美術館が大好きです。夭折した画家に惹かれます。観てきた展覧会、アートについてのつぶやきを綴ります。
尊敬する芸術家:ピカソ 愛する画家:関根正二 好きな評論家:洲之内徹 好きな美術館:三菱一号館美術館 家に一枚飾るとしたら:クリムト「接吻」
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近代日本の洋画は中途半端な存在なのかもしれない。 日本、といえば日本画が主流。(なのかもしれないし)油絵、といえば欧米が本家。(なのだし)現代の日本のアート・カルチャーは、クール。(だといわれているし)近世以前の日本の芸術・工芸は、個性的。(とリスペクトされているし) その、どれにも属さない「近代日本の洋画」という存在は中途半端なのだろう。 だからこそ、私はこの時代の洋画に興味を持ってしまうのだが。 時代的にも、明治維新を経て社会の秩序が根底から崩されてしまい西洋の情報が怒涛のごとくなだれ込んできた。この時代は国家としても個人としてもアイデンティティの迷走だったのだろう、まさにそれそのものの写…
昭和のキャバレー王が愛した絵画 コレクター福富太郎の眼 @東京ステーションギャラリー
緊急事態宣言が緩和し美術館が再開された。 今回のコロナ渦中で学んだことは、行こうと思う展覧会はとにかく早く行っとく!ということ。 そこで早速東京ステーションギャラリーに向かった。 芸術史を学べば学ぶほど、当然だけれど作家も生きた人間であり、生活があるのだということを痛感する。どんな高尚な作品を作り出す作家でも、霞を食べて生きていくことはできない。作品に経済的な価値を付加してこそ、作品ないしは作家自身が守られる。 福富太郎の鏑木清方との出会いは、相思相愛の幸せな出会いだったのだろう。 美人画といえば、上村松園、伊東深水などが挙げられるが、私は清方が一番好きだ。 本展で出品された清方作品の中でも、…
緊急事態宣言で都内の美術館がクローズになってしまったので、近場の美術館へ。 こういう時、地元の美術館が元気であるのはうれしい。 6月13日まで平塚市美術館では三重県立美術館全面協力の「柳原義達展」と地元コレクター荒井寿一氏の「川瀬巴水展を行っている。 開館30周年記念「柳沢義達展」 柳原義達(1910-2004)は、ロダン、ブールデルの影響を受けた具象彫刻家だ。本展が人物像(ほとんど裸婦像)と鳥(鴉あるいは鳩)を集めたのが、代表作だからなのか、なんらかの展示意図によるものかは柳原義達については詳しくないのでよくわからない。 2室にわかれた展示室には、前半が人物、後半が鳥にきっちりと分類してある…
かつてモンドリアンの絵の様なドレスがあったな、と調べてみたら1965年のイブ・サンローランの作品「モンドリアン・ルック」のことだった。 黒い直線に赤・青・黄の四角。モンドリアンといえばまさにこれ。 今回の展覧会に展示された下の作品も一連の作品の一つだけれど、《大きな赤の色面、黄、黒、灰、青色のコンポジション》というタイトルだと、モンドリアンが何を考えてこの作品を描いたのか、そしてどうしてまたこんな線や四角を描こうとしたのかが全く分からない。 SOMPO美術館で行われた「モンドリアン展」を見ればなにかヒントを得られるのだろうか。 モンドリアンがこの線と四角で構成された作品を確立したのは1921年…
https://ayashiie2021.jp/ ←あやしい絵展 公式サイト 待ちかねた本展の会期最初の週末。行ける時間枠にたった1枚あったネット予約枠を得て会場に向かうと、そこには長蛇の列。 事前予約なしでも、行列覚悟なら観覧できたのか。いや、でも、密。 その長蛇の列を横目に思うこと。「あー、この展覧会、キュレーションの勝利だわ。」 このご時世、海外から有名な作品を引っ張ってくることも出来ない。 当然この展覧会で出展される作品は国内の、ほぼ常設で見られる作品が多々。 類似テーマ、同作品が、千葉市美術館や弥生美術館などで何度も展示されていた上、小村雪岱ときたら三井記念美術館で会期すらダブってい…
前記事に引き続いてArt Fair Tokyo2021のレポです。 本記事は絵画編となります。 三宅 信太郎 三宅信太郎さんのユーモラスな動物たちは、身近に置きたいアートとして最適かもしれません。 三宅さんはアール・ブリュットにも影響された作家さんだとのことで、偏執的な模様があったり、通常では見ないであろう方向から見た動物には、そういう部分が現れているのかもしれません。 ただカワイイというよりも、少し毒を帯びた感じの動物たちの視線は、こちらを見透かしているようにも感じるものです。 川内 理香子 川内さんの作品は、どこかに必ずセクシャルなニュアンスがあって、ドキドキするほど官能的です。これといっ…
