BL小説・風のゆくえには〜記念日デート2023(前編)

BL小説・風のゆくえには〜記念日デート2023(前編)

【浩介視点】11月3日は「初めてキスをした記念日」だ。高校二年生の後夜祭。校庭の隅っこで、キャンプファイヤーを一緒に見ていた、あの時。(この人は、おれのすべてだ)そう、強烈に思った。そして……(ああ……綺麗だな)慶の美しい横顔に見とれて……それから……「……って、往来で何しようとしてんだよ!」「あ」グッとおでこを押されて、我に返った。あれから32年後の慶が、あの時と変わらない湖みたいな瞳で、こちらを見上げている。「あー……ごめん。無意識」「あほかっ」怒っている慶も可愛い。可愛い過ぎて、やっぱりキスしたくなったところを、なんとか理性をかき集めて我慢する。せっかくのデートなのに本気で怒らせるわけにはいかない。そう。現在、みなとみらいでデート中!なのだ。日中は、今住んでいる地域のお祭りだったので、町会で出店する...BL小説・風のゆくえには〜記念日デート2023(前編)