンをつくるのとはどこに違いがあり、どのように倫理とバランスをとるのか。 記憶は、本当に正しいのか?何のために記憶するのか。忘れたことが私たちにどのような影響を及ぼすのか。 道徳的な信念は人類共通なのか?どのように判断されるのか。 一見興味深いが、その一つ一つを脳科学やニューロンの話として聞くと、思考停止になってしまう自分がいた。..

  • モダン

    読書日和が続く今日この頃。 こんな季節は芝に寝転がって読書を楽しみたいものであるが、年度の変わり目はそうも言っていられない。 原田マハの薄い文庫を手に取った。 短編集である。キュレーターとしての経験を活かした作品である。 リアルな部分が豊富なゆえに、なんとも小説らしからぬところを感じてしまうくらいだ。 個人的には、もっと物語らしい物語を求めてしまう。 ニューヨーク近代美術館(MOMA)をその舞台に繰り広げられる物語は、原田マハらしく史実と空想を織り交ぜたものだった。 私も学生時代に、ニューヨークに行ったことがある。その時にMOMAに訪れたが、その大きさに驚く一方、美術品の価値や感動がわからずに、足早に歩いて、結果的には行ったという記憶しかない。 今の自分が行ったら違うのか?それとも同じなのか…。どうもそんなことを考えながら読んだ一冊だった。 モダン (文春文庫) ..

  • カフーを待ちわびて

    なんだろうか...読み終わった後に残るこの切ないような気持ちは。旅の道連れに選んだ小説。長い電車の中で読みながら旅をした。 今回の小説は沖縄の与那喜島を舞台にした、モジモジ男の恋の物語だった。不思議な女性、幸はなんともべっぴんさんで、そんなアンバランスな二人が恋をしながら、親友の戯言に振り回されていく物語。 カフーと言うのは犬の名前であるが、沖縄では幸せのことをカフーと言うのだそうだ。そして、幸せと幸を絡ませてのカフーを待ちわびてなのだと思う。 あぁこんなピュアな恋があるのかなと思う一方で、コロナ渦でよんだことで、変にリゾート計画を斜めに読んでしまう自分がいる。やっぱり小説は読んだときの自分や社会的状況を踏まえて読んでしまうから面白い。 そして、原田マハの最初の小説なのだと。こんな物語がふと思い浮かんでしまう彼女もさすがだと思う。 久しぶりに退屈することなくページをめくるのが楽し..

  • 風の中のマリア

    小説読みたくて手にとった本。百田尚樹も何冊か読んだけど、新しいテイストの物語だった。やっぱり面白い。スズメバチの生態を擬人化しながら書いた物語。最初は人間の恋物語くらいを想像しながら手に取ったから、拍子抜けして、ハチの物語なら読むのをやめようかしらなんて思ったのに、リアルでありながら、ちゃんと物語だからすごく引き込まれてしまった。 そして、数日で読みきってしまった。ハチの生態をこうやって知るととても興味深い。本能のまま、種の保存のためにその時々に違う行動をして、何代にもわたって今も生き続けるわけだから、そこが物語になってしかるべきである。 なんかとっても愛着のわく存在になったスズメバチだが、やっぱり実際には会いたくないものだ。(笑) 風の中のマリア (講談社文庫) [ 百田 尚樹 ]ショップ: 楽天ブックス価格: 748 円 風の中のマリア (講談社文庫)作者: 百..

  • 私が語り伝えたかったこと

    図書館でなぜか手に取った本。なんでだろう...。その時に意味はないようで、きっと意識しない意味が自分にはあったのだろう。 臨床心理学を日本のなかに浸透させ、心理学を治療として体系化してきた大きな偉人である。河合隼雄と言う名前は聞いたことがあったし少なからず興味があったが、これまでに何度もその前にいて、今はじめて手に取った。 こういうことが往々にしてあるから、読書はおもしろい。 そして、そこになぜだろうと考えさせるのも心理の面白さなのかもしれない。河合隼雄の対談や著作をいくつかまとめた本だった。時には語り口調で、別の場面は固い言葉で、家庭を子育てを、宗教を、文化を、国を個人を...。どれも同じ人からの発信である。心理とはまさにそういうものなのかもしれない。そのどれがひとつをつまんでこういう人だなんて理解しようとしちゃあうまくいかず、その人がなんでそう考えたんだろうと、一緒に考えながら寄..

  • あなたの人生、逆転させます

    岡田尊司という精神科医の新書は読みやすい。そんな彼が心理を題材にして小笠原慧というペンネームで小説を書いている。 精神疾患の症状やその治療について、物語として書かれていると理解しやすいし、想像をしやすい。 今回は新米の心理士がクリニックで仕事をしながら精神科医の先生からアドバイスを受けたり、他者の治療に自分を重ねたりという物語だ。 最初はとっても興味深く、実際の心理療法もこうやって行われるのかと思って読んでいたが、愛着についての話や性に関する話が出てくると、本当にそうやって決めた治療でいいのだろうかと疑問に思う。 物語なのでうまく転がるようになっているだろうし、その考えは確かにぴったりくなるなぁと思うのだが、心の奥底でなんか違うというかそんなに単純なものなのだろうかと思う。 しかし、この物語では病院でのことが書かれているだけで、実際の生活の中でどんな風に苦しんで改善していくのかと..

  • EdTech テクノロジーで教育が変わり、人類は「進化」する

    最近、流行りの本にスマホ脳という新書がある。 人類が生まれてから、この情報化社会の発展に、人体が進化の過程として適応できていないということが、前書きには書かれていた(読んでいる途中なので…汗)。 しかし、人間は道具を使うようになってから急激な進化を遂げているのは事実で、情報機器をどのように使うかは人の問題である。 スマホのような情報機器は、情緒や姿勢、時間の使い方によくないから、持たない方がいいという議論は、時すでに遅しである。ある意味、核兵器に素手で立ち向かうくらいのことで、実際にはそれがいいのかもしれないが、社会としては止められない事実だと思う。 何が言いたいかというと、どう使うかが大切なのだ。 教育の世界は本当に古い体質で、今なお一斉授業がしっかりできることが良い教育だと考える人が多い。そのしっかりできているの裏側に、ただ黙ってレールに乗っている生徒がいかに多いか。 昭和..

  • ギフト

    図書館を歩いていてふと気になる小説を見つけた。原田マハのギフトであった。きれいな本だなぁとおもった。借りてきたけれどしばらくは机の上に置いてあった。他に読んでいる本があったからだ。 そして、ようやく手に取った時に、短編集だと知った。なぜだかわからないけれど、自分の中では少しがっかりした気持ちだった。 本当に短い物語がいくつも入っている。そして、恋の物語が多い。ちょっとした時間に一つの物語を読むことができるが、自分の中ではさっぱりしすぎてあまり残らないというのが印象だ。原田マハのこれまでに読んだ本と違う印象。途中に多くの挿絵があり、一言でいうと春らしい印象。本を読むのが苦手という人にはちょうど良い本なのかもしれない。 爽やかな物語…読む時期が悪かったのかなぁ。一つ一つはとても気持ちよく読めるのだが、絵空事な感じがしてしまう。 今の自分には似合わない、別世界だったのかもしれない。 ..

  • あなたの本

    誉田哲也の短編集だ。 誉田哲也の小説をこれまでに読んだことがないと思っていたが、最後の解説を読むと、これまでに手に取ったことのある小説もある。 それにしてもこの短編集は一つのテーマにまとめられることができない。ひとつまとめるとすれば、「最後まで読んで、肩透かし」というような内容が多いかな。つまらないという意味ではない。どれも落ちのある短編集だ。 さて、本書の題名となった「あなたの本」最後にどんな落ちを見せてくれるのかと思えば、「そうきたか」というものであった。 全ての物語を読んで、最後の解説を読むと、こんなに納得できる解説はこれまでにあまりないと思うほどにすばらしい。 短い時間に少しずつには、とても良い本だった。 あなたの本 (中公文庫) [ 誉田哲也 ]ショップ: 楽天ブックス価格: 638 円 あなたの本 (中公文庫)作者: 誉田哲也出版社/メーカー:..

