心技極まりて　体は美を表す

本来 後編2『天国の門』

「求めよ、そうすれば、与えられるであろう。探せ、そうすれば、見いだすであろう。門をたたけ、そうすれば、開けてもらえるであろう」マタイ福音書個人的な意見として、『求めよ、そうすれば、与えられるであろう。』は、『ちょうだい』・『はい、あげる』と単純なやり取りではなく、研究者の閃きの様なものである。アルキメデスの閃きむかしむかし、アルキメデスという名前の天才数学者がいました。ある時、シラクサの国王ヒエロンは金細工師に金の固まりを渡すと、それで金の冠をつくるようにと命じました。やがて出来上がった冠はまばゆいばかりに光り輝いており、王さまは大満足です。ところが金細工師が金に銀の混ぜ物をして、王さまからあずかった金の一部を盗んだといううわさが広まったのです。そこでヒエロンはアルキメデスに、王冠を壊さずに混ぜ物がしてあ...本来後編2『天国の門』

2022/07/10 09:42

本来 後編1「撃竹の悟り」

香厳智閑（きょうげんちかん）百丈清規（ひゃくじょうしんぎ）禅師に師事し、幼少のころから聡明で見識もあり、弁舌が立つ優秀な弟子あったが、禅の道を悟れないままだった。百丈禅師が亡くなった後、兄弟子、潙山霊祐（いざんれいゆう）禅師のもとに行った。潙山禅師は香厳に対して『お前が経典から学んだことや、今まで積み重ねてきた学問の結論などではなく、父母未生以前の本来の自己を自身の一句で言ってみよ』と問いかけた。香厳は、熱心に参究し、得た答えを禅師に呈しても、師はその都度にこれを退けるのであった。ついに精根尽き果てた香厳は潙山禅師の前にでて『何とか御教示頂きたい』と哀願した。しかし潙山禅師は、『もしも私がお前のために説いてやったとしても、それは私の言葉であって、お前の答えに何の役にも立たないし、今解き明かせば、お前は私の...本来後編1「撃竹の悟り」

2022/07/03 21:32

本来 中編『エデンの園への帰還』

旧約聖書・創世記にある。アダムとエバはエデンの園で楽しく暮らしていたが、神様に食べてはいけないと言われていた真実（知恵）の実を取って食べてしまったため、エデンの園から追放されてしまいます。その際、「罰として」男性は、労働の苦しみを、女性は生みの苦しみを背負うことになりました。いわゆる原罪の話しである。真実（知恵）の実を手に入れることにより、人は他の生き物より、ひと足先に進化をとげた。では、進化した要因である『真実（知恵）の実』とはなにか？それは、『言葉』である。言葉を手に入れたことで、人は意識の中に自と他、時間と空間という概念を手に入れた。自（分）と他（人）とを区別してから、主観と客観が生じて自我が育った。その自我と言うフィルターを通して他を観ることで対立が生じた。人類は長い歴史の中で、争い・栄え・滅びを繰り返...本来中編『エデンの園への帰還』

2018/05/05 14:59

本来 前編『本来の面目』

『本来の面目』の公案というのは、『父母未生以前（ふぼみしょういぜん）における本来の面目如何（ほんらいのめんもくとはいかに）』というものである。達磨から数えて第六世にあたる大鑑慧能（だいかんえのう）が、恵明（えみょう）という僧から『悟りを開くには、どう工夫したらよいか？』と熱心にたずねられた際に示したものを、そのまま採って公案としたもので、見性のためにはうってつけの公案である。六祖慧能は、父親が左遷で地方にとばされた上に、早くに亡くなってしまったために、母親との貧乏暮らしで、市場で薪を売って生計を支えていた。そのため勉強する機会に恵まれず読み書きが出来なかった。ある時、一人の人が『金剛経』を読んでいるのを聞いて、心が求めているのは、これだと確信し、母親の世話を人に頼み、達磨から数えて第五世の大満弘忍（だいまんぐに...本来前編『本来の面目』

