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ノリの悪い日記 http://port-k.com

古今東西の映画、ポピュラー音楽、その他をいまここに交錯させながら随想します。

以下のキーワードで検索すると、このブログの記事が上位に出てくるようです。「ドロレス・デル・リオ」「突貫勘太」「猿飛勘太」「画角にまつわる話」「周セン」「わかりやすい話」「新橋喜代三」「ニューヨーク23番通りで何が起こったか」「ドリーの冒険」「ヘレン・モーガン」等。なお、「わかりやすい話」は、「わかりにくさ」を「わかりやすさ」によって顕揚しようとする馬鹿げた記事です。

ノリ
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2015/10/24

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  • ダニエル電池

    高校入試問題を見ていたらダニエル電池に関する問題が出ていて、その問題自体は興味をそそられるものではなかったが、不図、ダニエル電池の起電力を計算しようと思ったら熱力学を忘れている。以下は単なる忘備録である。まず、基本の復習。熱量 、仕事 が, 考えている系に流入する方向を正とするとき, 内部エネルギー変化 は, 第 1 法則からとなる. 外界から熱量 を受けた系のエントロピーが 増えたとすると, 外界のエントロピー変化 との合計は, 第 2 法則からを満たす. つまりが成立する.そこで, 外界の温度は, の定数である等温過程を考えることにし, 考えている系がまったく「仕事」をしない (体積仕事も…

  • 散歩 (5)

    午後過ぎ迄用事があったし、少し時雨てもいたので近くを散歩することにし、町田駅から境川沿いを上流に向けて歩いて古淵の鵜野森公園にある露頭を見に行った (相模野面)。横浜線は凡庸だなあと思っていたが、境川と並行して走っているのを見るとなかなか良いなあと見直したりした。露頭の場所に着いたときはもう日暮れどきでかなり薄暗いにも関わらず、三脚はいつものように持参していないのでどうしようかと思ったけれども、ともかく写真を撮った。最近、塾で小学生に教えていて、集中が途切れそうになると、神奈川の地形がどうしてできたかの話をすることがある。なんか胡散臭そうにしているけれど、興味は持つようだなあ。この前なんかノー…

  • 雑記

    この前散歩に行ったときに、相模川右岸の中津原台地の方から相模野台地が河岸段丘だとわかる写真を撮った。この前見つけた貝の化石を眺めていたら、以前から言われている海洋の酸性化のことを考えてしまった。最近は学校で教え始めているところもあるようだけれど、教科書に載っているレベルではまだないと思う。だけれども、この問題は地球環境問題だけでなく理科の教育的価値も高いなあ。そもそも、雨水は酸性雨でなくても、もともと酸性なのに、海水はアルカリ性である理由をまず理解しないといけない。高校生だったら化学平衡の計算の題材としてもってこいだ。 ヘンリーの法則も使うし、大学入試問題に出題しても良いくらいだ。

  • 散歩 (4)

    またまた同じ方面を散歩した。大山ばかり撮っているので、丹沢山の方を撮った。ツキガイモドキ (ルシノマ) 属の一種と思われる化石を前回に引き続き、合弁の状態で見つけた。陸から海底に有機物が堆積すると、その堆積した有機物の分解の過程で酸素が速やかに不足し、酸素ではなく海水中に含まれる硫酸 (イオン) を酸化剤として呼吸する嫌気性細菌により、硫化水素と炭酸水素イオンが生成される。海底表層にいるツキガイモドキは体内に化学合成細菌 (硫黄酸化細菌やメタン酸化細菌) を共生させているらしい 。これらの細菌は酸素を酸化剤として硫化水素やメタンを酸化してエネルギーを得るのだが、ツキガイモドキはそのエネルギーを…

  • 散歩 (3)

    性懲りもなくまた同じ場所へ散歩へ行った。「無人駅」「ホームはひとつだけ」「前に人家がある」その他もろもろが気に入って、JR相模線の下溝駅を使って移動することが一番多い。三度目になると、だんだん色々なことがわかってきて、化石採集の方も、殻付きで残っている比較的状態の良い貝化石を見つけることができた。

  • 散歩 (2)

    中津層群周辺の散歩が面白かったので、新年早々また出かけた。相模野台地が相模川の河岸段丘ということは知っていたが、段丘崖をじっくり見たことがなかったので、前回の散歩以上に面白かった。見たのは相模川の現在の河床 (氾濫原) と下段の陽原段丘の段丘崖である。木の根に覆われているところが「黒土」、その下にローム層 (上に黄褐色、下に暗褐色のものが見える) があるが、段丘ができた年代が一番新しいだけにローム層は、2 m ぐらいしかない。その下に細くあるのは、1 万数千年前の古冨士火山泥流層だろう。そしてその下から当時の河床だった礫層が見える (川の流れに沿った石の並びが見られる) 。その下の地層を中津層…

  • ちばてつやの少女漫画

    『ユキの太陽』が宮崎駿の処女作だということとはあまり関係ないし、漫画を特別好きという訳でもないのだが、ちばてつやの少女漫画にだけはなぜか執着があるらしく、つい最近も気がついてみると『島っ子』『みそっかす』『アリンコの歌』『リナ』『ユキの太陽』『テレビ天使』などを読み耽っていた。最近、筒井康隆と蓮實重彥の『笑犬楼 VS. 偽伯爵』を読んでいたら、蓮實重彥の『時をかける少女』論が書き下ろしであったのだが、そこでは角川文庫新装版の『時をかける少女』のカヴァーイラストにある少女の「洒落た色彩の」ショルダー・バッグが貶されていて、「その時代——戦後の昭和ともいうべき過去の一時期——の日本の女子中学生たち…

  • 散歩

    天気が良いので、いつもより遠出して相模川の上流、中津層群が露頭に見られる方まで出かけた。中津層群の地質年代は、新生代第三紀の終わり (後期鮮新世) から、第四紀の初め (前期更新世) の約 350 万年から 200 万年前で、河川ではなく海で堆積した地層となり、当時の様々な貝の化石が出てくることで知られている——と、話には聞いていたものの自分では採集したことはないので、散歩のついでに試してみると、運よく見つけることができた。二番目の写真の貝は長軸方向が 5.5 cm ぐらいあって一番大きかった。この時期、植物よりも地層観察が楽しそうだが、いかんせん、近所は関東ローム層で覆われていて、東京軽石層…

  • 神奈川県公立高校入試問題から

    年度の問題である. ときどきというか, しばしばというか, 入試問題の過去問集に掲載されている解答になぜこんな不思議な解き方をするのだろうと思うことがある (人のことは言えないが).【問】 【解】 問題集の解答では を延長して求めているのだが, なぜ比を求めるところの線をわざわざ伸ばすのか不思議な解き方をするなあと思った. 普通に, を通る平行線を引けばよいではないか.台形 を横切る平行線の線分 の長さを求めるのはよくある基本問題の一つである. 加重平均で求める方法もあるのでここではそれで求めてみる (もちろん, 台形に対角線を引いて二つの三角形に分割して線分の和として求めてもよい). とする…

  • 九大入試問題から

    理系の問題である. いままでの知識で解ける問題だから詳しくは書かない. ところで, 大正九年に初版が出されて, 百数十版を重ねたという『わかる幾何学』の改訂版を遅まきながら入手した. 改訂版なので当時の趣きがどれほど残っているのか定かではないが, 「緒言」にはこんなことが書いてある.「殊に幾何学は数学中の暗記物であるから, 問題までも記憶すべきである」なるほどなあ. やはり秋山武太郎は, わかりやすい嘘は言わない人だ.【問】 【解】 (1) 問題文の中点云々は, 四面体が等面四面体であることを別の言葉で言っているだけである. 等面四面体は直方体に埋め込まれるから, 直方体の稜の長さを , , …

  • 京大入試問題から (6)

    年の問題. これは中学生で解けるなあ. 大学入試問題だから三角関数を使ってみよう (中学生はピタゴラスの定理を使えばよく, 手間はそれほど変わらない).【解】 から に垂線を下ろし, 足を とする. は (直角) 二等辺三角形なので, は の中点である. は と垂直, また与えられた条件から, とも垂直である. したがって, は平面 と垂直である. ゆえに, は, と垂直である. これより, は二等辺三角形で である. また, 平面 は を含むので, 平面 と垂直である. このことから, は, から (平面 と平面 の) 交線 に下ろした垂線の足に他ならない. とすると, 余弦定理より,これか…

  • 京大入試問題から (5)

    年の文理共通問題. 正確な記憶は残っていないので間違えているかもしれないが, 問題を見ていてると, 清宮俊雄先生がある雑誌に書かれていたことを思い出した. いつ頃のことなのかは覚えていないが, 清宮先生が中学校の数学の教科書の校閲を依頼されて内容を確認されると, 「相似の位置」の説明のところに, 相似な三角形を対応するそれぞれの頂点を結ぶ 本の直線が一点で交るように置くと二つの図形は「相似の位置」にあるというような記述があって, それも清宮先生が指摘されるまで長年そのまま掲載されていた内容だそうで, 国定教科書にある記述だったらなんでもそのまま信用するのかと明らかに怒っておられるのが感じられた…