  • 教育AIが変える21世紀の学び

    途中から、AIシステムの説明や可能性の話題には正直、読んでいて眠くなるばかりで飛ばしてしまった。 結局、どうやって教えるかということでAIは多くの可能性を導き出してくれる。学習方法が変わっていくし、すでに変わってきている。一般的に利用されるような技術はAIとは呼ばれず、これからの可能性を秘めたものをAIと呼んでいるというのも、納得する。 ただ、大事なことは、何を教えるかということだ。技術の進歩によって教える内容は変わるのか…。変わるべきであるという意見が多いであろうが、なぜか現在は変わらっていない。昔からやっているからというのは本当に危険だし、すべてを古いからとやめてしまうのも危険だと思う。 技術をどう扱うのかと同じように、子どもたちにどんな知識やスキルを持ってほしいのか…。その議論が重要だと感じた。 きっと、本書の内容と同じようで、主題とはずれたところで斜め読みをした結論なの..

  • 禁じられた楽園

    新しい世界を求めて図書館で借りてきた小説である。 題名にひかれたのだと思う。 しかし、禁じられた楽園というタイトルはこの小説にふさわしいのだろうか。 そうだなぁ。スッキリするところのない...お化け屋敷の暗いところを歩いている気分。読み進めても、現実ばなれした、次のページを読み進めるのに戸惑う気持ち。まさに、お化け屋敷の暗い廊下を歩いているような。 作者がこれを求めていたのなら成功したといえる。しかし、それは禁じられた楽園なのだろうか。 僕はどんな物語を求めて、この小説を手にしたのかというところが問題となる。それは登場人物たちが一つの場所に集まっていく心境と似たものだろうか。こんなことを求めてないと思いながら先に進んでしまうのだ。 一つの言えるのは、ラストがあまりに急展開で、あっさりとしているのは、連載小説の事情なのか?と思うほど...。 だいたい、僕はホラーが苦手なんだ..

  • 個別最適化の教育

    納得しながら読めるものの、周りにある現状を考えながらだと、気持ちが重くなる本である。 教育に携わるひとのどれくらいの人がこれを理解できるのだろうか。 時代は変わろうとしている。その変化を止めることができない。 自分の過去の記憶を思い出す。高校時代に体育服が短パンからハーフパンツに変わった。自分のいる1年間は体育祭では短パンを履くことになるので、新たにわざわざ買うことはないとのことだった。そして、体育祭当日、短パンを履いていたのは私一人だった。教員の予想をはるかに超えたニーズは状況を一変させたのだ。 体育服くらいは、どうでもいい。 でも、教育方法や学校が変わるとすれば、笑い事では済まない。 ところが、学校という古き良き時代を生きた外の情報を学ぼうとしない教員は、こういうことが全く理解できずに、持続的なイノベーションを続けようとする。イノベーションしようとする気持ちがあるならばまだ..

  • ひび割れた日常

    人類学:奥野克巳、文学:吉村萬壱、美学:伊藤亜紗の3人がリレーでエッセーを書いたものがまとめられた本だった。題材はコロナによって、当たり前が当たり前ではなくった現在を「ひび割れた日常」とでも呼んだということだろうか。 ああ、と思った考えに。引き算の時間と足し算の時間がある。予定を立てられる未来を考えられる健康な人にとっては、未来の予定から引き算で生活をするが、病気などで明日どうなるかわからなければ、今日できることを足していく足し算で時間を考えるというものだ。コロナ渦の中で、まさにそんな足し算の生き方を大切にしたいと思った。 そして、ウィルスが問題となっている現在も人はやっぱり平等に一つにはなれない。そんな考えもよくわかる。 そして、プナンでのものに対する考え方。分け与えることが尊敬を集めることにつながる。そんな考えが広がればいいのだが…分け与える…簡単なようで、難しい。 ひ..

  • どもる体

    どもる体。どもる…吃音のことである。 吃音を持つ人たちのインタビューや吃音に対する対応やこれまでの治療法について難しくなくまとめられている。医学的というようりも臨床的な体験談の本である。 紹介されて手に取った本だが…個人的には文字面を追いかけるばかりの読書になってしまった。 あまり自分の中に残ったものはない。 しかし、吃音に対する当事者の考えの中で、吃音が恥ずかしいものとして、治そうという努力をしてきた。そして、言い換えやそれ以外の方法(この方法が人によって違うようである)によって、克服したときに吃音が治ったと評価されたそうださ。ところが、本人の中では治ってはいない。そして、どもらないという状態こそが、自分の自然な状態ではない強制された、のっとられたと表現されていただろうか、状況だというのだ。 他者からの評価ではなく、自分自身の自然な状態について考えた時に、どもることを受け入れな..

  • 最後の医者は桜を見上げて君を思う

    人の生き死にに関する物語。医療を題材にした内容であった。 医大時代の同級生である3人の医者が何人かの患者の死に関わる。 その関わる患者により、医者は悩み考え揺れる。 そして、どの話も努力むなしく患者は死んでいく。死期を伸ばすために行われる辛く苦しい治療は必要なのか。それよりも死を迎え入れて、自分の生き方であり死に方を考えるのか。 医者によって考え方が違う。どの医者も意見としては真っ当であるのに、方向性の違いからぎくしゃくする関係。そして、一人の患者の死が、新しい物語をつくる。 さて、手術が成功して助かるなんておめでたい物語はない。でも、実際の医療でもきっとそうなんだと思う。助けてほしいと願っても、万に一の可能性にかけても、叶う保証はない。一つ目のハードルを越えれば二つ目のハードルがある。100%ではない治療には必ずうまくいかなかった人が存在する。 考えると怖い話だと思う..

  • さすらい猫ノアの伝説

    重松清の小説には子どもに読ませたい物語と読ませたくない物語がある。時々、妙に性に執着するものがあるが、今回のは小学生に読ませたいと思う本だ。 クラスの忘れ物を知らせるためにやってくるクロネコ。決して荷物を届けにくる宅配便ではない。 最初のメッセージこそ前の学校からのメモであるが、その後は猫が何を言おうとしながら、それぞれが考えるのである。毎日の中でふと立ち止まって考える時間を与えてくれる。もしかすると自分自身にもそういう時間が必要なのかもしれない。立ち止まると見える違う景色があるのかもしれないと感じさせる。そして、子どもが言葉にせずに発する心の声が妙に自分の声と重なる。こういうのが重松だよなぁと思う。 この物語は子ども向けの別のシリーズで納められているものを、セットにして文庫化されたものだ。一つは担任の交代から荒れゆく子どもたちを救ってくれる。そしてもう一つは転校生のほとんどこない田..

  • 傍聞き

    傍聞きと書いてかたえぎきの読むそうな。長岡弘樹の短編集。グッと引き込まれてページをめくる手が止まらなくなるが、短編のお陰でキリのよいとこまで読める。 警察、消防、救急などを題材にした短編が4つ。ドキッとしながら読み進めれるし、推理しながら考えて読める。 なかなか面白い小説だった。キムタクの教場をドラマで 見て手に取った。 傍聞き (双葉文庫) [ 長岡弘樹 ]ショップ: 楽天ブックス価格: 576 円 傍聞き (双葉文庫)作者: 長岡 弘樹出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2011/09/15メディア: 文庫

  • 新医学をまじめに考える方法

    読み終えるまでに何ヵ月かけたのだろうか…。 もう、最初の内容は思い出せない。 物事を見るためには批判的な思考が大切である。 その批判的思考は、これあmで日本ではあまり教えられてこなかった。 批判的というと、文句をいうというか、否定するというように捉えがちであるが、そうではない。自分の意見や客観性をもって、改めて考えなおすことで、否定することではない。そういうトレーニングを積んでこないと、本書の中にある、統計的にはほとんど起こらないが、身近で起こったことが、自分の判断を狂わせることがたくさんある。 統計には個別の名前はない。集団に対しての確立である。ところが、自分の身の回りであればここに名前が入る。だから、現実的に感じてしまうのだが、個人は未確定な個人であり、集団となった時に初めて統計的な考えが意味を持つ。 心理学は、大きなカテゴリーの中で、語られてきたが、多くの場面で検証された..