Art Fair Tokyo 2021 会場風景 コロナ禍の影響で昨年は中止となったArt Fair Tokyoが今年は無事開催されました。 今迄アートは「観るもの。そして美術館に在るもの。」と思っていた私も、そろそろ「現代を生きる作家さんにも目を向け、できるなら所有もしたいな。」と考えるようになりました。 今の職場の上司(と言ってもずっと私より若い)がアーティストを目指していた人なので、良く作家の立場からの話を聞くのですが。 日本人は現代アートについてどうしても逆輸入が好きだよね、という話をします。 もっと自分の見る目を信じていいと思います。 では所有するアートという観点で観ると、美術館で感…
https://yokohama.art.museum/special/2020/trialogue/index.html 横浜美術館はこの展覧会を終了すると、2021年3月1日(月)から大規模改修工事にともない長期休館に入る。 親しみのある地元の美術館に行けなくなるのは寂しくて、見納めのような気持ちで本展に出かけた。 コロナ禍で海外との往来が不自由になってしまった今、美術館の役割も色々と変わらざるを得ない。 例えば海外から作品を借り入れての展覧会を行うことがほとんどできず、各館はさまざまに企画を工夫しているようだ。 この「トライアローグ」もその一つで、横浜美術館・富山県美術館・愛知県美術館の…
「桑久保徹 A Calendar for Painters without Time Sense.12/12」 @茅ヶ崎市美術館
桑久保徹@茅ヶ崎市美術館 茅ヶ崎市美術館で2月7日まで開催されている「桑久保徹 A Calendar for Painters without Time Sense.12/12」 を観に行った。 現代に生きる桑久保徹が12人の巨匠のアトリエ(スタジオ)をイメージして描いた12枚の作品を「カレンダーシリーズ」として展示した本展。 出品リストは下記の通り 1月:パブロ・ピカソのスタジオ 2月:エドヴァルド・ムンクのスタジオ 3月:ヨハネス・フェルメールのスタジオ 4月:ジェイムズ・アンソールのスタジオ 5月:ポール・セザンヌのスタジオ 6月:ピエール・ボナールのスタジオ 7月:ジョルジュ・スーラの…
一年ぶりになるでしょうか。 おひさしぶりです。 やっと修士論文を書き終えたので、マイペースで駄文を綴っていこうと思ってます。 ------- さて、少し前になりましたがNHK「日曜美術館」で「STARS それぞれのデビューから現在」が放映されていましたが、ご覧になりましたでしょうか。 www.nhk.jp そこで、村上隆氏と李禹煥氏の対談があり、ヘドバンして同意しました。 近年の日本は、「解りやすくさせなきゃいけない」という風潮がある事、専門家が自分の専門で戦うことを辞め入門書ばかり書いている事、それが文化をだめにしているということをお二人が話していました。 ------- 「みんなのためのア…
国立新美術館で行われていた当展。話題になっていたのは知っていたけれど、見逃してしまった。たまたま来阪していたので、行ってみた。 批評を読んでも、ボルタンスキーについての予備知識がなかったので、どんな展覧会であるか予想がつかず。それもまた良しとして、とにかく素の状態で観てみようと思った。 入口を入ると薄暗い世界に電飾が待ち構えていて、右手には苦しむ男性の姿が映し出された映像。置かれたヘッドホンを付けてみると、激しく咳き込む音が聞こえる。私も咳喘息を持っていた経験があるが、咳がひどくなると「死んでしまうのではないか」という不安感に襲われる。ただでさえ、他人の咳音を聞かされるというのはとても不快なの…
表現の自由と「誰も傷つけない表現」という難しい議論があるようです。 www.j-cast.com ここで私自身の経験から少しお話してみたいと思います。 私には15年ほど前、大変身近な人を海の事故で亡くしたという経験があります。 大好きだった海を見るのもつらい心理状況が長く続きました。 海は「誰もが癒される場所」であると捉えられがちですが、その当時の私にとっては「とても傷つく場所」でありました。 テレビで海のシーンがあるとそっとチャンネルを替える日々が続きました。 当時「海猿」という映画がヒットしていて、巷に氾濫する映画の情報から身を守るのに苦労をしたことを記憶しています。 私の事情を知らない知…
昨年、私が通信で学んでいた(卒業見込みなので「いる」かな?)大学が主催した「芸術の永遠のテーマ『ヌード』を通して美術史を知る 人はなぜヌードを描くのか、見たいのか。」というテーマの5回完結のオープン講座を受けました。 1回ごとに篠山紀信氏、鷹野隆大氏など著名なゲスト講師が招かれました。何よりも会田誠氏のお話が聞けることが楽しみでした。 会田誠氏の「犬シリーズ」「美味ちゃんシリーズ」がなぜ現代アートとして評価を受けているか。正直なところわかりません(でした)。 同性として、女性が凌辱されているような作品は不快です。 でも、それは私の感性。評価を受けて居るのにはそれなりの理由があり、芸術を学んでい…