  • 都立国立高校入試問題から

    高校入試問題に戻って, 年度の国立高校入試問題の一部だけやってみた.立方体の 辺の長さは cm である.【解】当たり前といえば当たり前なのだが, 「直線と平面が平行である」についてもっとも基本的なことを確認しておく. 直線と平面が平行であることの定義は, 「ひとつの直線とひとつの平面が共有点を持たない」ということである. それで, ここから出てくるもっとも基本的なことは, 「 つの直線が平行ならば, その一つの直線を含みもう一つを含んでいない平面は, 含まれていない直線と平行である」ということである. 簡単だが証明しておく.直線 , を平行な 直線とする. を含み, を含んでいない平面を とす…

  • ゴーシュ四辺形

    宮澤賢治も詩の中で使っている「ゴーシュ四辺形」とはすべての辺が同一平面上にない四辺形のことである. 下の図で四辺形 はゴーシュ四辺形で, 四辺形の対角線 で分けられる と は同一平面にはない. いま, ゴーシュ四辺形の向かいあった辺 , の中点をそれぞれ , とする. そしてその二つの中点を通る任意の平面 をとり, 平面 がゴーシュ四辺形の残りの辺, , と交る点をそれぞれ, , とする. また, ゴーシュ四辺形の頂点 , , , から平面 に下ろした垂線の足をそれぞれ , , , とする. そうすると , は中点であるから, であることが三角形の合同からすぐにわかる. すると,であり, この…

  • 京大入試問題から (4)

    どういう誘導なのかよくわからないまま解いてしまった. の条件があると はもっと簡単に解けるということなのだろうか. を証明するために無駄な条件がある気がする.【解】(1) 合同な三角形を確認すると, である. が二等辺三角形であることを証明する. と において, 上の合同より , 中点だから, , また, 上の合同より, なので, 二組の辺とその間の角がそれぞれ等しいことより, と は合同である. 合同な三角形の対応する辺の長さは等しいので, である. したがって, は二等辺三角形である. は二等辺三角形 の底辺の中点なので, は の垂直二等分線で, は, に垂直となる. 下の図は平面 が, …

  • 京大入試問題から (3)

    年の京大入試問題は, 文系と理系で出題内容が少し違っていることに気がつく. 最初の方が文系の問で, こちらは「重心」, 次は理系でこちらは「外心」である. どちらも同じようなものであり, まとめて考える. 【解】 四面体の各頂点から対面に下ろした 本の垂線はいつも一点で交るわけではない. しかし, この場合垂線は, 文系出題では四面体の重心, 理系出題では四面体の外心で交ることになる. 四面体の重心, 外心の存在はいままでの記事ですでに扱った. ここでは垂線の交点を とする. 上の図で, は平面 に垂直, は平面 に垂直であるから, 平面 と平面 の交線 は, とも とも垂直である. したがっ…

  • 等面積四面体は等面四面体

    年の京大入試問題 (文理共通) に次のような問題がある.この問題はただ解くだけだとつまらない. 『バン () の定理』と呼ばれ「四面体のすべての面の面積が等しくなるのは等面四面体に限る」という内容の典雅な定理がある. もし, この定理を認めるならば京大の入試問題は非常に簡単である. つの面の面積が等しい四面体は, つの面の三角形がすべて合同な四面体, つまり等面四面体である. 等面四面体は直方体に埋め込まれるのだった. 一方, ねじれの位置にある辺がすべての組で互いに垂直な四面体を埋め込む平行六面体の面はひし形である. 両方を満足するのは立方体しかない. 立方体に埋め込まれる四面体は正四面体で…

  • 東大入試問題から (3)

    年の文理共通問題. まず, 直前の記事を確認して欲しい.【問】 【解】 この問題の場合が簡単なのは, の外心 に立てた垂線上に があり, の外心 に立てた垂線上に があることである. なぜなら だからである. と が相似であることを利用して を求めることにする. と の面積 は,これから, 外接円の半径 は, ( の公式を用いて)したがって,から,となる. //

  • 空間の外心

    次のことを幾何学的に証明しておこう. 球面は, 中心の位置と半径が与えられていれば描けるのだった. 同一平面上にない 点を通る球面をただ一つ作ることができる. 【証明】同一平面上にない つの点を , , , とする. つの点は同一平面上にないので, と は, 同一平面上にはない. の外心を とし, の外心を とする. 外心 , からそれぞれ に垂線を下ろすと, 両者の垂線の足は の中点で一致する. その中点を とする.直線 と は点 で交わっているから, この 直線を含む平面がただ一つ定まる. この平面を とする.直線 は, 直線 とも直線 とも垂直だから, その 直線を含む平面 と垂直である…

  • 京大入試問題から (2)

    年理系の問題だが, これも以前にやった証明をちょっと変えるだけである.【問】 【解】 四面体 の重心を とし, , の重心をそれぞれ , とする. また, の中点を とする. と が相似であることから, と は平行で, である. したがって, と も相似であり, である.下の図で, , , , はそれぞれ, 四面体 の辺 , , , の中点とする. 中点連結定理より, と は平行で, は の半分の長さである. 同様に と は平行で, は の半分の長さである. したがって, と は平行で長さが等しい. このことから, は同一平面にあって平行四辺形である. 平行四辺形の二つの対角線はそれぞれ他を二…

  • 逆の証明 (三面角の存在条件)

    面角についての定理を つ前の記事で紹介した. 与えられた つの平面角が つの 面角を作るための必要条件については, 以前の旧制中学の学習雑誌の記事に証明が書いてあるが, ここでは十分条件であることの証明をあげておきたい. 高校数学でしばしば役にたたないと揶揄される「三垂線の定理」の練習問題のような証明となっている. 与えられた つの平面角が つの 面角を作るために必要十分な条件は, そのいずれの平面角も他の つの和よりも小で, かつ つの平面角の和が よりも小であることである. 【十分条件であることの証明】 つの平面角を , , とし, そのうち, 最大のものを とする. 下の図のように, 点…

  • 東大入試問題から (2)

    年理科後期. これは, 前問までに分かったことを使えばあっという間に解ける.【解】 (1) 前の記事の図を下にそのまま流用させてもらって, , , とし, 直方体の辺の長さを , , とすれば, 問の の長さは の長さに他ならない. から,したがって,(2) 求める体積を とすると,とおいて,//

  • 埋め込み

    京都大学の有名な入試問題に, 三角形 を鋭角三角形とする。このとき、各面すべてが に合同な四面体が存在することを証明せよ。 というのがある. という訳でもないが, 前の記事の問題は, 等面四面体の問題だったので, その図を使って直方体へ四面体を埋め込んだ図を書いてみた. もちろん, 直方体の辺の長さを最初に計算して出してしまえば, それまでのだが, それでは面白くないので, 別の方法で作成してみた.まず, 四面体の重心を求めて作図する方法がある. 四面体の頂点と, その頂点に向かいあっている三角形の面の重心を結んだ線 (全部で 本ある) は同一点で交わり, これを四面体の重心という. 四面体の…

  • 東大入試問題から

    年理科の入試問題から. いままでの延長で解ける.【問】 【解】 (1) 展開図を書くと の つの辺の中点を結んだものが になっている. 垂線の足 は, 前の記事でやったように, から辺 , から辺 , から辺 に下ろした垂線の交点であり, の垂心である. とおいて, から, で . とおいて, から, . したがって, . 天秤法により, と求まる. したがって,であるが, あとは と を と で表す計算をひたすらやれば,となる. まず切り口の平面が, 頂点 を含むときがすぐに作図できる. 他のところの切り口は、この切り口に平行である.まず, を求める. とおいて, 方べきの定理より,から, …

  • 垂線の長さと足の位置

    高校数学 (数 ) の参考書にあった問題.【問】 , , , である四面体 において, 頂点 から平面 に下ろした垂線 の長さを求めよ.【解】これも展開部分図を書いて垂線の足 がどこにあるか, 作図するのが早いだろう. 展開図の状態で, 四面体の頂点に相当する , から, それぞれ , に垂線を下ろし, その垂線の交点を とすれば, これが立体の状態で から平面 に下ろした垂線の足の位置である. ついでに垂線 の長さも作図で求めてみると, の位置から に直交する線を引いて, を中心とする半径 の円を描いて交点 を求めれば, が求める垂線の長さである.なぜなら, 最初の立体図で, 平面 は に垂…

  • 京都大学入試問題から

    年京都大学理系甲の問題である. 空間ベクトルで解くのが普通だろうが, (馬鹿らしいので) 敢えて使わずに高校入試問題的に解いてみる.【問】 【解】 点 から, に垂線を下ろし, その足を とする. と は垂直なので, は, 平面 と垂直である. したがって, は, と垂直である. 四面体の展開部分図を下に示す. なので, 四角形 は同一円周上にある. また, は円の直径である. 四角形 の対角線は直交しているので, , であることがすぐにわかる (円の中心から弦への垂線は弦の垂直二等分線である). 立体図に戻って, , は, 二等辺三角形の垂直二等分線である. したがって, , は, と直交す…