  • ルビィ

    久しぶりに感じる重松作品を読んだ後のこの感覚。 どう文字に表現すればいいのか、冷たいような生ぬるいようなそういう自分でもどっちとも捉えれる感覚。こういうのを文字で表現できるようになると小説家にもなれたりすのかなぁ?とも思ってみたり。 重松清は本当にこういう体験をしたのだろうか?いや、してないと思う。 どこかで自分と重ねながら小説を書いていくのがうまいんだろうなぁ。だから、空想の世界であっても物語の中に共感できる部分がたくさんある。事件を解決するわけではないし、感動的なことがあるわけでもない。でも、もっとリアルに人間の汚いところの中にある葛藤や、人には話せないような思いの中にある苦しさをしっかりと文字にしてくれる。 自殺を考える小説家と、自殺をしてしまった少女が繰り広げる物語。最後はハッピーエンド?にはなりきらない物語。あぁ、重松作品だなぁ。 命の大切さを考えさせて、でもそこにある..

  • JR上野駅公園口

    2020年の全米図書賞というアメリカを代表する賞の翻訳部門にて日本の小説が選ばれたということを聞いた。さて、どんな本なのか。もちろん私は英語に翻訳された本は読めないので原書であるこの小説を手に取ったのだ。 読んでいて思うことは、どこで場面が変わったのかがわかりにくい。場面の変化の多くの場合は、語り口調が変わったことで、時代も場所も変わっていく。おかげで中々内容が頭に入ってこないだけではなく、英訳されると、日本語のこの方言をどのように訳すのだろうと、別のことが気になるくらい。かといって、英訳された本に手を出すことはない。 さて、戦後に福島で生活し、出稼ぎ労働者として東京へ来た主人公の、その人生とは何だったのか。長男は31歳のこれからと言うときに、突然死をし、定年を迎えて老後を過ごそうとしたところで、妻に先立たれ、孫に迷惑をかけまいと、東京に改めて単身出てきたうえで、ホームレス。そ..

  • マスカレード・イブ

    マスカレードシリーズの三冊を買って、最後の一冊。そして物語としては最初の一冊。 半分ほど読んで、どこかで聞いたことがある?読んだかしら?と思いながらも内容は全く覚えていない。 でも、なんとなく読んだかしら?と思い、このブログを調べてみると、なんと5年ほど前に読んだらしい。あれから断捨離でかなりの本を処分したから、手元にはなかったが同じ本をどうやら二冊購入したようだ。 内容は全く覚えてないから最後まで読むことができた。いくつかの事件が集まった短編集のようで、マスカレードシリーズの刑事とホテルマンがちゃんと登場する。そして、エピローグをよんで、次の小説を思い出す。 これから読み始めたら全てが繋がっていくわけか。さすが東野圭吾でした。 面白かった。 で、5年前はなんと感想を書いたのか、ちょっと読んでみよう。(笑) マスカレード・イブ (集英社文庫) [ 東野圭吾 ]ショ..

  • 翼をください

    空を飛ぶというのは誰もが一度は憧れるものです。 そんな気持ちを改めて感じさせられる小説である。第二次世界大戦の始まる少し前に世界ではじめて世界一周をした飛行機ニッポン号。原田マハの小説は史実のなかにヒューマンドラマを重ねるので、事実と物語の境目がわからなくなる。それが読んでいてとても楽しい。今回も実際に存在した飛行機と世界一周の話が、事実以上に面白い物語でグッと読者をひきつける。 国境のない空をとぶ飛行機が平和の象徴、ワンワールドを感じる乗り物でありながら、第二次世界大戦では無差別に攻撃する武器となってしまう。そんな飛行機が親善目的で果たした世界一周も時代の波にもまれ、技術としても世界を牽引するはずだった日本は大戦後、飛行機の国内製造を禁止された。そして、いまなお国産機はない。小説が書かれた頃には日本初の国産ジェットとしてMRJが注目を浴び、一気に航空業界へ羽ばたくと思われたが、202..

  • マスカレード・ナイト

    東野圭吾のマスカレードシリーズ。ホテルに続いてのナイト。個人的にはホテルよりもかなり面白かった。というのも、ホテルを読んでるから人間模様がすでに頭にあるし、登場人物に勝手な広がりがあったのかもしれない。今回も事件が起きる前の伏線があり得ないことばかりだが手が込んでいる。事件はあっという間で、その後の謎解きがもったいぶりながら一ページずつめくらせていくのは東野圭吾らしい。全く関係のない2つの物語が入り交じるからややこしいが、物語の深みを増しているように感じた。 ホテルで年越しに行われる仮装パーティー。お客様は仮装パーティーではなくても、ホテルの中ではいろいろな仮面をかぶっている。そんな仮面を覗いても明らかにしないホテルマンと、刑事との絡み合いがとても面白い。ありえない結末でも、読めてしまうのが東野作品。そして、最後は新田刑事と尚美との恋?と思わせながらの平行線。寝れない夜を何日もおくらせて..

  • マスカレード・ホテル

    久しぶりです東野圭吾。 やっぱり面白い。 ホテルマンの専門性と警察の専門性。このふたつがとても上手に絡み合う。 そして、小説の本題の事件の伏線を入れるのがうまいなぁ。 そこにつながるのかという驚き。 なんとも、してやられたという感じでした。 ページ数が少なくなってくると、え、これで解決まで行けるのかと心配になりながら一気に読めてしまう。 そして、そういう風に展開していくのかという爽快感。 最後は、恋の始まりか?と思わせるところも素晴らしい。 さて、次もこのシリーズを読み進めましょう。 マスカレード・ナイト [ 東野 圭吾 ]ショップ: 楽天ブックス価格: 1,815 円 マスカレード・ナイト (集英社文庫)作者: 東野 圭吾出版社/メーカー: 集英社発売日: 2020/09/18メディア: 文庫

  • EdTechが変える教育の未来

    Education×Technologyこの二つのキーワードが並ぶ。 テクノロジーのための教育ならば、教える内容は躍進的に変化してきているし、大きな問題は起こらないであろう。 ところが、ここでは教育にテクノロジーを取り入れるという内容である。これが、一見簡単そうに見えて難しい。教師とは学校教育の中での成功体験の多いものたちの集まりである。そういったものにとって一斉授業ではない授業やIT機器を利用した個別の学びと言うのは、ある意味、冒険なのだ。 しかし、世界はICTを利用した個別の学び、個人に応じた学ぶ環境が日進月歩で進化している。日本はこれまで学校教育によって全国民に同一の内容を均一に指導するということに成功しここまでの成長を遂げてきた。ところが、これが現在の大きな足かせとなる。行政主導で動きづらいだけではなく、教員のなかにある授業像に問題がある。 さらに、学校教育を受ける子どもた..

  • 教育とは - イギリスの学校からまなぶ

    イギリスの教育では生徒指導と言う言葉の代わりに羊飼いが羊を導くという意味のパストラルケアという方法で行われるらしい…。 そんなことを調べながら、そもそもイギリスの教育とは?と考えて、図書館に向かう。 イギリスの教育と日本の教育を比較しながら、著者と著者の息子の経験から書かれた本書はイギリスの教育の複雑さや、日本の教育との様々な違いを浮き彫りにしてくれる。特に「クリティカルシンキング」について行われる授業の説明はとても分かりやすい。ヨーロッパではクリティカルシンキングと言う科目があるといわれても、批判的思考と訳してみれば、何のことだかわからない。具体的な授業内容を読むと、そうか物事を論理的に考えて伝えるとはそういうことかとわかる。また、教育に関するそれぞれの国の背景や問題点も違うことから、同様な方法をとることが難しいこともよくわかる。そう考えていくと日本に居て多くの国の教育について知るこ..

