齋藤栄功の『リーマンの牢獄』
◇『リーマンの牢獄』著者:斎藤栄功2024.5講談社刊この本は20世紀最大の世界的金融危機の引き金となったアメリカの投資銀行リーマン・ブラザースの破綻の遠因になった同社日本法人に対する債務償還不能とした本人が著わした自叙伝である。アバターとの対話形式をとったのは監修役の阿部重夫氏の提案であり、功を奏している。1980年代。バブル景気のあげく長く低迷した日本のマクロ経済の底辺、個々の魑魅魍魎のごとき面々が跋扈する経済活動のリアルな姿が彼の職歴を通じて赤裸々に描かれる。大学卒業後著者斎藤が就職したのが、間もなく自主廃業に追い込まれた「山一證券」。職を奪われた彼は都民信組を経て外資系証券会社メリルリンチに入った。メリルリンチではBFSというスワップ取引やオプションなどデリバティブ(金融派生商品)を組み込み、客の...齋藤栄功の『リーマンの牢獄』
2024/10/30 10:27