  • 同一法

    同一法による証明の例. 下の図のように直角三角形 の斜辺 の中点を とするならば というのをわざわざ同一法を使って証明してみる. 円周角は中学 年生にならないと習わない.【証明】 は鋭角だから, となるように線分 上に点 を必ずとれる. すると は二等辺三角形である. また, だから, であり, も二等辺三角形である。以上より, であり, 点 は線分 の中点 (線分 上に一点しかない) と一致する. したがって, で である. //

  • 大学入試問題から

    熊本大学の入試問題らしい.【問】 図の直方体において, 辺 , , , の中点をそれぞれ , , , とするとき, 次のことを証明せよ. 線分 , は同一平面上にある. 上の平面と線分 との交点は の中点である.【証明】 1) 辺 , の中点をそれぞれ , とする. 平面 において, 四角形 は平行四辺形 (長方形) であるから, と は長さが等しく平行である. 同様にして, と は長さが等しく平行である. いま, 上の点 を任意にとり, と点 を含む平面 を考える. と (平面 と平面 の交線) が平行なので, は平面 に平行である. したがって, は平面 と平面 の交線 (これを直線 とす…

  • 展開図

    某私立高校の 年度の入試問題【問】 下図は, 辺の長さが の正三角形 面と 辺の長さが , , の直角二等辺三角形 面できる六面体の一部である.(1) 残りの 面を解答用紙に記入せよ. (2) この六面体の体積を求めよ. (3) この六面体において, 点 , 間の距離を求めよ.【解】 (1) 落ち着いて問題文を読むと, 残り 面は, 直角二等辺三角形だとわかる.それと, 正三角形の部分だけ見ると正四面体の展開図の一部である. ※ には が重なり, には が重なる.(2) 四面体が つくっ付いた形なので, それぞれ計算して合計すればよい.(3) 対称面で切断すると, だから, から に垂線を下ろ…

  • 都立日比谷高校入試問題から

    年の問題である. で, は の外心だから, である. 中点連結定理より, は, とも とも垂直なので, は平面 と垂直である. したがって, は常に である. このことから, の面積が最小になるのは, の長さが最小となるときであることがわかる. そして, それは が と垂直のときである. なぜなら, が 上の他の位置にあるとき, その点を とすれば, は, 直角三角形となるが, 直角三角形の最大辺は直角の対辺である斜辺 となるからである (他の 角は鋭角である).より, したがって, となる.下の図のように, を相似の中心として, が 上の点 の位置にくるよう相似変換する (そのためには, と…

  • 福島県公立高校入試問題から

    年の問題である. 時間があるときは面白い問題である. 時間がないときは……。【解】 (1) (2)-①下の展開部分図で,である. ひし形 の面積を基準にとり, ひし形の面積を 倍とすると, の面積はその 倍であり, の面積は,倍である. したがって, (2)-②下の断面図で, だから,したがって,である. 正四面体 の体積は,三角錐 は, 正四面体 に対して底面積が 倍, 高さが 倍だから,答えは, である. //

  • 東京都公立高校入試問題から

    2022 年度である. 問 (2) は, すでに灘中の問題で出てきたように, 等体積の二つの三角錐に分割して求めるのが簡便だろう. 灘中の問題の場合はどちらの三角錐で体積を計算しても手間は変わらなかったが, こちらは変わるなあ. しかし, 空間図形の問題を捨てる必要がどこにあるのだろうか. なお, ここでは採らなかったが, から平面 への垂線の長さも求めることができる. その場合, 垂直な面を探すには, 立体の対称性を利用した方が早い. この場合, , の中点, の中点を含む平面が対称面となり, たとえば, は, と の中点を結んだ線に対しても, の中点と の中点を結んだ線に対しても垂直となる…

  • 埼玉県公立高校入試問題から

    年度の問題.【問】 下の図のように 辺が の立方体 があります. この立方体の対角線 上に, となる点 をとります. このとき, 次の問に答えなさい. と が相似であることを証明しなさい. 線分 の長さを求めなさい. つの点 , , , を頂点とする立体の体積を求めなさい.【解】 (1) 点 , , はひとつの平面を決定する. , から, は平面 に垂直である. したがって, である. 仮設より, である. ゆえに, となる. は共通角で等しい. 組の角が等しいので, と は相似である.(2)だから,答えは, である.(3) つ前の記事で示したのと同様にして, は, 平面 に平行である. した…

  • わかる幾何学

    秋山武太郎の『わかる幾何學 立體篇』(昭和 七年) をパラパラと見ていたら, かなりの内容が, 以前感心したので紹介した昭和七年創刊の旧制中学生向けの学習雑誌の記事の内容とかぶっていることに気がついた. あの記事の内容は, 『わかる幾何學 立體篇』がベースにあるダイジェストなのだ. 道理で素晴らしいはずである. 秋山武太郎のことは, いろいろな人が書いているが, 湯川秀樹も『旅人』にこう書いている. ただ, ここに書いてある「わかる幾何学」は, 平面幾何の方だとは思うが内容は未見である. 幾何学によって、私は考えることの喜びを教えられたのである。何時間かかっても解けないような問題に出会うと、フ…

  • 別解?

    ネットを見ていたら, 下図において, 側面がすべて長方形の三角柱で, , , , のとき, 点 から, 平面 に下ろした垂線の長さを求めよという問題があった.普通に三角錐の体積から求めれば良いのだが, 別解といわれる方法がどうもしっくりこないので, じゃあ自分だったらどう解くのか考えてみた. まず, は とも とも垂直なので, は, 平面 に垂直である. 平面 は, を含むので, 平面 と平面 は垂直である. 二つの平面の交線は であり, したがって, から平面 に下ろした垂線の長さは, 交線 に下ろした垂線 の長さである.ところで直線 は平面 に含まれているが, 平面 と平面 の交線は, 直…

  • 灘中の入試問題から

    年の入試問題である.【問】 【解】 ① 四角錐を点 , , を含む平面で切断して, 三角すい , の体積の和として求めればよいが, どちらも同じ体積なので, 片方の体積のみ求めて 倍すればよい. 答えは ② あまり上手く作図できなかったけれど, 求めるものは四角すい の体積である. 同じようにして, 三角すい , の体積の和として求める.三角形の相似から 今度は天秤法を使って, の体積は, の体積の であり, の体積は, の体積の である. したがって, 求める四角すい の体積は, //

  • 空間認識のイマージュ

    ドゥルーズの『差異と反復』の「思考のイマージュ」に倣って, 中学数学が真に開始することができないのは, その開始が「すべての人は空間というものを知っている」という暗黙の前提 (ドグマ) に立っているからだ. と, 思わず呟いてしまいたくなるのは, 以下にある 2021 年度の東京都立高校入試の空間図形の問題の正答率, 問1) 20.2%, 問2) 3.6% を見たときである. 数字をすぐには信用しないことにしているが, これには少々驚いた. 自分で解いていて, 「なんだこれは, サービス問題なのか」と思ったからだ. これが, 前回の大阪府の入試問題ならば, 試験時間も少ないし仕方がないかとまだ…

  • 大阪府公立高校入試問題から

    年度の空間図形の問題. 太字にしたところは, 前の直交条件とともに空間図形の問題を解くときには常に頭においておくべき最低限のものである. なお, 最後の 3) - ② は正答率 % とある. 【解】 (1)-① (1)-② から,これを解いて のものをとると,(2) ということだから, したがって, を底辺としたときの高さは,(3)-①三角錐 の体積 は,メネラウスの定理より, したがって,点 を含む平面はただひとつ存在する. また, 点 を通り直線 に平行な直線もこの平面上に存在する. 下図のように, その平行線と との交点を とする. 直線 はこの平面と平面 の交線であり, はもちろん, …

  • 神奈川県公立高校入試問題から

    年の数学の問題である. こういった立体図形の問題を解くのに「立体感覚」が必要だと言うのは真っ赤な嘘だと思っている.【解】(ア) 答えは 番.(イ) 展開図より得られる立体は三角すいだと問題文に書いている. と は直交している. は に重なるのだから, 三角すいの状態で, と は直交している. 同様に, と は直交している. ところが, と は三角すいの状態で一致する. 直線と平面の垂直条件 (交る二直線のそれぞれに垂直な直線はこの交わる二直線が定める平面に垂直である) より, 平面 と直線 は三角すいの状態では垂直に交わる. 求める三角すいの体積は,(ウ)GH がひとつの直線となるよう展開図の…

  • 引き算

    どのくらいの時間で自分は 桁 × 桁の乗算を暗算できているのか, 調べてみたくなって Ninimaths というアプリを使って寝起きでない時間に測ってみたら平均 15 秒前後だった. 計算の訓練はしておらず, 計算の工夫だけなのでこんなものだろう. 結局わかったことで一番重要なのは, 約 % の確率で現れる同じ数字の有効な配置のときに計算をもっとも短縮できるということである. その代表例は, 積和をと暗算することである. もっとも, 異なる数字の和が を超えない場合には, 普通に計算した方が早い. ともかく, 細かい工夫がいろいろある. たとえば, の場合, 積和は, となるが, この十位の …

