警告!今話の内容には残酷な描写が含まれます。苦手な人はご注意ください。秀則が帰国して一週間が経った。秀彦と早次の成長の速さは、一年の空白を埋める以上に大きい。一緒に過ごしていたら気づかない一日の貴重な重さが、離れていたがために今更ながら心のひだに突き刺さる。秀彦が裏庭に咲くアジサイの葉に泳ぐデンデン虫を、この世の奇跡を目撃したかのように真剣な表情で観察する様子。早次が母百合子にしがみつき、その肩越しに僕を見つめる様子。そこは早次にとってこの世で一番安心できる場所であると主張している。塀越しに豆腐屋のラッパが聞こえてくる。ああ、ここは日本なんだ。海外での暮らしも決して危険なことは無かった。ある一度の経験以外は・・・。ただ、その体験時以外も平時は気が抜けない。いつも心の鎧を脱ぐことは無かった。外国とはそういう...奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録~第9話外遊のお土産話