岩城けい「さようならオレンジ」
「さよなうなら、オレンジ」を読みました。今作は公募による新人賞である太宰治賞を受賞した岩城けいさんのデビュー作。その後、単行本が筑摩書房より出版されると芥川賞の候補作となり、三島賞の候補作にもなった。この二賞は候補で終わったけれども――、大江健三郎さんによって選考される大江健三郎賞を受賞することとなっている。なので当時(2014年頃)には文学方面でけっこう話題になったような記憶がある。事実、その年の本屋大賞は4位になっているから結構売れたのではなかろうか。 読んでみると今作、日本ではこれまで書かれてこなかったタイプの小説かもしれないと思わされる。舞台はオーストラリア。アフリカから難民としてやっ…
2017/05/29 20:00