不器用思い出紀行
勉強が苦手、運動神経が悪い、引っ込み思案。学生生活で不利になる個人の特徴というのはいろいろあるが、私の場合最も深刻だったのは「不器用」というものであった。 中学時代の家庭科の授業で、パジャマを作ったことがある。私の中学では、3年次に海外へのホームステイつき修学旅行があった。それに持っていくためという名目だった気がするのだが、私はその類稀なる才能で、手の内からモダンアートを生成してしまったのである。足が出る部分は閉じており、ゴムを通すはずの部分はまるでメビウスの環、ボタンの部分はなぜかペラペラ。「実用からの幽体離脱」とでもタイトルをつけておけば、ダリの作品の隣に並べても見劣りしなかっただろう。も…
2017/02/02 07:48