  • ノリ式計算法 (3)

    計算の適用範囲を更にひろげるために, 前回の つの基本パターンをもう少し拡張しておこう. といっても大した話しではなく, 「二つの数字の和が になる」の の部分に と の場合も加えるだけである. ただし, と の場合は, 残り つの同じ数字が偶数であることが必要である.計算例を挙げておく.合計が の場合は, 同じ数の 倍を加えればよい.合計が の場合は, 同じ数の 倍を加えればよい.この基本パターンをもとに修正していくやり方はまったく前と同じだが, 例外として同じ数が奇数になる場合については特別に与えておく必要がある. 以下に例を示す. 例を見ればどう修正するかはすぐにわかるだろう. 合計が …

  • ノリ式計算法 (2)

    ここでは, もっと実用的な側面で考察する. ここで述べる方法を使用すると, 詳しくは数えあげていないが, 過半数の二桁×二桁のかけ算を簡略にできる.まず, 基本知識として以下の つをあげる.1) のように の位の数字が同じで, の位の数字の和が になる場合は簡単に計算できる. 2) のように の位の数字が同じで, の位の数字の和が になる場合も簡単に計算できる.3) のようにひとつの数字の の位と の位数字が同じで, もうひとつの数字の の位と の位の数字の和が になる場合も簡単に計算できる.以上の つの計算法に習熟したとして, 次の場合の二桁×二桁の乗算はこの方法の候補になる. 被乗数を と…

  • ノリ式計算法 (2桁 × 2桁 の乗算)

    のように の位の数字が同じで, の位の数字の和が になる場合は簡単に計算ができた. これは, 計算結果の の位が, と簡単になる (キリがよくなる) からである. そうすると, のように の位の数字が同じで, の位の数字の和が にならない場合は, なので, として, とすぐに計算できる. 補正項が入るだけだ. 他の例として, 今度は, のように の位の数字が同じでなく, の位の数字の和が になる場合を考えてみると,だから, として である. 他の例として, 今度は を に揃えて である.最後に の場合のように の位も の位も異なる場合は,したがって, として,となって, 結構簡単である. 補正…

  • カラツバ法

    大きな数のかけ算は, 基本的に筆算などしないことにしているが, 計算機科学のカラツバ法はときどき遊びでやってみることがある.たとえば, を計算するのにしたがって,二桁のかけ算を 回実行すれば良いのがポイントなのだ. これくらいのかけ算だと有難みはあまりないが, 桁数がもっと増えてくると 回のかけ算が 回ですむ差は大きい. なんと, 1960 年になるまで, このかけ算のやり方を人類が思いつくことはなかったのである.二つ前の記事の のかけ算のような場合は特に簡単で, 本当は力任せにやったって大して時間はかからない. この計算に基本的にかけ算はいらず, をつけるのと足し算だけである.

  • そして再び算数

    比喩でもなんでもなく, 文字通り人は人生で何回かけ算をする必要に迫られるのか知らないが, 特定の人にとってはかなりの回数に上ることは事実だろう. 二桁以上のかけ算は技術用語で「積和演算」といって重たい部類の計算として知られている.算数では「計算の工夫」というのがあって好きな言葉である. 一時期「インド式計算」などという言葉があった (今でもあるのかもしれない). 国会図書館のデジタル検索で「速算法」と入れて検索してみれば, 明治, 大正, 昭和初期にかけて夥しい数の書物が表示される. 中には怪しげなものもあって, とても全部は見きれないがその何冊かを実際に読んでみれば,「インド式計算」について…

  • センター試験の問題から

    年のセンター試験の問題をやってみる.【問】 の整数解のうち, が正の整数で最小のものを求めよ.【解】ほとんど,こけおどしだが, 時間がない中で計算ミスは避けたい.を解くだけだが, さすがに の前の係数が大きいので, 簡単にする必要がある.まず, の倍数のテーブルを作ってからやった方がミスが少ないと思う ( 倍ぐらいまででよかったかもしれない). それで, 法を として,後は,を解けばよい. これくらい簡単になっていると, 互除法を使わなくとも右辺を の倍数にどうすればできるか考えればすぐ解ける.割算は法の値と の前の係数が互いに素であればできるので,したがって, 正の整数で最小のものは,である…

  • 高校数学 (2)

    いろいろ試行錯誤しているうちに, 一次不定方程式の解き方は, やっぱり合同式がもっともよいという結論に達した. 解くのに試行錯誤さえいらず, どんな場合にも解けることがわかったし計算も簡単である. 自然数解が簡単に扱えるので適用範囲も広い. 以下の問題を最終結論に達した方法で解いてみる.【問】 次の方程式の整数解をすべて求めよ.【解】 合同式,を解けばよいのだが, まずユークリッド互除法を実行する. 後は, 上の互除法の式に合わせて順番に合同式を計算するだけである. 最初に, とする.したがって, を整数として,これを代入して,となる.//灘中の自然数解の問題をこのやり方でも解いておこう. 問…

  • 高校数学

    前回の中学入試についての記事は, もちろん中国剰余定理が背景にあるわけだが, 同じようにして解ける高校数学の問題をやってみる. 以下の解法は参考書には挙げられていないので, 書く気になった. 参考書には, 合同式を使った解法が別解として挙げられていて, それは,をいきなり解くやり方である. ※ なお, 連分数を使って解くやり方は以前の記事で示した。しかし, ユークリッド互助法を逆にたどるやり方を含めて, 右辺を としてまず解くやり方は, 前記事の問題のような場合, 出てきた結果を 倍するのだろうか. ちなみにこのやり方でを実際に (かなりの時間をかけて) とくと, を整数として,, となり, …

  • つるかめ算ではない

    灘中の入試問題だったと思う.35 も 3890 も 5 で割り切れ, 66 は 5 で割ると 1 あまる. したがって, かきの個数は 5 で割り切れる. そこで, かきの個数を ⑤ とおく.66 × ⑤ = 66 × 5 × ① = 11 × 30 × ① = 330 × ①35 は 7 で割り切れ, 3890 は3890 = 3500 + 350 + 35 + 5だから, 7 で割ると 5 あまる. 330 は, 330 = 280 + 49 + 1だから, 7 で割ると 1 あまる. したがって, ① は, 7 で割ると 5 あまる. そういった数でいちばん小さいものをとって,① = 5…

  • つるかめ算 (2)

    前の記事のちょっとした補足である。つるかめ算の解き方が、「全部つるだとすると」「全部かめだとすると」式で、なぜ「つるもかめも足が 2 本だとすると」「つるもかめも足が 4 本だとすると」と仮定しないのかが不思議だった。昭和初期 (1929) の算数の本の「鶴龜算」を調べたら、実は後者のように仮定する解き方も教えられていたことがわかった。しかし、上図を見るとわかるように、その説明の仕方はなんとかめの二本の足を刃物で切り落とすというものである! 普通、子供にこんな残酷な説明はしないだろうから、「全部つるだとすると」「全部かめだとすると」式が主流になったのだと思う。しかし、考え方は「切り落とす」方が…

  • つるかめ算

    いろいろヴァリエーションがあって面白いなあ. つるかめ算はやはり表を使って説明するのがわかりよいようだ. 個人的には「全部つるだとすると」「全部かめだとすると」よりも、代数に慣れているせいか「つるもかめも足が 2 本だとすると」「つるもかめも足が 4 本だとすると」の方を先に思いついてしまう (つるとかめの頭の合計が与えられているので)。同じことを言い換えているだけである。【問】ある弁当屋では, A 弁当を360 円, B弁当を480 円, C 弁当を550 円でそれぞれ売っています. 3 種類の弁当をあわせて9 個買ったところ, 代金は 4410 円でした. A 弁当を何個買ったか求めなさい…

  • 九九について

    最近改めて気がついたのだが、九九の七の段を頭の中で、たとえば「ヒチシニジュウハチ」と言っている。こんなところに西日本で教育を受けた痕跡がまだ残っていたのだと感動してしまった。七の段の九九が怪しい子が多いと感じるのは、もしかして「シチシニジュウハチ」などと唱えているからなのだろうか。「ヒチシニジュウハチ」と唱えた子は、その段がとりわけ覚えにくかったという記憶はない。(もっとも九九なんて覚えていなくても、2 倍することと、2 で割ることと 10 倍することの計算ができれば後は足し算、引き算で用は足りるが。)九九は奈良時代からあるようだが、明治の途中までは「半九九」だった。2 x 8 を覚えて 8 …

