『列子』 狗吠緇衣(くはいしい)
楊朱の弟である楊布が、白い着物を着て出かけた。 雨が降ってきたので、白い着物を黒い着物に着替えて、家に帰って来た。 家の犬は、白かった筈の飼い主が黒くなって帰ってきたので、怪しんで吠えかかった。 楊布は怒って、犬を叩こうとすると、兄の楊朱が、こう言った。 叩くのはやめなさい。 お前だってそうだろう。出かける時に白かった犬が、帰ってきた時に黒かったら不審に思うのが当然だろう、と。 ただこれだけの話である。 しかし、何とも言えない不思議な味わいを、ユーモアを、僕は感じてしまう。 説いていることは、立場を変えて視ることの重要性、または見た目で判断してはならないということだろう。 しかし、それだけでは…
2018/03/17 00:00