伊東静雄ノートⅡ-3
原田は次のように述べる。「だが、なぜ、それを詩のなかでやらなかったのだろう。藤村だけではない。日本の詩人は,伊東のやってくまで、『冷たい場所で』うたうことこそ、詩の任務であることに思い及ばなかった。朔太郎はそれを識っていた稀な一人で、さればこそ伊東を発見し,高く評価しえたのだ。」原田のように「冷たい場所」を詩の任務としてつまり詩人の身の置き所としてとらえているようだが、先述の富士正晴の文章には伊東の詩の理解度が深く刻まれているようにみられる。「現在の日本の詩壇の人で真に確乎とした世界を生きていると思われる人はあまり多くないよう思う。〈略〉その人の性の規律がひとつであるような人こそ詩人という名で呼ばれるべきだ。伊東静雄詩集『わがひとに与ふる哀歌』を偶然の機会で人から借りて読むことが出来私の心の中に詩人を一人くわえ...伊東静雄ノートⅡ-3
2019/11/21 09:47