  • 分数計算

    今度は前にやった問題を含めてなるべく分数を使って解いてみる. 大正時代の本を読んでいたら 『未知数を一とせぬ分数の新しい解き方』という本があって, たしかに初めての人はなぜ とおくのか疑問に思うかもしれない, もっともだなあと思い, 「未知数を 」とおくのは未知数を基準数にとり, とは基準数の 倍の意味にすぎないことを明示するようにした. 中学になると と書きますとならって, 倍を意識しなくなるわけだが, そこに 倍があることを思い出してみるのも, まんざら無益とは言えないような気がする. 【問】 さんと さんの所持金の比は でしたが, 人とも 円のおこづかいをもらって 人の所持金の比が にな…

  • ワン・プラス・ワン

    『女は女である』(1961) と『ワン・プラス・ワン』(1968) を見た。『女は女である』(1961) を見ると山田宏一の名著『友よ映画よ』(1978) を読み返さずにはいられない。そうだった、『恋人のいる時間』の主演は最終的にはマーシャ・メリルとなったが、もともと浜美枝の予定だったんだ。『はなればなれに」(1964) はこの間見直したばかりだけど、やっぱりもう一度見よう。「ワン・プラス・ワン」なので、算数の 桁同士の数字の掛け算について書いてみた。これを暗算するときは、 としているが、いろいろなやり方があるだろう。 のような場合は簡単になる。 のような場合もだ。 のように の位の数字が同じ…

  • 恋人のいる時間

    JLGの『メイド・イン・USA』(1966) と『恋人のいる時間』(1964) を見た。’80 年代初期に一度みたきりの『ウィークエンド』『ブリティッシュ・サウンズ』『中国女』『東風』なんかも見直してみたいなあ。たしか、これらの作品は自主上映していたカトル・ド・シネマの上映会で見たんだ。’80 年代に公開された美しい『パッション』(1982)、『カルメンという名の女』(1983)、『ゴダールのマリア』(1984) も見直そう。ところで、『恋人のいる時間』(1964) には、ベルナール・ノエルとマーシャ・メリルが次のような会話をするところがある。 「イタリア映画の女優のようにわき毛を伸ばせよ」 …

  • JLGの死

    JLG が亡くなったことについて、彼の作品を完全に見たわけでもない自分に何も言う資格はない。ただ普段と明らかに違っている自分を発見したのは、塾で小学生に国語を教えていて——それは古典の教材だった——その小学生相手にあろうことか古典の大事さをとうとうと JLG を引き合いに出しながら語ってしまったときである。たしか、昨日亡くなった知らせがあった JLG はヌーヴェル・ヴァーグといいながら、昔の映画を浴びるように見てその「新しさ」を作りあげた人なんだ。古典は現在と関係のない「古い」ものではなく、そこにありながら見落とされていた何かを発見することでまったく「新しい」ものに生まれ変わるんだ。古典の大事…

  • マルイチ算

    小学 5 年生にマルイチ算教えたら、「スーパーサイヤ人になったみたいだ」と感謝された。そんなに喜んでもらえて恐縮の至りである。算数の問題は比を多用して解くものが多いが、これが分数だと は 2 倍すると になる数のことだし、 は 3 倍すると 1 になる数字のことだから、倍率が違う数を (倍率を揃えない限り = 通分しない限り) 足したり引いたりはできないことがわかるが、比の場合は 単位の大きさが違うことが表記上わからないので、比の数字を○などで囲んで区別して表わすのはよい工夫だと思う。 【問】 AさんとBさんの所持金の比は 4:1でしたが,2人とも 600 円のおこづかいをもらって2人の所持金…

  • 雑記 (2)

    ネットで見かけた問題をただやってみた. どこかの高校入試の問題だと思う. 問題の要旨は一辺の長さが の正方形 で, 辺 上に点 を , 辺 上に点 を になるようにとって、図のようにするとき、 と の面積比を求めよというものである。(解)四角形 の頂点は同一円周上にある。まず、相似から、, である。補角をなす場合の面積比を考えれば、したがって、である。//※ こんなことをしなくても、もっと簡単なのは、 から に垂線を下ろしてその足 (点 とする) との距離を相似で求めると、 だから、底辺共通よりである。

  • 雑記

    前に紹介した、神奈川県公立高校の2019年入試問題で、解き方はいろいろあるのだが、面積比を使って長さの比を求めるやり方は意外と簡単だなあと最近思ったので、ちょっと記事にしておく。この問題は実際の入試で正答率 2 % 台だったのである。【問】 三角形 があり、辺 の中点を とする。また辺 を三等分した点のうち、点 に近い点を , 点 に近い点を とする。さらに線分 と線分 の交点を , 線分 と線分 の交点を とする。三角形 の面積を , 四角形 の面積を とするとき、 と の比を最も簡単な整数の比で表しなさい。(解), である。三角形 の面積を とおけば、 である。したがって、, と求まる。で…

  • 柔らかい土をふんで (7)

    小説の中で二回ほど出てくる曲『ブルー・ムーン』が、ビクトル・エリセの『エル・スール』(1983) の中で使われているクリップがあった。この小説は、’80 年代くらいに見て記憶が薄れてしまっている映画のことをあれこれ思いださせてくれる。それで、ビクトル・エリセに蓮實重彥がインタビューした文章を読んでいたら『ブルー・ムーン』のことが書かれていた。そうか、ダグラス・サークの “There's Always Tomorrow” (1956) に主題歌として使われていたんだ。「むろん私はその曲で彼女と踊ったこともなかったし」と小説にはあるが、この映画ではバーバラ・スタンウィックとフレッド・マクマレイが『…

  • 柔らかい土をふんで (6)

    終わらない小説なのでいつまでも読んでいられるなあ。どうして読み終えたらよいのだろうか。描写の味わいはトリュフォーの『恋愛日記』 (1977) のキャメラであるネストール・アルメンドロスのようだと感じたが、トリュフォーの映画は ’80 年代に見たきりで、その後ほとんど見直していないので単なる印象である。思えば、’80 年代の東京の映画環境でもトリュフォーの映画は比較的よく名画座等 (たとえば、文芸座、銀座ロキシー、飯田橋佳作座、八重洲スター座、高田馬場パール座、日仏学院、アテネフランセ) で上映されており、1982 年には渋谷で特集上映もあって見ることが比較的容易だった。これは ’80 年代の東…

  • 柔らかい土をふんで (5)

    『映画、柔らかい肌』でサム・ペキンパーの映画の話を山田宏一としているところを読んでいたら「老保安官のジョエル・マクリーが老眼鏡を使って手配書だか契約書をこっそり読むところなんか、嫌味じゃなくて、いいのよね」というところがあってわかったのだが、『柔らかい土をふんで』の「ホリゾンズ・ウェスト」の章で「初老の保安官は、殺人犯の手配書を見るためにジャケットの内ポケットに入っている鉄縁の老眼鏡を取り出してかけなくてはならず」というところは、『黄色いリボン』のジョン・ウェインというよりも、『昼下りの決斗』(1962) の最初の方で金を輸送する仕事の契約書をジョエル・マクリーがトイレで読む場面の引用なんだと…

  • 柔らかい土をふんで (4)

    前回の記事で『黄色いリボン』が出てきた必然として、黄色の帯に「それはジョン・フォードにはじまる」とあって『黄色いリボン』のジョン・ウェインとジョーン・ドルーのスティル写真がある金井美恵子の『映画、柔らかい肌』(1983) に行き着いたのであるが、この『映画、柔らかい肌』を読んでみると、『柔らかい土をふんで』の映画の引用がもう少し分かるようになってきた。金井は『黄色いリボン』についてこう書いている。 ジョン・フォードの作品のなかで、この『黄色いリボン』が特に好きなのは、これが記憶のなかの最古の映画であるというばかりではなく、無数のラスト・シーンと無数のファースト・シーンを持つことによって、この映…

  • 柔らかい土をふんで (3)

    前の記事を書いてからあまり読んではいないが、「ロング・グレイライン」のところを読んでいると「家具の埃をはらっていた女中が歌を口誦む」ところがあって、最初その歌は、"Oh, Genevieve" だと思っていたんだが、歌詞はこう書いてある。 お、お、いと、しいジュヌヴィエーヴ、おお、いとしいジュ、ヌヴィエ——ヴ、おお、うなばらを、おおうなばらをわたって、なんじをつれもどさん、つれもどさん、みどりなすふるさとへ、ばらのいろのほおはあせ、かみはしろく、ひとみのかがやきうすれようとも、おお、ジュヌヴィエーヴ、うなばらをわたって、なんじをつれもどさん、みどりなすふるさとへ そう、ちゃんと読むとこの歌詞は…

  • 柔らかい土をふんで (2)

    冒頭の文を読んでから、現在のところ謎であるというしかない「なだらかな、かぼそい声は波の上に消えて行ったのかもしれない。」という短い文を挟んで、次の文を読むと「灰緑色に塗りかえたばかり」であったはずのフェンスのペンキはすでに剥げおちてしまっており、深沢七郎の『東北の神武たち』(1957) にある「タライのような月が、しゅう〳〵と音を立てながら昇り出した。」が水の主題にふさわしく「水蜜桃のような月が、シューシュー音をたててのぼりはじめ」と変奏されて引用され、ヴィスコンティによるものかブレッソンによるものかも定かには分からない『白夜』のような場面が突然出てきて何のことかと思っていると、「水の女」に「…

