『日本洋画の人脈』 田中 穣
近代日本の洋画は中途半端な存在なのかもしれない。 日本、といえば日本画が主流。(なのかもしれないし)油絵、といえば欧米が本家。(なのだし)現代の日本のアート・カルチャーは、クール。(だといわれているし)近世以前の日本の芸術・工芸は、個性的。(とリスペクトされているし) その、どれにも属さない「近代日本の洋画」という存在は中途半端なのだろう。 だからこそ、私はこの時代の洋画に興味を持ってしまうのだが。 時代的にも、明治維新を経て社会の秩序が根底から崩されてしまい西洋の情報が怒涛のごとくなだれ込んできた。この時代は国家としても個人としてもアイデンティティの迷走だったのだろう、まさにそれそのものの写…
2021/06/30 13:39