2018/04/23 21:33

修身『徳を積む』 後編

心の平常心を失い動揺している時は、弓の陰を見て蛇や蠍ではかと思い込み、草むらの石を見て伏している虎ではないかと疑う。心が落ち着かないと、どんどん疑心暗鬼を生ずる。すべてが殺気に満ちているからである。逆に心の雑念がおさまれば、暴虐な人物も海を飛び交うカモメのように感じ、煩わしく感じていたカエルの鳴き声も、太鼓や笛のように聴くことが出来るのである。冷静になって考えると状況が良く見えてくる。菜根譚より身を修めるには先ずは、心を安定させなくてはいけない。なぜか？怒り・恐れ・好き・嫌いetcの感情や心配事などがあれば、心が正常な判断が出来なくなり、物を視ても見えず、声を聴いても聞こえなくなる。人生で上手くいかない時ほど、気持ちが動揺して心に余裕がなくなり、空回りする。そんな時は、他人への配慮する余裕が、人や社会とつながっ...修身『徳を積む』後編

2017/04/13 18:17

修身『徳を積む』前編

昔からの都市伝説で、霊柩車を見たら親指を隠さないと親の死に目に会えないと言う話があり、それを聞いていた子供が、親の葬式にて親戚から、『霊柩車を見たら親指を隠さないと親の死に目に会えないよ。』と言われて、『その親とは、誰の親なの』と答えたと言う噂話があって、私の周りでは、救急の車が通る時、親指を隠さないと親の死に目に会えないと言う話となっていた。私は、親指だけでなく、お母さん指である人差し指も隠して両親を守る為に、迷信だと解っていても、救急車が通る度に指を隠すことが習慣となっていた。そんなある時、父親と出かける用事があり、車に乗っている時、前方より救急車が来たので、いつもどおりに指を隠して、これで大丈夫と思い父親の方を見ると、何やら、ぶつぶつと言っている様子なので、『どうしたの？』と聞くと。父親は、こういった。『...修身『徳を積む』前編

2017/04/10 10:25

修身『仕事』

私が、毎年新入社員入って来た時に、必ず話す事が、2つあり、その内の1つが、仕事についてである。仕える事と書いて『仕事』結論から言うと、『相手の立場になって物事を考え・行動出来る』のかを問われている。相手（上司や同僚）が何を求めているか？（必要としているか？）を見極めた上で、自分には何が出来るか？その場で最善な行動とは何か？を考えて行動する事が大事。この気配り・心配りが人を教える立場になった時、仕事の流れ・その場の雰囲気から、違和感を覚えて危険を察知し、安全への配慮を行う事（リスク回避）が出来る様になる。武士は、城への出仕（出勤）をする際・帰宅の際、必ず毎日同じ道を選択して通っていたと言う。いつもの見慣れた風景（人も含む）の中に違和感を覚える=ちょっとでも妙な気配や雰囲気から、この人物は・この場所は危ないと判断（...修身『仕事』

2017/04/06 22:26

修身『分』

自らの分と書いて『自分』修身の基本は、自分自身を知ることであり、自分を知る＝分をわきまえる、身の丈を知る、身の程を知るなど、自分を正当に評価し、理解することである。具体的には、『脳内でイメージした内容と現実の行動との誤差をうめること』であり、もしも、この誤差をうめることが出来ないと、その誤差が大きければ、大きいほど、心の歪みとして表れる。例えば、歳を重ねて老いると、昔出来ていた事が出来なくなる、すると現実を受け入れられず無理をする事で、結果として不安や苦しみが心に残る。解決の方法としては、大きくわけて2つの方向性がある。⑴ボディーコントロール格闘技の道場・ジムやダンス教室に鏡が置いてある理由は、トレーニング時に正しいフォームで出来ているかを鏡でチェックする事で、客観的な現実を基に、脳内イメージとの誤差を修正する...修身『分』