  • 柔らかい土をふんで

    表紙の後ろ姿の裸の女性はゴダールの『カルメンという名の女』(1983) のマルーシュカ・デートメルス——蓮實重彥は彼女のことを「世界で最も美しい肉体の持ち主」と評した——だと思うが、金井美恵子の『柔らかい土をふんで』(1997) はいままで読んだことはなかった。ただ、雑誌「ルプレザンタシオン」に部分掲載された「水の色」の章のところだけは読んだことがあって、そこにはどう読んだって、フローベールの『ボヴァリー夫人』でシャルルが惹かれていくエンマの髪の細部の描写をさらに徹底させた錯乱するような官能的描写があったことを覚えている。『柔らかい土をふんで』の古本を見つけたので他の部分も読んで見ることにした…

  • ニイナ

    メディアで名前をよく見かける紀藤正樹弁護士は靑木正兒の甥にあたるんだということをたまたま知った。最近、青空文庫にその靑木正兒が書いた『九年母』(1956) という随筆——鶴屋八幡の広報誌 「あまカラ」60 号に掲載されたもの——があるのを読んでいたら、こんな箇所があった。 さて雲丹は大人の食うものとして、われわれ子供に適したものにニイナといって、サザエに似てしかも小さな小さな貝があった。夏に家の近くの海で泳ぐ時、もぐっては石崖に付着しているこの貝を取るのが面白く、十数個もたまると持って帰って茹でてもらい、木綿針の先で、ぐるっと廻して、ほじり出しては食べる。よい加減の塩気があって磯くさく、旨いと…

  • ちょっとマゾヒスティック

    千葉雅也の『現代思想入門』がよく売れているらしい。それで思い出したのだが、浅田彰の『構造と力』が出版されたのが 1983 年のことだということである。この本に自分はほとんど影響を受けなかった。自分にとっての 1983 年は蓮實重彥の『監督小津安二郎』が出版された年ということである。そして 1983 年にはフィルムセンターで「ジョン・フォード特集」も開催されたのだから感慨深い。2022 年はどうやら『ジョン・フォード論』が出版された年として記憶することになりそうだ。その一年前の 1982 年で映画以外のことで記憶しているのは、高野文子の『絶対安全剃刀』が出たことであるが、一番覚えているのは、僅か…

  • さすらひの唄

    1985 年の暮れだったか 1986 年の年明けだったかも覚えていないし、どこの映画館で見たかさえ覚えていないが、ともかく封切りで見たことだけは確かに記憶に残っている相米慎二監督の『雪の断章—情熱—』(1985) をもう一度見てみたいと思ったのは公開から 32 年程経た 2017 年 12 月のことだった。だがその折 DVD は出ておらず今後も難しいだろうということだった。早逝した相米監督が残したこの映画は、最初に見てから記憶のどこかにしっかりと残り続けているらしく何かの拍子に無性にもう一度見たくなるのだが、幸いなことに今度は DVD だけでなくオンデマンドでも見られるようになっていた。見直し…

  • 「アクション」を摑む

    映画はもちろんその文章も大好きなので、小森はるかさんが「文學界」今月号の特集 「『ジョン・フォード論』を読む」に寄せている文章——「掴む」が旧字で「摑む」となって『「アクション」を摑む』と題されている——をそれはもう熱心に読んだ。決して長くはない本文を読むとこの題名は『「まごうかたなき運動」を自分の目で摑む』と云うことなのかもしれない。小森さんは「いつか(﹅﹅﹅)自分の目で摑む」と「いつか」を加えているが、『息の跡』(2015) で棒状の氷が井戸水でゆっくり押し出される瞬間を摑まえた作家のなんという謙虚さであろう。同じ号の「文學界」にある松浦寿輝さんの『植物立国構想』も面白かった。天皇ご一家は…

  • めくらぶだうと虹

    「めくらぶだう」が「野ぶどう」に変えられていたが、宮澤賢治の『めくらぶだうと虹』の抜粋が小学校の国語のテキストにあった。抜粋部分には「めくらぶだうの實が虹のやうに熟れてゐました」 に該当する処が含まれていなかったので、小学生には野葡萄の実の写真を見せた。野葡萄の実のイメージがないと流石に読解は難しいだろう。なお、歴史的仮名遣いにはどこまで正しく直せたか分からない。 めくらぶだうと虹 宮澤賢治 城あとのおほばこの實は結び、赤つめ草の花は枯れて焦茶色になり、畑の粟は刈られました。 「刈られたぞ」と言ひながら一ぺんちょっと顏を出した野鼠がまた急いで穴へひっこみました。崖やほりには、まばゆい銀のすゝき…

  • 『ジョン・フォード論』を語る。

    わたくしはジョン・フォードを、アメリカ合衆国市民という条件からも、アイルランド系移民の子という条件からも解放したかった。フォードが論じられるさいにしばしば持ち出されるアイルランド性のようなものは、何らかの仕方で捨象できるはずだ。そのようにして無国籍のジョン・フォードを立ち上げられるとすれば、それを支えられるのはわたくしひとりのはずだ。 蓮實重彥の批評を「画面に映るものだけを考察対象とみなし、その細部へ徹底的に目を凝らす」ものだとする申し合わせのようなものに対して抱き、過去に記事にしたこともある違和感——完全に間違っているわけではないがその批評の独自性をなんら明らかにしていない——について優れた…

  • 雑記

    腰を少し痛めてしまったからという訳でもないが、新聞・TVと同様、必要に迫られない限りなるべく遠ざけるように心がけているネット上の文書をあれこれちょっと読んだ。普段遠ざけている理由は見たり読んだりすると単純に不快になることが多いからだし、これらのものを遠ざければ自分の好きなことをする時間をかなり作ることができるからである。すでに過去の記事で書いたが、特に Twitter については、ドリス・デイが亡くなった際、誰でも知っている「ケ・セラ・セラ」という曲の題名ばかりを口を揃えていっときだけ狂ったように連呼し、親しくもない不特定多数の人に発信するのに「まだ生きていたのか」という類のコメントを沢山見か…

  • 縞揃女辨慶 安宅の松

    歌川國芳 (一勇齋國芳) の浮世絵 (『縞揃女辨慶(しまそろひをんなべんけい)』1844 年刊の十枚揃いの一枚) にある狂歌師、梅の屋による画讃は、をさな 子も ねた(だ)る 安宅の 松の鮓 あふぎづけなる 袖にすがりてと書いてある。三行目の最後の「る」が読めなかった。字源の漢字は「類」らしいので、「類」の草書体を “Yunzhang Calligraphy” というアプリで調べると下の例が出てきたので納得した。最後の「て」もあまり見ないが「天」の草書体としてはある字体である。まだまだスラスラと読める域には程遠い。江戸後期は握り寿司が普及を始めた時期で、「安宅の松の鮓」は深川安宅(あたけ)六間…

  • 雑記

    蓮實重彥の『ジョン・フォード論』が上梓され手元に届いた。その書物の感触を確かめるためにパラパラと頁をめくっていると、ジョン・フォードの比類なく美しい映画について書かれた比類なく素晴らしい批評の言葉が波のうねりのように打ち寄せてくる。不図、『逃亡者』のドロレス ・デル・リオについて書かれているところが目にとまり、気づいてみるといつのまにかそこから読み耽っていた。思えば四十年以上同じことをしているのだ。多分これからも同じだろう。

  • 竹取物語 (17)

    中将とりつれはふとあまの羽ころも うちきせ侍りつれはおきなをいとをし かなしとおほしつる事もうせぬ此き ぬきつる人は物思ひなくなりにけれは 車にのりて百人はかり天人くして 上りぬそのゝちおきな女ちのなみたを なかしてまとへとかひなしあの書をき し文をよみてきかせけれと何せんに か命もおしからんたかためにか何事も ようもなしとてくすりもくはすやかて おきもあからてやみふせり中将人々 ひきくしてかへりまいりてかくやめを えたゝかひとめすなりぬるをこま〳〵と そうすくすりのつほに御文そへてま いらすひろけて御覧していとあはれ からせ給ひて物もきこしめさす御あ そひなともなかりけりたいしん上達部をめし…

  • 竹取物語 (16)

    内外なる人の心とも物におそはるゝ やうにて相たゝかはん心もなかりけり からうしておもひおこして弓矢をとり たてんとすれとも手にちからもなくな りてなへかゝりたる中に心さかしき ものねんしていんとすれともほかさまへ いきけれはあれもたゝかはて心地たゝ しれにしれてまもりあへりたてる人ともは さうそくのきよらなる事物にもにす とふ車一くしたりらかいさしたり其中 に王とおほしき人宮つこまろ家に まうてこといふにたけくおもひつるみやつこ まろも物にゑひたるこゝちしてうつふしに ふせりいはく汝おさなき人いさゝかなる くとくをおきなつくりけるによりて汝かた すけにとてかた時のほとゝしてくたしゝ をそこらの…

  • 竹取物語 (15)

