絵のうしろを見る
布団に入って目を閉じたら 気の抜けた月が浮かんでいられなくなって コンクリートに衝突してバラバラになる姿を想像する。破片が四方に飛び散って 電柱とか自動販売機とか家とかが 傷だらけになって 世界中に絆創膏が貼られて 絆創膏の匂いがする街を歩く。足音がおたまじゃくしの呼吸の泡のように ぷかぷかと浮かんでは弾けて 傷だらけの風景ごとめくられる。あの子がテスト用紙の角を 犬の耳をつくるように折り曲げた理由は 最後までわからなかったけれど思い出の表面を滑ると 自分がもう死んだような 気持ちになるのは何でだろう。自分が良いなって思うものが 沢山ある世界で良かったと思うと同時に 公園の遊具を見ると悲しくな…
2021/12/22 01:35