ケント・ナガノ指揮の新作オペラ「静かな海」を見る

ケント・ナガノ指揮の新作オペラ「静かな海」を見る

細川俊夫作曲、平田オリザ作の“海、静かな海”をハンブルク・オペラ座で見ました。舞台には原発の格納庫の水槽を模したアクリルの円盤とその下の鉄の格子、そのうえに蛍光灯の光輝く“燃料棒”が十数本ぶら下がり、そして右から斜めに降りて来る橋。それは能舞台からアイデアを得たものだということです。私には燃料棒を出し入れするクレーンの作業ブリッジにも見えました。ストーリーは森鴎外の「舞姫」と能の「隅田川」を下敷きにしたもので、津波で家族を失い、原発事故で故郷を追われた福島の人々を子を失った母親に象徴、心の安らぎを求め、南無阿弥陀仏と唱えながら、未来に向かって希望をつなげようと苦闘する姿が描かれています。最後に舞台上の“燃料棒”が光を失い、冷たくぶら下がっていたのは脱原発を表現しているのでしょう。それが、将来への希望を表している...ケント・ナガノ指揮の新作オペラ「静かな海」を見る