    かくやひめいはく月のみやこの人にて父母 ありかた時の間とてかの國よりまうて こしかともかく此國にはあまたの年を へぬるになんありける彼國の父母の事も 覚えすこゝにはかくひさしくあそひき こえてならひ奉れりいみしからん心地 もせすかなしくのみあるされとをのかこゝ ろならすまかりなんとするといひてもろ ともにいみしうなくかははるゝ人も年頃 ならひて立わかれなん事を心はへなと あてやかにうつくしかりつることをみならひ てこひしからん事のたへかたくゆ水のま れすおなし心になけかしかりけりこの 事を御門きこしめして竹取か家に 御つかひつかはさせ給ふ御使に竹取出あひ てなく事かきりなし此事をなけくに ひけ…

  • 竹取物語 (14)

    かくやひめみれはせけんこゝろほそく あはれに侍るなてうものをかなけき侍る へきといふかくやひめのあるところにいたり て見れはなをものおもへるけしきなり それを見て有佛なに事思ひ給ふそお ほすらん事なにことそといへはおもふ事も なしものなん心そくおほゆるといへはおき な月な見給ふそこれをみ給へは物おほす けしきはあるそといへはいかて月をみては あらんとてなを月出れは出居つゝなけき おもへり夕やみには物おもはぬけしきなり 月のほとになりぬれはなを時ゝはうちな けきなきなとすこれを使ふものとも なをものおほす事あるへしとさゝやけと おやをはしめて何事ともしらす八月 十五日はかりの月に出居てかくやひめ…

  • 竹取物語(13)

    ゆるさしとすとてゐておはしまさ(?)んと するにかくやひめこたへてそうすをのか 身は此國にかくやひめうまれて侍らは こそつかひ給はめいとゐておはしまし かたくや侍らんとそうす御門なとかさあらむ なをゐておはしまさんとて御こしをよせ 給ふに此かくやひめきとかけになりぬは かなくくちおしとおほしてけにたゝ人には あらさりけりとおほしてさらは御ともには ゐていかしもとの御かたちとなり給ひね それをみてたにかへりなんとおほせらるれ はかくやひめもとのかたちになりぬ御門な をめてたくおほしめさるゝ事せきとめか たしかく見せつる宮つこ丸をよろこひ 給ふさて仕まつる百くわん人ゝあるしいかめし うつかうまかる…

  • 竹取物語 (12)

    このないしかへりまいりて此よしをそう す御門きこしめしておほくの人ころ しける心そかしとのたまひてやみに けれとなをおほしおはしましてこの 女のたはかりにやまけんとおほして 仰給ふ汝かもちて侍るかくやひめ奉れ かほかたちよしときこしめして御つかひ たひしかとかひなくみえすなりにけり かくたひ〳〵しくやはならはすへきと仰 らるゝおきなかしこまつて御返事申 やうこのひめのわらははたへて宮仕つ かうまつるへくもあらす侍をもてわつらひ はへりさり共おほせ給はんとそうすこれを きこしめして仰給ふなとかおきなのおほ したてたらん物を心にまかせさらむ 此女もし奉りたるものならはおきな にかうふりをなとかたは…

  • 竹取物語 (11)

    それを見給ひてあなかひなのわさやと のたまひけりよりそおもふにたかふ事をは かひなしといひけるかひにもあらすと見 給ひけるに御心ちもたかひてからひつ のふたに入られ給ふへくもあらす御 腰はおれにけり中納言はいくいけた たるわさしてやむことを人にきかせしと したまひけれとそれをやまひにていと よはくなり給ひにけりかひをえとらす なりにけるよりも人のきゝわらはん事を 日にそへておもひ給ひけれはたゝにやみ しぬるよりも人きゝはつかしく覚え給ふ なりけりとこれをかくやひめきゝてとふらひ にやる歌 年をへて波立よらぬすみの江の まつかひなしときくはまことか とかきてはつるたえ入給ひぬこれをきゝて かくや…

  • 竹取物語 (10)

    中納言よろこひ給て万の人にもしらせ 給はてみそかにつかさにいましてをのこ ともの中にましりてよるをひるにな してとらしめ給ふくらつ丸かく申を いといたくよろこひてのたまふこゝにつか はるゝ人にもなきにねかひをかなふる 事のうれしさとの給ひて御そぬきて かつけ給ふつさらによさり此つかさに まうてことの給ふてつかはしつ日暮ぬれは 彼つかさにおはして見給ふに誠つはくらめ すつくれりくらつまろ申やうおうけて めくるあらこに人をのほせてつりあけさ せてつはくらめのすに手をさし入させ てさくるに物もなしと申に中納言あしく さくれはなきなりとはらたちてたれ はかりおほえんにとて我のほりてさくらんとの給ひてこ…

  • 竹取物語 (9)

    大納言南海のはまにふきよせられたる にやあらんとおもひていきつきふし給へり 舟にあるをのことも國につけたれとも 國のつかさまうてとふらふにもえおきあか り給へぬをみれは風いとおもき人にて はらいとふくれこなたかなたの目にはすもゝ を二つ付たるやうなりこれを見奉りて そ國のつかさもほうゑみたる國に仰給 てたこしつくらせ給ひてにやう〳〵に なはれて家に入給ひぬるをいかてきゝけん つかはしゝをのこともまいりて申やうたつ の首の玉をえとらさりしかは南殿へも えまいらさりし玉の取かたかりし事を しり給へれはなんかんたうあらしとて参り つると申大納言おき居てのたまはくなん ちらよくもてこす成ぬ龍はなる神の…

  • 竹取物語 (8)

    たゝとねり二人めしつれとしてやつれ たまひて難波の邊におはしまして とひ給ふ事は大伴の大納言の人や舟に のりてたつころしてそかくひのたま とれるとや聞ととはするに舟人こたへて いはくあやしき事かなとわらひてさる わさする船もなしとこたふるにをちな なき事する舟人にもあるかなえしらて かくいふとおほしてわか弓の力はたつあらは ふといころしてくひの玉はとりてんをそ らくはくるやつはらをまたしとの給ひて 舟にのりて海ことにありき給ふにいと とをくてつくしの方の海にこき出給ふ いかゝしけんはやき風吹世界くらかりて 舟を海中にふきもてありくいつれの 方ともしらす海中にまかり入ぬへくふき まはして波は船に…

  • 竹取物語 (7)

    世の人々あへの大臣火ねすみのかは衣 をもていましてかくやひめにすみ給ふと なこゝにやいますなととふある人のいふか はは火にくへてやきたりしかはめら〳〵 とやけにしかはかくやひめあひ給はすと いひけれはこれを聞てそとけなきものを あへなしといふ大伴のみゆきの大納言 はたつのくひに五色のひかりある玉あな りそれを取て奉りたらん人にはねかはん事 をかなへんとのたまふをのことも仰の事 を承て申さく仰の事はいともとう とし但この玉たやすくえとらしをいはん やたつのくひの玉はいかゝいはんものは命 をすてゝもをのか天のつかひとをのか君 のおほせ事をはかなへんと思へけれ此國 になきてんちくもろこしの物にもあら…

  • 竹取物語 (6)

    左大臣あへのみむらしはたからゆた かに家ひろき人にておはしける其年 きたりけるもろこし船のわうけいとい ふ人のもとに文をかきて火ねすみの かはといふなる物かひてをこせよとてつかう まつる人の中に心たしかなるをえら ひて小野のふさもりといふ人をつけて つかわすもていたり唐こしにをるわう けいに金をとらすわうけいふみをひろ けてみて返事かく火ねすみのかは ころも此國になきものなりをとにはき けともいまたみぬ物なり世にあるもの ならは此國にももてまうてきなましいとかたきあきなひなりしかれとも もし天ちくに玉さかにもてわたりなは 若長者のあたりにとふらひもとめんに なきものならは使にそへて金をは 返し…

  • 竹取物語 (5)

    かくやひめあやしかりてみれははちの 中に文ありひろけてみれは うみ山のみちに心をつくしはてないし のはちのなみたなかれきかくやひめひ かりやあるとみるにほたるはかりのひかりた になし をくつゆのひかりをたにもやとさまし をくらの山にてなにもとめけん とて返し出すはちを門にすてゝ此歌の 返しをす しら山にあへはひかりのうするかと はちをすてゝもたのまるゝかな とよみて入たりかくやひめ返しもせす なりぬみゝにもきゝ入さりけれはいひかゝ つらひてかへりぬかのはちをすてゝ又いひ けるよりそおもなき事をははちをす つるとは云けるくらもちの御子は心たは かりある人にておほやけにはつくしの國 にゆあみにまか…

  • 竹取物語 (4)

    いつれもをとりまさりおはしまさねは御心 さしのほとはみゆへしつかうまつらん事は それになんさたむへきといへはこれよき事 なり人のうらみもあるましといふ五人の 人々もよき事なりといへはおきないりていふ かくやひめ石つくりの御子には佛の御石の はちといふ物ありそれを取て給へといふくら もちの御子には東の海にほうらいといふ山 あるなりそれにしろかねをねとしこかねを くきとししろき玉をみとしてたてる木 ありそれ一えたおりてたまはらんといふいま ひとりにはもろこしにある火ねすみのかは きぬを給へ大伴の大納言にはたつのくひに 五色にひかる玉ありそれをとりてたまへ いそのかみの中納言にはつはくらめのもてる …

