奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録~ 第16話 GHQ
1945年長男秀彦はこの春中学校を卒業、高校に進学するはずであったが、東京は空襲で焼け野原。校舎はどこも授業を再開できる状態ではない。この時実家の様子もどうなっているか分からない。止む無く疎開先の長野で、現地の高校に入学した。だが地元民でもない疎開者が、現地の高校に腰掛で入学して良いのか?いや、自分は焼け野原と化した東京に戻り、一刻も早く復興に寄与すべき?そうした未来を見通せない不安や焦りの中、悶々としていた。本当は疎開なんかしたくはなかった。だがお嬢様育ちの母一人に弟たちを任せる訳にはいかない。父に代わって自分が疎開先の一家を守らなければならないとの使命感が、長男である自分を奮い立たせていた。僕は父からの連絡をひたすら待っていた。「もう大丈夫だから、東京の家に戻ってこい。」との手紙を。一年や二年、学校に...奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録~第16話GHQ
2024/07/28 05:07