  • 半沢直樹シリーズ

    ドラマを見終えて、知り合いに単行本をもらった。4冊の本である。ドラマは以前に流行ったものは見ていなかった。今年放映されたものを見た。面白かった。そして原作を手にしたわけだ。最初の二冊。以前に放映されたドラマの原作は一気に読むことができた。先が気になるから。しかし、後半二冊はドラマで見ただけに進みが遅い。しかも、出演者のイメージがドラマそのものになってしまう。しかし、ドラマは原作をかなり誇張し、ストーリーを付け足して作られていたので、小説を読みがらその違いを探すのが楽しかった。さらに、社会の摂理というか、易きにながれようとするのを戒めるドキっとする一言が自分自身に刺さるのだ。正しすぎるのも辛いし、清濁合わせ飲む頭取の雰囲気がすごく心地よい。長い期間をかけてチビチビ読んできたので、内容もだいぶ忘れたし、まとまりのない書評になってしまった。 半沢直樹 1 オレたちバブル入行組 (講談社..

  • 東大なんか入らなきゃよかった

    もちろん私の事ではない(笑)。読書の記録である。 「東大」とあるだけで、ふと目を止める人も多いのではないだろうか。 私もその一人だった。そういう人は学歴にコンプレックスがあるのだと思う。 そんなわけでじゃあ東大生がどれほどのものなんだという思いでこの本を手に取った。 ところがである…東大生はやっぱり優秀なのだ。与えられた課題をこなすということでいえば…。東大卒でありながら、こんな人生を送っている…東大卒と言うことに逆にコンプレックスがある…などというが、それはどの大学であれ、どんな社会であれ、大なり小なり同じことが起き、同じように悩んでいる人は多い。 だが「東大なんか…」と書かれれるから、本になり、買う人がいるんだろう。 読みながら、東大のせいにしてちゃだめだろう、と思うことがたくさんあるのだ。だから、一番感じるのは、「東大」いうキーワードに反応して、この本を手に取ってしま..

  • こころと身体の心理学

    岩波ジュニア新書の本なだけに、心理学の知識がなくとも、普段の生活で身時間に感じる現象や行動を心理学的にかみ砕いて説明しながら、心と身体の繋がりを説明するものであった。 基礎的な内容と、著者の山口さんの抱えた病気や体験をスタートするところから、一般的な心理学の知識やこれまでの研究などが紹介されているので、これから心理学を学ぼうとする人にとっては有意義な本だと感じた。

  • ならずもの

    私がインターネットを利用し始めたとき、その検索サイトといえばyahooだった。 確かに、今はキーワード検索が主になっていたが、昔は多くのカテゴリーの中から、自分の興味のあるものを選択していき、ホームページにたどり着くという方法だったなぁと、この本を読みながら思いだした。 このパソコンが世に普及し始めたのは1980年ごろから、そして1995年のWindows95によって爆発的に世に広まった。ピ-ヒョロロロという電話回線の音が懐かしい。 インターネットと発展と、自分の過去と今をつなぎ合わせてみると、本当に社会を一変させてしまったと思う。 そして、その牽引役だったのが、yahooであり、創業社長がこの本で書かれている井上雅博である。 一般的な家庭に生まれ、ちょっとした出会いが人生を変え、雇われ社長でありながらも時代の中で新しいものを生み出したことで、莫大な資産を築き上げた。そして、ya..

  • 未来の学校のつくりかた

    著者はバングラディッシュで教育活動をしてきた若者。 彼自身のきっかけはともかく取り組みもとても興味があるが、バングラディッシュの教育を考える中で日本はどうなっているのか?を考えた時がスタートライン。 日本の教育分野の公教育、私学教育、教育支援団体、などいろいろな分野の教育で新しい取り組みを始めた人たちをインタビューしてできた本だ。 どの人にも思うことには「志」があるということ。そして、それに向かって前向きに進んでいるということだ。震災後であっても、何年も困難を抱えてきていたとしても、そして、自分以外には何もない状態であっても、前向きさと志してそれぞれの教育を体系化してきている。 そのためにはやはり仲間づくりが大切だ。志を共有する仲間が居てこそ、志が形になっていく。人たらしなのかもしれない。 こういう教育がどこでも当たり前になってほしいと思う。 学力というものを5教科という小さな..

  • 破局

    芥川賞作品である。 どうしてこうやって性的なことを物語に混ぜるのだろうか…そう思いながらも一気に読み進めてしまった。 そういう気持ちがどこかにあることはよくわかる(と言うと語弊があるだろうか)。ただ、大学生が破局と言うよりも、冷静さを欠いて破滅していくストーリーである。 ラグビー部だった大学生が、一人の女性に偶然出会い、そして、元カノと別れて幸せな生活を送ることになるのだが・・・・。 なんだか、そうなるのか。という感想が何度も出てくる物語だった。 若い作家の書いた物語なんだろうなぁと思いながら読み進めた。 破局 [ 遠野 遥 ]ショップ: 楽天ブックス価格: 1,540 円 破局作者: 遠野遥出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2020/07/04メディア: Kindle版

  • 夜と霧(新版)

    太平洋戦争からどれだけの時が流れただろう。 日本にも悲惨な状況はかなり語り継がれている。シベリアへ抑留された人たちもいる。 ナチスにより一つの人種を絶滅させようという大虐殺が行われた。 事実として文字で書いても、現実に起こったことだとは想像しがたい。 アウシュビッツにおいて、いつガス室に送られるのか、いつ餓死するのか…そういう恐怖の中で、それでも生きるということについて見方を変え、考え方を変えながら生き抜いた人達がいる。日々続く強制労働の中に、それでも希望を持つこと…希望を持ったとしても叶うことを夢見ることすら困難な状況で、悪夢を見ながらもだえ苦しむ人を起こして現実に引き戻すことの方が悲劇だと思わせる状況。 実際にその体験をしたユダヤ人精神家医師の自己と集団分析である。感情をできるだけ切り離し冷静に分析しようとする中に、その心の強さと感情を織り交ぜたときに分析などできようもないこ..

  • 学ぶ意欲の心理学

    一言でいえばモチベーションをどう高めどう維持するのかについての本ではあるが、その方法が基礎研究の説明と、話題の研究者との対談を中心とした本であった。 一つの事柄を研究によって証明することができるが、果たしてそれが本当にその要因によっておこるのか…。これは特に心理学という世界ではかなり怪しいことがわかる。いや、心理学はまだ学問として研究されるが、教育の領域である教育心理学となると、そもそも良いこと、目指されることというものがあって、それに向かって研究がなされる。その目指されるものがなぜ良いのかということや、一つや二つの要因によって効果があったのかということは計り知れない。それでも基礎心理学としては学校教育に大きく貢献しているのが教育心理学なのだという。 一つのものを多方面から見る人がいて、学術的に論ずるというよりも、実践として家庭や学校に受け入れられやすいように論じられることで一般化され..

  • 失敗の科学

    多くの専門家は、その専門的な知識を用いて私たちを有益な方法へ導く。そう思っていたが…。権威や地位にこだわる人は自分の地位を守るために、失敗をむしろ隠ぺいする方向への力が働く。 何か事故が起これば誰か一人の責任者を見つけてきて、その人の責任を問うことですべてが解決してしまう。 私の周りでも実際に起こっていることばかりである。 ミスを許さない環境では、ミスは隠される。 ミスを学びの機会と考える環境であれば、多くのミスが小さなうちに解決されていく。 私たちはすべてを自身の失敗から学ぶには人生が短すぎる。だから、多くの人の失敗を学習の機会として学ばせていただく。特に学校というところはそういう場所なんだと思う。ところが多くの学校では、失敗を笑い厳しく指導し、脅す。その環境で育てば、将来も社会はそういう場所だと考える。 開かれた社会、失敗に寛容な社会をつくることで、多くのことが学び..