  • 竹取物語 (3)

    霜月極月のふりこほりみな月のてり はたゝくにもさはらすきたり此人々ある ときは竹とりをよひ出してむすめを 我にたへとふしおかみ手をすりの給へはを のかなさぬ子なれは心にもしたかえすと なんいひて月日ををくるかゝれは此人々家 にかへりて物を思ひ祈りをしくわんを立 おもひやむへくもあらすさりともつゐに男 あはせさらむはとおもひてたのみをかけたり あなかちに心さしをみえありくこれをみつ けておきなかくやひめにいふやう御身はほとけ へんけの人と申しなからこれほとおほき さまてやしなひ奉る心さしをろかなら すおきなの申さん事きゝ給ひてんやと いへはかくやめ何事をかのたまはんことはう けたまはらさらむへん…

  • 竹取物語 (2)

    此ほと三日うちあけあそふよろつのあそ ひをそしけるおとこはうけきらはす よひつとへていとかしこくあそふ世界の をのこあてなるもいやしきもいかてこの かくやひめをえてしかな見てしかなと をとにきゝめてゝまとふそのあたりの かきにも家のとにもをる人たにたはや すくみるましきものをよるはやすき いもねすやみの夜にもここかしこよりの そきかひま見まとひあへりさるとき よりなんよはひとはいひける人の物とも せぬ所にまとひありけともなにのしるし あるへくも見えす家の人ともに物をたに いはんとていひかくれともことゝもせすあ たりをはなれぬ君達夜をあかし日をく らす人おほかりけるをゝろかなるひとはようなきあり…

  • 竹取物語

    奥付の裏の白頁の左隅に行書体の綺麗な筆で名前——前の所有者だろうか——が記されている『五體字類』を古本屋で以前買ってあったのを引っ張り出してきて、分からないときにはそれを参照しつつ、手当たり次第にいろいろな文章を見つけ出してきては、もう少し自然に変体仮名が読めるよう練習している。字と字を繋げて書くことを連綿と云うそうだが、どこからが文字で、どこからが連綿のための線なのかということも最初はよく分からず、考えてみれば、このような文字を分節すること自体が困難な読書体験は初めてである。さらに句読点もなく濁点もない文章は、分かりやすさばかりを強調したがる現代とは対照的なもので、読み手側に分節が任されてい…

  • 変体仮名

    変体仮名を読む練習をちょっと前からしているのだが、一葉の原稿の平仮名は直ぐに読めるわかりやすいものだと思う。まず、題名の「たけくらべ 」のうち、「く」「ら」が変体仮名であることが分かる。「く」の変体仮名は上の方に小さい「く」があって下に大きな「く」があるように見える。この変体仮名は、本文の「明けくれなしの」の「く」にも同じものが使われている。「ら」の変体仮名はちょっと難しいが、ほとんど一直線に書かれる「し」の変体仮名と比べて、僅かだがくねっていることで「ら」と識別できる。本文にある「全盛をうらなひて」の「ら」の変体仮名はもう一つのタイプで、こちらは読めると思う。「一軒ならず二軒ならず」の「ら」…

  • 雑記

    最近、単なる思いつきで記事に使うフォントを明朝体に改めてみたのだが、少なくとも自分には読み易いのでそのまま使い続けている。ひとつ〳〵の文字に「抑揚」があるというのはやっぱり大事なことなんだなあと改めて思った。蓮實重彥の『ショットとは何か』は雑誌連載中から楽しみに読んでいて、単行本も入手したが、単行本の表紙の「ショットとは何か」という文字がゴシック体になっていたことに一寸吃驚した。蓮實さんが単独の著者名になっている本でそんなことがあったかなと考えたりした。しかも著者名の「蓮實重彥」には従来通り明朝体が使われていて、じっと見ているとやっぱり不釣り合いに感じる。こんなところまで「デジタル馬鹿」の影響…

  • 「星」正岡子規

    子規遺稿集『竹の里歌』から 星 錄九首 (明治三十三年) 眞砂(まさご)なす數(かず)なき星のそのなかに 吾に向ひて光る星ありたらちねの母がなりたる母星(はゝぼし)の 子を思ふ光我を照らせり玉水のしづく絕えたる檐(のき)の端(は)に 星かがやきて長雨(ながあめ)はれぬ久方の雲の柱につる絲の 結び目解けて星落ち來(きた)る空(そら)はかる臺(うてな)の上に登り立つ 我をめぐりて星かがやけり天地(あめつち)に月人(つきひと)をとこ照り透り 星の少女(をとめ)のかくれて見えずひさかたの星の光の淸き夜に そことも知らず鷺(さぎ)鳴きわたるひさかたの空を離れて光りつゝ 飛び行く星のゆくへ知らずもぬばたま…

  • 雑記

    漢字の知識を増やしたいという慾望をもって意識的に努力をした記憶がこれっぽっちも存在しないのは、もしかしたら『反=日本語論』にある次の一節を読んだことが知らず知らずに抑圧となってしまったのかもしれない。 最近の学生は漢字を知らないという。ある新聞社の入社試験に「鴉」にふりがなをつけさせる問題をだしたところ、答えが六十何通りかにわかれたそうだ。だが、そんなことに驚いていてはいけない。カラスがからすだとわかり、烏によってあの黒い鳥をイメージできればそれで充分である。これを格好の材料として、今日の漢字の知識の欠落ぶりを嘆いたりするよりは、いったい、どんな種類の学生が「鴉」をカラスと読めたかを追跡調査す…

  • 「盲目物語」はしがき

    はしがき一、ここにあつめた四篇は、それぞれ獨立の作品であるが、いづれも作者の國史趣味乃至和文趣味を反映してゐると云ふ點で、何處かに共通した匂ひがある。作者は今後もかう云ふものを書くかも知れないが、さしあたり、引きつづいて此の方面へ進んで行かうとは考へてゐないので、取り敢へず此れだけを一冊に纏めてみた。一、作者が昔文壇へ出た時の處女作は、榮花物語から材を取つた「誕生」と云ふ戲曲であつた。左樣に作者の國史國文趣味は古くからのことであり、處女作以後にもその傾向を代表する作品が少なくない。しかし此處に集めたやうなものが出來たのは、去る大正十二年以來近畿の地に移り住んで古典に由緣(ゆかり)ある風土や建築…

  • 未央柳

    梅雨寒の午後に歩いていると、小雨に濡れてビヨウヤナギの黄色い花が道辺に咲いているのが目にとまった。漢字では「未央柳」と書かれるこの落葉低木は、谷崎潤一郎『盲目物語』終盤の北の庄落城の場面にも出てきたように、楊貴妃の美しさを喩えるため「太液の芙蓉」とともに白居易が使った「未央の柳」からその名前がとられているのだろう。「雨を帶びたるよそほひの、太液の芙蓉のくれなゐ、未央の柳のみどりも、これにはいかでまさるべき」歴史的仮名遣いを練習するためだけが最初の目的で『盲目物語』を読んでいたが、大和国栖村の手ずきの紙まで使って本を装丁させたという谷崎が、こんなルビの振り方やこんな送り字のやり方を本当に許したん…

  • 盲目物語 (9)

    しかし逃げたのはわたくしばかりではござりませなんだ。おほぜいのものが火の粉をあびてぞろ〳〵つながつてはしりますので、わたくしもそれといつしよになつて、うしろからえい〳〵押されながらかけ出しましたが、お堀の橋をこえましたとたんに、ぐわら、ぐわら、ぐわらと、おそろしいひゞきがいたしましたのは、うたがひもなくてんしゆの五重がくづれおちるおとでござりました。「あれは天守がおちたんですね」と、だれにきくともなく申しましたら、「さうだ、空に火ばしらが立つてゐる、きつと玉ぐすりに火がついたのだ」と、そばをはしつてゐる人がさう申されるのです。「おくがたやほかのひめぎみたちはどうあそばしたでござりませう」とたづ…

  • 盲目物語 (8)

    寄せ手は廿二日のあさ一番どりの啼くころよりおひ〳〵取りつめてまゐりましたが、御城下の町々、かいだうすぢの在々所々を燒きたてましたので、おびたゞしいけぶりが空にまん〳〵といたしまして日のひかりもくらく相成、おしろから四方をながめますと、いちゑんに霧のうみのやうで何も見えなんだと申します。上方ぜいはこのくらやみをさいはひに、こゑをしのばせものおとをころして、おもひ〳〵に竹たば、たゝみ、板戶などを持ちまして、そうつとちかづいてまゐつたらしく、そのうちにそとがすこしあかるくなりましたら、さながら蟻のはひよるがごとくお堀のきはへひたと取りついてをりました。城內からはしきりに鐵炮を打ちましてそのへんのてき…

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