今年もあと3日。年末年始休暇に入る美術館もチラホラ。 今年の美術館詣では打ち止めだと思うので、ここで総決算。今年行った展覧会(アートシーン)。一体いくつ?数えてみました。 ◎は、純粋に良かったもの。 〇は、気軽に行ったら期待以上だったもの。 1. クインテットⅣ @東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館2. 装飾は流転する @東京都庭園美術館3. 堀文子展 @神奈川県立近代美術館葉山 〇4. ヌード展 @横浜美術館 ◎5. FACE 2018展 @東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館6. 熊谷守一展 @国立近代美術館 〇7. 青山義雄展 @横須賀美術館 〇8. プラド美術館展―ベラスケスと絵…
レディメイドの車輪やベン…いや、《泉》などや、現代美術の教科書に掲載されてる写真とかもいっぱいあって、ミーハー的にワクワクした。授業で習った通りちゃんと「R.MUTT」のサインがある! 《チョコレート磨砕器》《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも(大ガラス)》《瓶乾燥器》とかが、1室に並べられているのは、ただただデュシャン・ワールドの空間が広がっていてかっこいいなと思った。 ゴーギャンやセザンヌっぽい初期の絵画から、キュビズムな絵画も面白い。この当時の近代絵画の流れをおさらいしているみたいだ。《階段を降りる裸体 No. 2》は、本当にかっこいい絵だと思う。こんな乱れた絵の中にも、きち…
ボナールの絵が好きだと思ってたけれど、惹かれる絵はその中で限られてたというのがわかって、自分でもちょっとびっくり。あんまりグッと来た絵が少なくて、(以前見たものが結構あったせいかもしれないけれど)実はそんなに好きじゃなかったのかも。 ナビ派の魅力は、不穏な空気感。幸せな光景の中にある漠然とした不安定さとか悪意とか。幸せそうにしているけれど、裏では不倫してるでしょとか、そんな感じの。めちゃくちゃ裏がありそうなヴァロットンの方がらしいのかな。そういう意味では、麗しい浴室の裸婦たちの裏に三角関係の果てに自殺した女性の影がある、というのは怖くてナビらしくて、興味深いな。明るくきれいなボナールの風景画は…
開館15周年 特別展 ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ@パナソニック汐留ミュージアム
厚塗りルオーの宗教画の数々。明るい色彩と石膏のようにも感じるマチエール。受難のキリストにも温かさと優しさを感じる。 冒頭のモノクロームの版画にすらルオーの質感が感じられるのが凄い。「生きるとはつらい業…」「でも愛することができたなら、なんと楽しいことだろう」とは深いタイトル。 監修された後藤新治先生に質問する機会を得たが、ルオーの支持体の多くが紙であるのは、当初は経済的理由だったとのこと。その後余裕ができてもその支持体を捨てなかったのは、塗っては削ってまた塗っていく制作方法には紙がやりやすかったのではないかとご教授いただいた。裏は布が貼ってあるので、どんな紙質を使ったかは、修復を経ないとわから…
フジタについては、これほど国内で賛否両論ある画家もいないのではないか。とある重鎮のキュレーターの方にギャラリートークの上達法をお聞きする機会があったのだけれど、「対象を好きになること。だから僕はフジタに関しては語れない。」とのこと。いわずもがな。総じて男性は否定的、女性は肯定的に思えるのだけれど、そこは戦争画→国籍変更をどう捉えるかの違いだと思う。著作権の地雷がある作家のベスト(ワースト?)3とも言われるらしいフジタの回顧展はこれまで開かれにくかった。今回の回顧展は天晴!と言ってもいいのではないか。女性のスタッフが中心となって進めたという本展は、グッズを含めフジタ愛を感じる。中心となったキュレ…
モネの睡蓮、風景画の展示とその影響を受けたと思われる作家、あるいはオマージュ作品。現代アートがかなりあり、モネがその後の絵画史に大きな影響を与えたことがよくわかる。 色と形の変革。このころの絵画史は先人を乗り越えようとイズムを刷新し続けたわかりやすい時代。それに比べて現代アートは自己の探求に進むから、他者にはわかりにくいのかも。 モネから現代アートの飛躍が大き過ぎて、モネ目当てで来ると戸惑われるのでは?せっかくワクワクする現代アートの名品に素通りの方が多く、展示の難しさを感じた。 横浜美術館はコレクション展と企画展のリンクがいつもうまい!目立たないけど写真の展示がモネと同時代ですごく楽しめる。…
イサム・ノグチー彫刻から身体・庭へ@東京オペラシティアートギャラリー
イサム・ノグチは、評伝も読んでいるし、映画「レオ二―」も観ているし、思い入れのある作家。どうしても来たかった。1枚目のドローイングでドギマギ。なんて綺麗な曲線を迷いなく引ける人なんだろうか。作家との相性は、理屈なくとにかく感性がぴったり合うことがあって、私にとってイサム・ノグチはそういう人のひとりだ。とにかく線とか質量とか質感とか全部フィットする。 ブログ村・参加しています。 ポチッ!していただければ嬉しいです♡ ☟ にほんブログ村
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