  • 夜間中学へようこそ

    ノンフィクションかなぁと思って、図書館で手にした本。 小説でした。でも、ノンフィクションだったらもっとよかったなぁと思わせる本でした。 どこかでこういう物語が起こっているのだと信じたい。 中学へ入学する女の子のお祖母ちゃんが夜間中学に通うと言い出したってところから始まる物語。 小説なんだけど、学ぶってこういうことだよなぁ。いつまでも学ぶってことが生きがいになるんだよなぁって考えさせられる小説だった。 学校に通うことは義務ではない。私たちが学ぶことは権利であって義務ではない。 大人には子供を学校に通わせる義務があるだけだ。 学ぶことは義務ではない。学ぶことは喜びなんだと思う。 そういうことが中学校の頃からわかるような学校にならなきゃいかんと思う。 どうして、学ぶことが義務だと、いやいやでも学ぶんだとなってしまったのだろうか…。 いろいろ考えさせられる物語。確かに、起こる事..

  • 過去と和解するための哲学

    題名を見て、手に取った本である。 一日で一気に読み終えた。そして、私が自身の過去とどう向き合うべきかを考えるためにこれまでに多くの同様の本を手に取った。そう、アドラー心理学もその種の本である。 ただ、今回は哲学である。心理学と哲学は似たような領域を行き来するが、その語り方は違うように素人ながら感じる。 この本は「哲学」とあるだけに、一つのキーワードをもとに難しく展開する。そのキーワードはハビトゥス(心の習慣)であった。ネットで調べてみると、行為によって獲得された習慣ともある。 読むにつれて思うことは、つらい過去を持つもの(すべての人が過去を持ち、それをどうとらえているかの違いなのだと思うが)にとって、その状態、その感覚、その憎悪、その苦しみ…よくわかると感じる部分がかなりある。ところが、これを解決する方法は、「和解せよ」となる。 結局は、自分で向き合って未来志向で過去を捉えなおす..

  • 心理学の名著30

    こういった本はあまり手に取ることはなかった。 夏の読書などのような、例えば角川文庫や本屋さんにある本の紹介用の冊子には手を伸ばすことはあっても、専門書の名著を紹介するような本は、それを読んで理解したつもりになるのが情けないと思ったからか、興味のある本にはいつの間にかたどり着くと考えていたのか・・。無料配布されていれば手に取るが、お金を払って読む本ではないと思っていたのか(とはいっても図書館で借りてきたのだが…。) 今回は、著者(サトウタツヤ)に興味があった。人間心理学とはどんなものかと思い著書を調べたところ、この本が出てきたのだ。そして、この本がとっても面白く学びになった。 紹介された本の中で読んだり、見かけたりした本は何冊かある。あの厚みのある本をこれだけの文章で、しかも、サトウタツヤらしく紹介するのだ。って、サトウタツヤという人物にあったことがあるわけでもなければ、この著書しか読..

  • 生きてるかい?

    題名が気になって手に取る。お医者様で作家のエッセイ集だった。そして題名については、最初のエッセイで解説があった。他の女医さんから聞いた往診談から頂いたようである。浅間山や登山と自身のうつ病の経験から書かれた内容が多かった。普段の生活の本の一部を切り取ったようなそんなエッセイ。それにしても、南木佳士という作家の本を一冊も読んだことがないのは申し訳なくもある。芥川賞も受賞し、NHK番組の「ようこそ、先輩」にも出演された著名な方のようだ。作家にしろ、書かれた内容にしろ、まだまだ、知らぬことが多いことを自覚する。なんとなく読み進められる、そんなそんな内容の、お医者様のエッセイ集だった。「生きてるかい?」はどこへ…。 生きてるかい? (文春文庫) [ 南木 佳士 ]ショップ: 楽天ブックス価格: 594 円 生きてるかい? (文春文庫)作者: 南木 佳士出版社/メーカー: 文藝春..

  • いちご同盟

    どんな青春ドラマが始まるかなぁと思いながら読み始めた。野球を題材にしたものかと思ったがどうもそうではない。同級生が重い病と闘う中で、寄り添うもののストーリーである。 中学三年の彼らは進路や自分の内面、そして生死に向き合いながら進む。母がやっていることから始めて続けていたピアノに違和感を持ちながら向き合い、ある時にピタッと母が言うことが理解できる。そこに成長がみられる。成長とは何か...との経験がどの思いがそうさせたのだろうか。 多くのことと広く浅く向き合わせる物語だった。でも、読んでいる自分はその都度、深く考えてしまう。 中学三年の複雑な心模様と大人のたちの姿が見え始める時期ちつでもある。

  • 友罪

    薬丸岳の書く小説を初めて読んだ。 重い…。たまたま出会った友人が元殺人犯だったら…。 この小説の趣旨は、最初は知らなかった過去を知ってしまったことで、友人という関係が変わっていくことを題材にしている。 ただ、それだけではない。 登場人物の何人もが過去の自分を後悔し向き合っているのだ。 時に、その元犯罪者に励まされたり、罪状の大小に悩んだり、罪ではない好奇の目にさらされて、えぐられてる女性も登場する。 読めば読むほど重い。 故意に起こした殺人と、偶発的な事故による事故死と、その違いは何だろうか。 罪を償った人と、過去を捨てたい人との間にあるものは何だろうか。 答えがない。 物語の途中に出てくる、「親子関係の中で生まなければ犯罪者の親になることはない。」という趣旨の言葉に親の責任と家族とは何かを考えさせられる。 どの十字架も背負いたくない。 しかし、背負う可能性もあ..

  • フードバンクという挑戦

    知り合いが、南アフリカのボランティア活動に参加したいと言っていた。世界を変えたいのだと。そんな時に図書館で出会った本である。読みながら愕然とした。フードバンクという組織事態をこれまで知らなかった。そして、アメリカの話ではなく日本国内にも飢えに苦しむ人がいて、フードバンクという組織が存在し活動する。しかも、活動を引っ張ったのは日本人ではない。日本にはボランティアというものに馴染みや基本的な考え方に欧米との違いがある。だから、浸透していかない部分が多分にあるのだ。この文化的な問題がこれからのグローバルな社会では問題となるだろう。 なんだか、社会貢献についてもっと真剣に考える必要があると感じる。 フードバンクという挑戦 貧困と飽食のあいだで (岩波現代文庫) [ 大原悦子 ]ショップ: 楽天ブックス価格: 1,100 円 フードバンクという挑戦――貧困と飽食のあいだで ..

  • いちいち不機嫌にならない生き方

    いちいち不機嫌になる生き方を実践しているのかなぁと自分が嫌になった時に、手に取った本。 自分の感情を良くも悪くも扱いづらく、周りにすぐに反応してしまう自分の感受性をどうにかしたいと思いながら…。 こうやって本を読んでみると、その時は落ち着いて、「そうだよなぁ」「そんなふうに考えればいいよなぁ」と思うものの、現実世界ではやはり自分の扱いに困るものです。 しかし、今どきのといえば失礼かもしれませんが、若い子たちを見ていると、私もいろいろなことを諦めれるようになったなぁと思います。若いころはもっと周りをコントロールしようとしていたのが、今は自分は自分と思えるようになり、そして、周囲に巻き込まれないように自分を保とうとするようになりました。 こうやって後何年ほど、心配を繰り返せば、それを笑って考えられるようになるのか。 自分自身の持つ責任と自分自身の中にある怠け心と、今の自分への不満と、..

  • 物語のおわり

    湊かなえの小説。 ある人に薦められて読み始める。 「あっ、読んだことある。ハムさんだ」 そう思いながら、内容を思い出せない…。そうして最後まで読み切った。 湊かなえらしい物語だなぁ。この後、どうなるのかなぁ。そんなことばかりを思う。 一つの物語の終わりは、新しい物語の始まりである。そして、物語がバトンのように渡されて、最終的には元の所へ戻ってくる。 いろいろな人の物語があるから、自分の中に物語ができるんだろうなぁ。こちらはその物語の行く末を知っているが、最初にバトンとして渡した萌は知らない。そう考えると、自分の周りにいる人たちの物語について私も知らない…。でも、私の物語は終わらない…。 物語のおわり (文庫) [ 湊かなえ ]ショップ: 楽天ブックス価格: 704 円 物語のおわり (朝日文庫)作者: 湊 かなえ出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 20..