2016/08/10 03:48

柄

勤勉の象徴として、薪を背負い、本を読みながら歩いている二宮金次郎像、彼が読んでいるのが、儒学、四書（大学・孟子・論語・中庸）の一つ『大学』である。古の聖人は、自らの明徳を天下に明らかにするため、先ずその国家をよく治める様に努めた。その国家をよく治めたいという者は、自らの家庭が円満である様に努めた。その家庭が円満でありたいという者は、自分自身の身・道徳を修める様に努めた。その身を修めたいという者は、自らの心を正しいものにしようとする様に努めた。その心を正しくしたいという者は、その意志（思考）を誠実なものにする様に努めた。その意志（思考）を誠実にしたいという者は、その知性の裏付けをとる様に努めた。知性の裏付けをとるとは、物・事物の道理・仕組みを理解するということにある。物・事物の道理・仕組みを理解すれば、知性の裏付...柄

2016/02/10 03:57

心のカギ

一鼎（いってい）先生がこのように申されたことがある。「良い手本に似せて精を出して習えば、下手な字でも、次第に上手くなっていくものだ。奉公人も、良い先輩を手本にしたならば、大方、ものになるだろう。ただ残念なことに、最近では良い先輩《手本》が少ない。それなら、《手本》は自分でつくって習うのが良い。方法は、礼儀作法一通りはこの人、勇気はこの人、言葉づかいはこの人、生活の態度はこの人、律儀な点はこの人、決断力はこの人と言う様に、人は誰しも良いところを持っている。その良いところだけを集めれば、立派な手本ができるのである。すべての芸ごとでも言えることだが、弟子は師匠の良いところを吸収しきれず、悪い姿勢ばかりをマネする傾向がある。これでは何の役にも立たない。場の空気を読める者には不律儀な者が多い。こういう師匠（手本）につくと...心のカギ

2015/11/30 11:53

幸不幸 後編 （塞翁が馬）

昔々、国境の近くの塞（とりで）近に、よく当たると評判の占い師のお爺さん（翁）が住んでいました。お爺さんは、周りからも評判が立つほどの駿馬をかわいがっていましたが、ある日突然、蜂に刺された拍子に飛び出してしまいました。一向に帰ってこない馬の様子に、周りからはお爺さんを同情するほどだったが、お爺さんは「これがきっかけで何かいいことが起こるかも知れない」とだけ言った、しばらくして、その馬が別の優駿を連れ帰ってきたのだ。周りの者は口々に何と幸運なことかと囃し立てたが、お爺さんは「これがきっかけで、悪いことが起こるかもしれない」と言って、決して喜ばなかった。それから、かわいがっていた息子がその優駿から落ちて、片足をケガしてしまった。周りはまた同じように慰めの言葉を掛けたが、お爺さんはまた同様に「いいことの前兆かも知れない...幸不幸後編（塞翁が馬）

2015/11/23 22:54

幸不幸 前編

昔々あるところに雲門禅師と言う禅のお坊さんがいました。雲門禅師はある日、大勢の弟子たちに向かって言いました。『十五日以前のことは何も問わないが、これから先、十五日以内に真理に叶う事を一言でのべなさい。』とたずねた。だが誰も返答が出来ずにいると雲門禅師は自ら答えた。『日々是好日』（にちにちこれこうじつ）碧巌録より今日は、いい日だった悪い日だったと言う言葉を使うが、何を基準に良い悪いを判断しているのだろうか？それは、自分にとっていい日悪い日である。そして、自分にとっていい日悪い日であっても、自然にとっては良い日も悪い日もない。しかし現実は、雨の日、風の日など様々な問題が起き、悩ませられることばかりかもしれない。しかし、どんなに風雨があろうとも、日々起きる善悪の出来事があっても、それは自分というフィルターを通して出来...幸不幸前編

2015/11/19 18:02