「さよならこむぎ」
高安ミツ子ダリアが咲き冬コスモスが咲きだした十一月八日こむぎは旅立ちました十九歳と十か月でしたこむぎは生後一か月で捨てられ拾い主の次男が我が家につれてきたのですタオルを持ってきて引っ張りっこ投げたボールを拾ってくわえ家の中を走り回りいつも遊んでほしいかわいい子犬でした私たちはこむぎに振り回されながらも愛おしさが積もっていきました自分の居場所を家中に作りマッサージチェアーに仏壇の前の布団に応接間の椅子の上にとろりとろりと居眠りしながら得意な鼻と耳で我が家の歴史を味わっているようでしたしかし眠っていても来客がインターホンを押す前にすばやく吠えるのです家を守るのは僕だからと言わんばかりです人の言葉がわかるようになり私がこむぎを抱いて庭の花を見せながら話しかけると分かっているよと目を何回もしばたかせるのですこむぎ...「さよならこむぎ」
2023/12/30 15:23