  • ラストレター

    好きだった人が亡くなるところから始まる物語。 最初にハッピーエンドはありませんといわれてスタートしているように感じる。 学生時代の恋人、それも別の男性との人生を選んだ女性を、求め続けながら小説家になり、その女性を追いかけ続けて、小説は売れず…。 そんな小説家の恋の物語。 恋物語は読んでいて、読む側にもいろいろな感情が生まれる。 それでも、その相手はなくなってしまった。残された家族と、その妹を交えて、いくつかの話題が一つに集約されていく。 きれいにまとまったなぁというのが読み終わった感想である。 そして、恋人の残した遺書とは…。 ある人に勧められた本で、、ここまで読んだよと話しながら読み進めていく作業がとても楽しかった。最後はあっさりと完結。この続きは…というよりも、物語に登場する題材となった元の小説を読んでみたいと思いながら…。 ラストレター (文春文庫) [..

  • 13坪の本屋の奇跡

    「オシムの言葉」を書いたノンフィクション作家の作品である。ある人との会話の中で、本を進められたわけでもなく、あっちは知らないだろうが私は知っているというくらいで木村元彦というノンフィクション作家の話を聞いた。その時に僕の返答は「オシムの言葉」は確かわが家の本棚にある。ただ、内容は全く覚えていない。そういう話をした記憶はある。 さて、そんな作家が書いた本を図書館で借りた。あまり期待もせずに読み始めてみると、これが面白い。 大阪のサイズとしては小さな、志としては大きな本屋さんの取り組みや、生き様が書かれた本である。町の本屋さんが、とても理不尽なルールの中でそれでもその場所で咲き続けようとしているのだ。この本屋さんだけの話ではない、町の本屋さんはみんなそういう境遇の中で営業を続けている。チェーンをたくさん持つ大きな本屋ともルールは違う。よくやっているなぁ、この思いはすごいなぁ。これは司書の仕..

  • 世界史を変えた13の病

    新型コロナという言葉を、いやというほど聞く。 知らないことは恐ろしい。見えないことも怖い。恐怖が先行することで、集団ヒステリーのような状態が起こる。不安の幅は人によって違う。それを揃えようとすれば、軋轢が生まれる。それでも、幸せなのは感染症という概念を持っているからだ。決して、何もないところに病気が生まれるわけではないことを知っている。感染症対策をすれば蔓延を防ぐことは可能であることも知っている。感染源のウィルスを特定もできている。それでも、世の中はこれほどのパニックになってしまう。 さて、今回の本はそういうことがわからない時代に何が起こったかを嫌味を交えながら伝えてくれる。今聞けば、そんなバカげた対応があるのか?隠ぺいして拡大させてどうするのか?医学的根拠がどこにあるのか?そう疑問を投げかけたくなることばかりだ。そういう時代のリーダが良かれと思って行ったことが、後々歴史として評価され..

  • その科学があなたを変える

    「笑えば幸せになる。」 精神的な影響を受けて行動が変わるのではなく、行動から影響を受けて気分が変わる。 なりたい自分になるためには「アズイフの法則(As ifの法則)」あたかもそうであるかのようにふるまえば実際に精神的にも変化する。 これまでの常識を破り捨てて、私たちは変わりたいと思った時に自分を変えようとせず、目の前の行動を変えればいい。そのことをいろいろな場面から科学実験のエビデンスを踏まえて説明してく本書はとても面白い。 恋人をつくるためには、自信をもつためには、性格を変えるには・・・。興味を引く項目が続くとともに、読んでいくとすでにいろいろなところで使われている。 営業の人が、まず自分の手で引き寄せて触ってみてくださいという一言が、こういった科学に裏付けさせているのかと思うと、思った以上に身近に感じる。 よし、ここから自分を変えるきっかけを作ってみよう。まずは姿勢か..

  • 告白の余白

    紹介されて読んでみました。 この物語…面白い。そして題の通り「余白」が果てしなくある。京都の歴史と地名や伝統文化を感じながら読み進めていくと、その京ことばの難しさと怖さがわかってくる。 きれいな言葉に見せた「回りくどい嫌味」は、額面通り取れば、誉め言葉であり、裏を読めば嫌味。そんな世の中で生きていくのは苦しそうだ。 こういうことは日本文化の中でも京都ほどではないにせよたくさんある。 そして、聞いた側がどうとらえるかによってその意味は全く変わる。そんな一言一言ひ余白がある言葉で繰り広げられていく物語は、何重にも意味を付け替えることができ、どこまでが本音でどこまでが嘘なのか、それともそもそも本音が含まれた部分があるのか…振り返って考える解釈はいく通りにもなる。 そもそものストーリが終わって、また混乱させるストーリーが現れる。読んでいて、「え?」もしかして結論はそうじゃないのか?と思わ..

  • 問いからはじめる教育学

    図書館にある本を手に取ってみた。 専門書のようで読みやすそう。 教育というものを多面的に見ながら、それでいてさすがは教育学の先生が書かれているだけあって、しっかりと制度や法律、歴史が紹介されている。 一つ一つの項目に対して学校の先生が、これを子供に分かりやすく教えるにはどんな風に伝えたらいいかなぁって考えながら書いてあるように感じた。 まぁ、教育って何?と思った時の入門書だ。そして、あまり難しいことを書かずに、さらに掘り下げたければこの本を読んでみようという流れだった。 読みながら「ハッ」と気づかされるところもあり、有意義な本だった。 問いからはじめる教育学 有斐閣ストゥディア / 勝野正章 【全集・双書】ショップ: HMV&BOOKS online 1号店価格: 1,980 円 問いからはじめる教育学 (有斐閣ストゥディア)出版社/メーカー: 有斐閣..

  • 不可能を可能にする大谷翔平120の思考

    申し訳ないが面白くない。どちらかというと写真集かしら?大谷翔平の言葉というよりも、かなり編集されている。しかも、編集してる人もかなり限られた場面を見ての言葉でしかない。こういう本は割と心が熱くなって一気に読む方だが、これは読んでても頭に入ってこないし眠くなる。 簡単に言えば大谷翔平が語ってきたことに密着して作られておらず、本を作るために、これまでの発言を探してきたような感じだ。がっかり。 不可能を可能にする大谷翔平120の思考 [ 大谷翔平 ]ショップ: 楽天ブックス価格: 1,078 円 不可能を可能にする 大谷翔平120の思考作者: 大谷 翔平出版社/メーカー: ぴあ発売日: 2017/02/23メディア: 単行本

  • 食堂かたつむり

    料理がテーマになった小説を探していて、出会ったのがこの小説である。 失恋からぬか漬け以外の全てと、声すらも失った倫子が主人公となる物語。料理がキーワードになりいろいろなエピソードを創り出していくが、最後は親子の絡まった糸をほどいていく。 おいしい料理が多くの人を幸せにする。その向こうには母親の思いがある。そして、そんな母親との確執を乗り越えるためにも料理が登場し、最後には倫子自身の課題も解決していく。 一つのエピソードをどうとらえるかはその人次第である。読みながら、そう考えるのかぁ、やっぱり物語だなぁなんて思いながらも登場人物の人となりを素直に受け入れて寄り添うのが小説を読む楽しさである。料理の持つ力と、食材や料理そのものの作り手の思いがこもった料理を味わうことの喜びを感じる小説であった。 なんか、切ないけどほんのり温かい小説だったなぁ。 食堂かたつむり (ポプラ文庫..

  • 脳を鍛えるには運動しかない

    アメリカのある学校で、毎朝、有酸素運動をさせたところ、体力の向上とともに学力も向上したという。人間は動くことによって学ぶ。それは狩猟時代に、私たちは運動することで食料を獲得し、そして食料を獲得するために学んだからだ。人間も動物だということだ。そして、今のように運動しなくとも食料が手に入るようになったのは、数世紀前からのことであり、人の中にある遺伝子はそんなに簡単に更新されない。学力を上げるために、体育の授業を減らして数学や理科、国語の授業を増やした実験では残念ながら学力試験の結果は上がらなかった。しかし、運動をすることで脳は刺激され学力が上がるという。 それは、学力に限らず、ストレスや注意欠陥障害、うつ病や認知症など、運動によって改善されるものがたくさんある。強度の高い有酸素運動を続けることが大切だが、強度でなくとも運動をすることが脳を刺激して発達させる。 こういう本を読むといよいよ健..

  • 豊田章男

    言わずと知れたトヨタ自動車社長である。 芸能人の名字を打てば名前まで変換予測されるのに、とよたあきおと打っても文字変換で章男がなかなか出てこないのが腹立たしいくらいな有名人だと思う。 トヨタの社長というだけではなく豊田章一郎の息子であり、豊田喜一郎の孫である。 世界のトヨタの社長は、これまでの社長像を常に壊しながら、自動車会社をどんどんバージョンアップさせるために改革を続けている。同じことを3年続けたら会社が潰れるという危機感を持ちながら、常にチャレンジ精神をもって、まずはやってみる精神がどのように生まれたのかを垣間見ることができる一冊だった。御曹司という立場は、周りから見れば恵まれているが、その本人にとってはどんな努力をしても御曹司の色眼鏡で見られるという、そして章男社長はそれを個性だと捉えなおして、突き進む。 いろいろな人とフランクに付き合い、真摯に向き合う。自分の感性を信じな..

  • 木曜日の子ども

    はぁぁぁ、ため息がでる。重松らしい小説。そういわれればそう。 話し言葉よりも、頭の中での回想が心に染みる。物事への見方が似ているからなのか、それとも、逆に思いもよらない見方をするからなのか。こういう言葉でも説明でもない、想いがつづられる重松小説は好きだ。しかし、今回は少し苦しかった。 木曜日の子ども、ある中学生が起こした教室の給食へ入れた毒物による無差別殺人が始まりである。そして、いじめられ傷つく少年の心にその事件が深くかかわってくる。「たまたま」の偶然が、その閑居を作り、ありえない展開から事件は起こされていく。そして、家庭の持つ意味と外から見た家族と、内から見た家族のギャップ、社会的な課題をいくつもだしながら、中学生の真っ直ぐな部分と、子どもの持つ不安定さが、入り乱れ、それを理解できない大人たちが翻弄されていく。 中学生や二十歳ぐらいの子ども?がどんなに大人として冷淡な仮面をかぶっ..

  • 勝利を呼び込む身体感覚の磨き方

    怪我をすると自分の動作に問題があることがわかる。ちゃんとした病院に行くと、理学療法士や作業療法士が教えてくれる。そのリハビリはイコール、トレーニング。 でも、そうしているうちに痛みは消える。なんとなく言われたことをやっているうちに、動作が変わっているのだろうが、それは本人には漠然としかわかっていない。 さて、そういうことを経験してくると、自分の動作についてもっと知りたくなる。 そんなことから、今回この本を手に取ったのだが、肩甲骨の使い方や、股関節の使い方について多く書かれている。が…言葉で内旋外旋、内転外転と言われてもちんぷんかんぷん。読みながらできる範囲で、ごそごそ動いているから周りにいる人は「こいつ何やってんだ?」というように見られているんだろうな。 しかし、写真をどう駆使してもやはり理解ができないことが多い。身体感覚を言葉にするとは本当に難しいことだと思う。著者である小山田さ..

  • ジヴェルニーの食卓

    私は美術館や美術品に興味がない。中でも絵画をみて感動したことがない。 20代のころ、海外旅行に行き、有名な美術館をいくつか訪れた。しかし、美術品の前をするするとすり抜けていくばかりで、入場料を払う価値があるのか?と疑問に思ってから行くことが無くなった。 40歳をこえて、そんな自分が情けなくもある。 さて、今回は美術品や有名な画家にまつわる短編小説集である。 横文字の名前はどうも頭に入ってこない。どの小説も、最初は何を言っているのか情景が浮かんでこない。それでも読み進めていくとパッと一つの情景が浮かび上がる。 ん??これって絵画と同じか?なんてちょっとした発見をしたような気になり、その画家と作品をネットで調べてみる。この物語の向こうに、この絵画があるのか…いや逆かな、この絵画を見てこの物語が生まれたのかと思うと、絵が点ではなく線や立体に感じる。 おお、初めての感覚だ。 原田..

  • ユダヤ人大富豪の教え

    こういう自己啓発本は好きである。これまでにも何冊も読んできたし、その度に納得し頷きながら、変わらない人生を送っている。それをどこかで自分自身が望んでいるのかもしれない。そうかこんな簡単なことで人生は変わり、夢のような未来が...と思いながら読み進め本を閉じて、変わらぬ現実を同じように生きている。 たくさんの言葉をノートに書き写し、確かにそうだよなぁと納得しながら...。 やっぱり今が変えられない。だから未来も変わらない。 不満足ではない...不安だからやれないと思いながら、今の自分にある種の満足もある、 これからもまたこういう本を何冊も読むんだろうなぁ。面白い読み物として。 最後まで読んで、実際のことを振り返りながら、書いたとある。求める人は求めたものを手に入れる。強く求めることが必要なんだなぁ。 ユダヤ人大富豪の教え幸せな金持ちになる17の秘訣幸せな金持ちになる17の..

  • 奇跡の人

    久しぶりに読み終わってゾクゾクと心臓が高鳴る。 すごい小説に出会ってしまった…という思いである。人を育てる、人を愛するということの先にこういう物語があるのだろうと、ページをめくるたびに残るページ数にもっと教えてほしい、その先はどうなるのか、どうやってこの物語を閉じるのか・・・ページをめくることがもったいないと思う一方で、その先を知りたくて仕方ないという思いが混ざり合うとても良い感覚である。 この物語は、ヘレンケラーとサリバン先生の話を日本に場面を移して、見事な小説にしている。これまでに読んできた原田マハとは趣の違う小説であった。 日本初の「無形文化財」として、津軽三味線の老女を推薦するために真冬の東北へ向かうところから始まる。なんとも読みにくいなぁと思いながら読みだしたのだが、突然物語は、弱視で将来は全盲になるであろう娘を日本初の海外留学させるシーンへ変わる。障碍を抱えながらも強く生..

  • 哀愁的東京

    人生の節目節目に重松清。というか、「ああ自分もこういう感じなんだろうなぁ」と思わされる物語が多い。自分の人生と重ね合わせやすいのはなぜなのだろうか? 今回は新しい絵本が書けない絵本作家が、フリーライターとしていろいろな人に出会いながら、書けない自分と向き合い目をそらすお話。そしてどの出会いもハッピーエンドにはならない。人生ってそんなに切ない別ればかりですか?と思えるほどに切なくなる。 こういう感覚が「哀愁」なのかなぁと妙にしんみりと心に染みる。 絵本作家として賞をもらった一冊の本が、主人公の出会いに意味を与えていく。その物語の意味は明るく幸せでありながら、その背景は重くか悲しい。一つの物語が全く逆に見えるわけだ。 あの人、楽しそうだけど、客観的にみるとすごく寂しそうだってことはなんとなくわかる。そして自分の中のそういう部分を探してしまう。自分がさみしいとか苦しいと思っていること..

  • 君の可能性 なぜ学校に行くのか

    1970年に書かれた本である。小学校の校長をしていた斎藤喜博が退職した後に書いた、中高生への教えであり、自分に言い聞かせる言葉であり、大人たちへのメッセージである。 内容に時代背景の古さを感じる部分はあるが、現代と何ら変わらぬ教育の問題を感じる。学校で貼られたレッテルに、可能性溢れる子どもたちはのっぺらぼうのような顔に変えられて、大人になっていく。可能性とは、芋ずるのように一つのものから次々と引き出されていくが、どんな可能性を学校で教師に引き出されるかによって可能性の宝庫である子どもの未来が変わってしまう。努力することで、自分自身を変えることが大切であり、辛いときに諦めずに努力し続ける子達を学校という場所でつくることができるというのである。 学校で子どもたちが集まり、刺激しあいながら、教師によりより良い方に伸ばされていく。努力できることが能力があることで、自分自身を変えていくことが立派..

  • バスケの神様

    小説は読み始めるとすらすらと読めるからありがたい。平行して読んでた小難しい本は流し読みでは頭に全く入らないし、前へ進まない。そんなわけであきらめて図書館に返しました。するとこちらの小説を心置きなく読めるというもので...(笑) 高校生の部活動のはなし。中学時代に部活で課題を抱えて続けることをあきらめた主人公。強豪の付属から公立へ進路を変えて名もない田舎の高校へ。それから数ヵ月の物語。 分かりやすいながれで、単純で、さらさら読めたのはそのおかげかもしれない。 チームで何かをしようとした時の温度差は、部活やチーム競技、チーム組織で動いたことがある人ならわかる。そして、その経験やトラウマがまた次のチーム行動に影響を及ぼす。 同じものでもメンバーが違えば結果は変わる。だから、このチームで勝ちたいんだと思えるようになり、その思いを強くさせる。チーム競技の醍醐味でもある。 今回の物語はバ..

  • イレギュラー

    読み終わって素直に面白かった。 久しぶりにベットで読み始めて、眠れなくなり、そして、もう寝なきゃと本を閉じる数日でした。 災害と野球。野球やってる場合か?と今こそ野球でしょ?の中で、恵まれた高校生とすさんだ高校生がお互いを高めあっていく物語。 そんなことは起こらんでしょう?と思うことも多々あるけど、それが小説の良いところ。そして、こんなことが現実に起こったら面白いのにと想像を膨らませるのも楽しい。 師弟関係にある監督は遺恨を抱えながらも師を越えていく。教え子たちは環境を変えて切磋琢磨していく。被災者たちはその姿に生きる力をもらう。こう書くと安っぽいけど、読んでいくとしっかり物語の中のわき役一名になって楽しめてしまう。 今年の春の選抜はコロナの影響により、中止。その一つ一つのチームにはこれとは違う物語があり、そして次の夏へ向かう。いろいろな境遇の中で、活動する選手がいる。その代表者..

  • いつか、君へ Boys

    短編集。それぞれの作家らしい作品なのかな。 一つ一つは簡潔で読みやすかった。どれも中高生が題材になっている。ナツイチ作成委員会編だからかな。 恋があり性があり、家族や兄弟、友情などお題材にして謎解きや成長がかかれていた。 読み切り短編なので、話ごとに読みきった感があって一気に読みきるとはならなかった。後、数ページで結末かと思うと、やはり物語は「もう一声」と言いたくなるところで読者に疑問を残して終わっていく。つづきは各自といわれているような感じだった。 いつか、君へ Boys (集英社文庫)出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/06/26メディア: 文庫 【中古】 いつか、君へ Boys / ナツイチ製作委員会 / 集英社 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】ショップ: もったいない本舗 楽天市場店価格: 235 円

  • ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

    新聞の記事で読んで気になっていた。 図書館に行くとあるので、借りてきた。読みやすい本で一日で読み切ることができた。 子どもの純粋さとまっすぐさ、そして、母親の対応のうまさを感じる内容だった。 イギリスでちょっと良い小学校に通っていた子どもがひょんなきっかけで地元の中学校に通うことになったことから始まる。まさに異文化の中で多様性をいっぱい感じながら多感な時期を過ごすわけだ。 そういう中でも、子どもはストレートでいてバランスがとれる。その下地をしっかり築いた母ちゃんが賢い。子どもの素朴な疑問にそんなにうまく答えるのか…と、感心してしまう。 そして、しっかり社会の大人としての意見は父ちゃんが言って、母ちゃんにバッサリやられるところがまた痛快だった。 特に引き付けられた会話。 「人種差別は違法だけど、貧乏な人や恵まれない人は差別しても合法なんて、おかしくないかな?そんなの本当に正..

  • でーれーガールズ

    勝手に春の読書週間2冊目です。 原田マハさんの小説はさらさらとした文章がふりかけられていくような感じがする。ハキハキとしたと言うのか、さっぱりとしたと言うのか、ダラダラと長い文書はあまりなく、読んでいてリズムがいい感じだ。 今回は高校時代の親友との思い出と現在を行きつ戻りつしながら物語が進んでいく。岡山弁を丸出しにした小説である。きっとマハさんも岡山出身だろうなぁなんて思いながら著者紹介をみると東京出身とある。解説まで読んでやはり高校時代は岡山で生活して居たことや、その頃の思い出と重ねながらの物語であることがわかりスッキリ。 人気漫画家となった卒業生を母校の創立記念日に講演者として呼ぶところから始まるこの物語は過去の自分や友達との関係、そして漫画家となるきっかけを30年という時間を越えて一つの物語にしている。高校生の恋心と不思議な恋の三角関係はマンガであり現実であり、時間と空想が縦糸..

  • 小説 言の葉の庭

    こういう小説久しぶりに読んだなぁ。 図書館で春に向けて読む本を探して手に取った本のうちの一冊。 甘酸っぱい恋がバトンのようにつながっていく。万葉集を区切りにしながら。 吸い込まれるように一日で読み切ってしまった。 もともとはアニメだったものを小説に書きだしたそうだ。 アニメーション監督が言葉の力を見事に使いこなしたわけだ。一人のというよりも一つの家族の周りにある恋が時に切なく、そして共感をしながら進んでいく。あぁ、物語だけど、想像して、入り込む自分の思い。まさに意図したように踊らされながら読み進める感じだ。 もっと大人になりたいと思った中学生が二十歳になったとき、もっと大人の女性を笑顔にできる。年上の女性にひかれて背伸びする男の子の気持ちがすごく気持ちを高ぶらせる。 そして、読む中で思う視点に、親が良くも悪くも子どもに与える影響である。早くに子どもを産んだ母親がそれでも女性と..

  • 十字屋敷のピエロ

    本屋で一面にならぶこの本を見つけて、東野圭吾の新作かと思い手に取った。 電車の移動や待ち時間なんかに、少しずつ読むのには小説がちょうどいい。 そんなわけで、ほかの本当並行しながらゆっくりと読んでいた。 でも、今日図書館でたくさん本を借りてきたのでまずはここから読み切ってしまおうと思った次第。 呪われた不吉なピエロの人形はゆく先々で持ち主に不幸が起こる。なんとなくピエロの魔力のようなものを想像しながら読み進めた。この事実を告げに来る人形師がまた不気味な存在。そんな中で起こる殺人事件の数々。何人もの関係者がいる中で、だれがどうやって殺していくのか…。途中で入るピエロの視点はその事件のヒントを与えるが答えは出さない。そして、犯人の使ったトリックから、この十字屋敷の意味が見えてくる。最終的につかまった犯人の向こうに、驚きの真実が隠されていることに、東野圭吾の奥深さが見えた。 この小説を読..

  • さいはての彼女

    原田マハさんの小説。本屋さんで元気を探していたときに見つけた一冊。 へこんだ時、壁にぶつかった時、心をリセットできる1冊です。の表紙。 4つの短編からなる小説。思いがけないきっかけで旅をする。ああ!こんな旅してみたいな、バイク乗りたいと思う、そんな小説だった。 旅の中での出会いが、うまくいかない現状の見方を変えてくれる。そうして、新しい見方で振り返って自分自身を見つめ直すことで、また現実の世界へと戻っていく。 なんだかとってもいい気分で読むことができた。 「最悪の事態に直面したとき、一時間後に立ち直っている自分を想像できるか。それができる人は、一年後、十年後、必ず成功する人です。」 小説中の一文。 僕も立ち直る自分を想像したい。そう思わせる小説でした。 さいはての彼女 (角川文庫) [ 原田 マハ ]ショップ: 楽天ブックス価格: 572 円 ..

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